鳥
脚本:森地夏美 演出:角銅博之
作画監督:舘直樹/澤木巳登里/冨田恵里沙/金久保典江/仁井宏隆/会津五月
総作画監督:石橋大輔/金久保典江
★あらすじ
カラスが大挙して人家を襲うという怪事件が発生。
襲われた家の共通点は鳥を飼っていることと、籠が壊されてその鳥が連れ去られること。
錠前は未知の手段により、溶かされるようにして破壊されていました。
ニュースなどに巨大な鳥の目撃情報が上がっていることなどから、宙たちは一連の件が
デジモンに関係あると断定、調査を始めました。
その間にも事件はペットショップ襲撃にまで発展。現場には怪しげな男が……
清司郎の分析により、次の襲撃予想地点翌日の早朝、富士ノ花鳥類園と判明。
ここには大型猛禽類が大量に飼育されており、解き放たれると大変なことになります。
阻止せんと先回りした宙たちの前に、あの怪しい男が現れました。
ダイゴというその男は巨鳥デジモン──ヤタガラモンを崇拝し、手助けをしていたのです。
ダイゴからの妨害を避け、デジタルエリアにシフトする宙たち。
しかし、ヤタガラモンは強敵でした。食らい付いてゆくも高空から投げ落とされ、
絶体絶命のピンチへ陥るガンマモン。が、宙の激励を受けて新たな進化・
カウスガンマモンを発現します。風を捉えて叩き込まれる一撃。
カウスガンマモンを手強しと見てか、それ以上の戦いを倦むように去ってゆくヤタガラモン。
ダイゴの崇拝が行き場をなくす形で、事件は幕を閉じます。
選ばれしものを「黄金郷」へ連れてゆくというヤタガラモン。
けれど、飼い主のもとに戻りたい鳥たちは再びその側へと帰ってゆくのでした。
★全体印象
7話です。アルフレッド・ヒッチコック監督の映画を連想させるタイトルですね。
今回はタイトル通り「鳥」がテーマ。ダイゴという男を通し、鳥と人間の関係について
いろいろ考えさせようという雰囲気に仕上がっています。
相手が抜群の空戦能力を持つヤタガラモンということで予想はしていましたが、
今回はガンマモン第二の進化・カウスガンマモンのデビュー回でもあります。
これにより、格上のヤタガラモンからダウンを奪う活躍を見せました。
今回は相手方が何を考えているのかわからず、全体にややフワッとしてます。
ただ想像はできるし、たまにはこういう良くわからないヤツがいてもいいかと思えるのは
作風のおかげでもあるし、たぶんここまでの平均点が高いおかげもあると思います。
脚本は森地夏美さん。:でペタルドラモン絡みのお話を書いてた方です。
言われてみればこのフワッとした感覚には覚えがあるかもしれません。
演出には超久しぶりに角銅カントクが復帰。なんとクロスウォーズ以来です。
ほぼ10年ぶりか……
作画監督には新顔として、仁井宏隆さんと会津五月さんが加わっています。
仁井さんは非常に多岐にわたるアニメで描いているオールラウンダーであり、
その作画スピードは業界トップクラスと言われているとかいないとか。
会津さんは「呪術廻戦」などでも描いているようですね。
6話でもヘルプで参加していた模様(ノンクレジット)。
★キャラなど個別印象
・宙
落下の勢いが強すぎて減速できないガンマモンに対し、諦めずに飛べと呼びかけ続けることで
カウスガンマモンへの進化を発現させました。
明白なことではありますが、進化にはやはり彼とガンマモンの間にある繋がりが
強く作用しているようです。いずれ他の二組にも発現するはず。意外に遅いけど。
調査には清司郎の能力をアテにしていましたが、鳥類園を襲われる危険性へ真っ先に言及し
今度ばかりは止めなければならないと認識を強める役割を担っています。
・ガンマモン
落としたチョコをカラスに食べられて以来、鳥相手には対抗心を抱いていました。
まあ変な体勢で食べようとした彼も悪いんですが、これは後半への振りでもあります。
後半、果敢にもヤタガラモンの足に食らい付きますが引き剥がされ、上空から投げ落とされます。
宙の呼びかけと「空を飛びたい」という必死の思いが一致したのでしょう、
新たな進化としてカウスガンマモンを登場させるに至っています。
・カウスガンマモン
ガンマモンと宙が土壇場で発動させた第二の進化です。体色は青。
大きな皮膜状の翼で風に乗ることができるようになりましたが、完全な飛行ではなく
グライダーのような滑空に近い飛び方のため、自ら揚力を作り続けるわけではありません。
しかし風を見極める鋭い目とセンスを備え、気流から気流へ次々と乗り換えて
空中戦を得意とするデジモン相手でも互角に戦うことができます。
また足からジェット噴射のように空気を噴射することができ、その勢いを利用して
緊急時に飛び上がったり、突進をかますことが可能になりました。
この特性を活かした技「ウルダインパルス」でヤタガラモンのダウンを奪い、
それ以上の戦闘を避けさせることに成功しています。
本作の常として倒すには至りませんでしたが、事実上の勝利といえます。
・瑠璃
宙と一緒に被害者へ聞き込みをしたりしていますが、今回は目立ってません。
この点は役割の多いアンゴラモンが有利です。
・アンゴラモン
相変わらずの豊富な知識でサポートを行うのはもちろん、ガンマモンを乗せて
ヤタガラモンへ果敢に空中戦を挑むなどしていますが、やはり相手が格上とあって
ジェリーモン共々大したことはできていません。
本作の場合、成熟期ともなれば完全体レベル相手にもある程度伍せるようなので
彼らの進化も待たれるところですね。
・清司郎
最初は乗り気じゃなかったのですが、ジェリーモンに煽られて調査を決意。
豪語しただけのことはあり、ヤタガラモン達の次の襲撃地点を予測してのけています。
鳥類園への被害を未然に食い止められたのは、彼の功績が大きいでしょう。
大学院まで進んだからということで、なんと授業を免除