捻レタ時
脚本:十川誠志 絵コンテ:髙戸谷一歩/志田直俊 演出:髙戸谷一歩
作画監督:冨田恵里沙/大山康彦/北野幸広/仲條久美
総作画監督:二階堂渥志
★あらすじ
とつぜん時間の感覚が狂い、宙は困惑の只中にいました。
普段通りにしているはずなのに、いつの間にかあり得ないほど時間が経っているのです。
体感と実時間の差では説明がつかないほどに。
ストレスから来る感覚の狂いではないか、ということで瑠璃たちの提案もあり、
気分転換のために図書館へやってくる宙たち。
そこで遭遇したのは、人間社会のことを勉強中のボコモンとバクモンでした。
デジモンについて詳しいボコモンから話を聞いているうちに、また時間感覚が狂う宙。
ガンマモンたちに合流しようとしたところで現れたのは、あのクロックモンでした。
時間感覚が狂っていたのは、リベンジを狙うこのデジモンの仕業だったのです。
間一髪でバクモンとボコモンの助けが入り、さらにガンマモン達も駆けつけます。
クロノブレーカーを受けたガンマモンは再び恐るべき片鱗を垣間見せ、
技を叩き返しました。結果、今度はクロックモン自身の時間が加速することに。
助けを求めるクロックモン。自業自得でしたが、宙の決断はこれを助けることでした。
ペテルガンマモンが時計盤を逆回転させ、クロックモンの時間をもとに戻します。
そのうえ、半実体だったクロックモンを実体化させるというオマケ付き。
今回の顛末で懲りたクロックモンは、ボコモンの元で実体化をコントロールできるよう
訓練することになりました。こうして、宙の受難は終わりを告げたのです。
新たないくつもの謎を孕みながら……
★全体印象
9話です。
1話で登場し、逃走を遂げたクロックモンが再登場してリベンジを図るお話……
なんですが、その実は設定のおさらい回と言うべきものでした。
特に本作におけるデジモンの非実体から実体に至るまでのルールが明言されたことと、
少数のデジモンが人間世界とDWを行き来しているらしいという情報は大きなポイントです。
また、人間ではマトモな手段でDWに行けないことも語られていました。
ということは、北斗パパはそれを可能にするなんらかの手段を手に入れたわけですね。
クロックモンとの顛末は半ば予想してましたけど、文字通りの「懲らしめ」エンドでした。
何度やっても無駄だと諦めさせることで、これ以上の被害を止めるパターンです。
本作はこーゆー作風ですよと、改めて示したお話なのかもしれません。
どうしてもここで倒しておかないとダメな敵が出てくるかどうかはまた別問題でしょうけど。
脚本は設定回と言うことで、シリーズ構成の十川誠志さんが再登板。
本作ではかなり登板率が高いですから、一貫性はそれなりに担保されそうですね。
バトル比重が弱いのは賛否あるでしょうけれど……
★キャラなど個別印象
・宙
クロックモンの仕掛けで時間感覚が狂うのみならず、耳鳴りや景色の歪みも認識しています。
彼の周囲の時間が歪んだことで、空間にも影響が出ているのが原因みたいです。
それだと周りにも影響が出そうなものですが、よほど限定的なのでしょうか。
そんな酷い目に遭いながらも、最終的にはクロックモンを助けることを選んでいます。
底抜けのお人好し、という一面がまたさらに強化されたように見えますね。
このせいでしっぺ返しを食うのではないかとずっと思っていたのですけど、どうも彼の場合
その時はその時、と割り切るところがあるようですね。
まあ、また同じことをするようなら何度でも懲らしめるってことなんでしょうけど
でもそれって、相手より自分たちの方が強い場合に限られるんですよね。
これからもっともっと強いデジモンが出てきた場合、なんらかの選択を迫られる可能性はあります。
そういう作風でもないような気もしますけど。
・ガンマモン
チョコが大好物ということで、チョコパフェに目を輝かせる微笑ましい場面があります。
途中で宙の危機に気付いて駆けつけましたが、ちゃんと最後まで食べられたんでしょうか。
バトルではクロノブレーカーによって例の片鱗(ペテルガンマモンとかより間違いなく格上)
を垣間見せ、技を逆にクロックモンへ叩き返すという荒業を披露しています。
その後はペテルガンマモンに進化し、クロックモンの時計を逆回転させて助けました。
必殺技のソルブローは、この際に初披露されています。
まさか、戦ってた相手を助けるために使うことになるとは……
これも作風強調の一環でしょうか。是非はともかく。
・瑠璃
宙に図書館行きを提案するものの、目的は評判のスイーツというチャッカリした面を見せてます。
クロックモンを助ける際はこれという異論なくアンゴラモンに手伝わせていましたけど、
一番酷い目に遭ってる宙が言い出したことなんで強く言い募る理由がなかったんでしょうね。
そもそもクロックモンとは初対面なんで印象も固まってなかったでしょうし。
これは清司郎組も同じだと思います。
ドラクモンの名を挙げる際には、見るからに「嫌なヤツを思い出した」って感じの顔でした。
これも布石ってやつかもしれません。
・アンゴラモン
知識・解説面を大半ボコモン先生に持ってかれてたので、今回は影が薄めでした。
それでもポエムは意地でも挟んでくるスタイルのようです。その気概は買いますぞ。
・清司郎
ジェリーモンによって「出る」という噂の図書館に引っ張ってこられてました。
結果として事件に巻き込まれましたが、相方ともども今回は影が薄いです。
せいぜいクロックモンを助ける手伝いをした程度(失敗しましたが)。
・ジェリーモン
人間社会について学ぶため、情報集めに余念がないようです。
どっちかというと「清司郎が怖がりそうなスポット探し」に偏ってる気もしますが……
その清司郎が目立っていないため、こちらの影も薄いです。
・コタロウ
前半にちょっとだけ登場。
宙と待ち合わせしていましたが、30分も遅刻されてお冠でした。
もちろん時間感覚が狂っているせいだったのですが。
・ボコモン
白衣をまとった学者風のデジモン。元のデザインだと白衣については後付けです。
成長期ですが、博識キャラということもあって年長者の貫禄を漂わせていました。
:で大量に出てきて腰を抜かしかけたのは記憶に新しいところ。
人間の世界におけるデジモンのあり方について詳しく、丁寧に教えてくれています。
またバクモンと共に宙を助けに現れ、ガンマモンが来るまで時間を稼いでくれるなど
根本的に善意ある存在として描かれてました。実体化も自由にこなします。
宙にはクロックモンにまた襲われるかもしれない、との忠告もしていました。
まあ宙はああいうスタンスなんで「それでも助ける」になっていったし、
結果的にある程度丸く収まってはいるのですけど。
ファンならご存知の通り、ボコモンは「デジモンフロンティア」のレギュラーです。
マスコットとしても解説役としてもかなり半端な困った立ち位置のキャラでしたが、
こちらではより博識イメージが強められ声も男性がアテてるので、だいぶ異なる印象。
レギュラーではないでしょうが、結構頼りになりそうな仕上がりです。
そんな中の人は沼田祐介さん。前回にサンダーボールモン役として出たばかりです。
シリーズには比較的登板回数が多く「クロスウォーズ」や「アプモン」にも出演済。
「鉄人28号FX」で主役もつとめていますが、どちらかというと特徴的な声質を活かした
バイプレイヤー役が印象に残る人です。「鬼太郎」6期でも常連ゲストでした。
・バクモン
ボコモンの助手。師を尊敬していることがセリフの端々から伝わってきます。
しかし少々ドジなところがあるようで、本をいっぺんに運ぼうと山積みにして運び
客に驚かれたり、宙たちに本をぶちまけたりしてしまっています。
件の図書館に「出る」という噂が広まったのは、大半このドジのせいと思われます。
とはいえボコモン同様悪意はなく、後半では宙を間一髪で救うという活躍をしています。
その際は足のホーリーリングから光を発しており、これで宙の時間感覚を元に戻しました。
セリフでは治ったと明言されてはいませんが、演出を見れば明白です。
中の人は折笠愛さん。
1980年代末から数多くの少年役、大人の女性役をこなしたベテラン声優のひとりです。
「新機動戦記ガンダムW」のカトル・ラバーバ・ウィナーや「小公子セディ」の
セディといった気品のある役から「元気爆発ガンバルガー」の霧隠虎太郎のような
活動的な悪ガキ、「天地無用!」の魎呼のような色気と強さを併せ持った女性まで
役柄は多岐にわたります。特徴があるんで名前を隠しててもバレバレな声優さんのひとり。
ここ10年だと「獣電戦隊キョウリュウジャー」のラッキューロが印象的ですね。
何が言いたいかというと、あんまりセリフがない割に随分な人を連れてきたなー、と……
それとも、何か別の役で出るにあたっての肩慣らしを兼ねてたりするんでしょうか。
あんまりその線の確度は高くないと思うけど。
・クロックモン
1話にも登場した本作最初のホログラムゴーストにして「口縫男」と呼ばれたアイツ。
今回は宙になんらかの仕掛けを施し、その時間感覚を狂わせていました。
それ自体も嫌がらせですが、本来の狙いは時間感覚を喪失させることによって
他に誰もいない間隙を狙いやすくするためでした。
その割にはずいぶん限定的なシチュエーションを狙ってきたなとは思いますが、
これはガンマモンと一緒の時を極力避けたかったからみたいです。
ガンマモンの「片鱗」の恐ろしさを肌で実感した数少ない人物ではあるのですが、
それほどまでに警戒していてもなお宙を狙ってくるあたり、相当恨んでいたようです。
けれど結果的にガンマモンに邪魔され、苦し紛れにクロノブレーカーを打ち込んだものの
結局「片鱗」を呼び起こしてしまい、技を跳ね返されて自分がやってきたことと同じく
時間加速によって全身が劣化してゆくという憂き目に遭いました。
このとき下半身側の左腕が劣化して落ちていますが、後でまたくっついていました。
以上の顛末からほとほと懲りたのか、もう人間を襲わないような発言をしています。
別に改心したわけではなく「宙たちがいたのでは無理」と判断してのことですが。
実際「会わなくても襲わないでよ」とツッコミを入れられています。
まあボコモン預かりになったんで、目の届く範囲にいる形になったのかな。
中の人である岩田光央さんは沼田祐介さんと声質が近いところがあるので、今回については
ちょっぴり混乱させられる場面もありました。
★名(迷)セリフ
「寮長として困るんだよね、天ノ河くん」(清司郎)
時間感覚の狂いのせいで戻りが22時半過ぎになってしまった宙に。
こういう時は割にネチネチ言うタイプのようです。
「最近一人キャンプもしてないし」(宙)
「……え? 一人キャンプ?」(瑠璃)
恐ろしくサラッと宙の趣味が暴露された場面。
友達とワチャワチャやるのが当たり前みたいな瑠璃にとっては、未知の領域かもしれません。
実際、演出に紛れて「一人キャンプ……」と思わず復唱しています。
口ぶりからすると、宙自身はまったく気にしておらず隠す気もなかったようですが。
「人間たちがいう喜怒哀楽。ああいう複数の異なる感情が、データの時とは違って
どうしようもなく心の中から溢れ出ると、実体化するじゃい」(ボコモン)
ボコモン先生による解説。
この方の場合は「知識を得る喜びや楽しみ」で実体化を得たのかもしれません。
つまり「真っ当な方法」で会得したことになる。
コントロールできるようになるにはそれなりに時間がかかったでしょうけど。
この話から派生して、瑠璃の口からドラクモンの名前も出ています。
「ええっ、遊びに行けないじゃない!」(瑠璃)
人間がDWに行こうとすると肉体が無理矢理デジタルデータに変換されようとする影響で
黒焦げになってしまう可能性が高い、というボコモンの推測を受けて。
真っ先にこういう感想が出るあたりは彼女らしいです。
「その時はその時で!」(宙)
クロックモンを助ける方法はないかとボコモン先生に聞いた際「また襲われるかもしれない」
との忠告を受けて。彼のスタンスがよくわかるセリフです。
もちろん「その時は責任をもって何度でも止める」という意味合いもこもってるはずですが。
「お前らみたいなヤツらに会ったら、もう人間は襲えないな……」(クロックモン)
事実上の降参宣言ですが、別に改心したようには見えません。
下手なことをしない程度には臆病なタイプなので、おとなしくはしているでしょうけど
まだちょっと油断はできませんね。
「時は悠久に流れ、過ぎ去る……
抗うべからず。触れるべからず。食うべからず……」(アンゴラモン)
今回のアンゴラポエムです。
クロックモンへ釘を刺す一言でもあります。
「さっきの黒いヤツ、何だったんだろう……」(宙)
ボコモンやガンマモンと「進化」について話している最中に思い当たって。
暴走フラグに見えますが……案外その時は近いのかもしれません。
その前にウェズンガンマモンかな。
アンゴラモンとジェリーモンの進化もまだですし。
★次回予告
今度のテーマはTVゲーム。
楽しそうだったので乱入してきたけど限度を知らない手合い、ってところでしょうか。
作風的には充分「話せばわかる」部類かもしれません。
キンカクモンとギンカクモンはアニメ初登場ですね。中の人が誰になるのかも気になる。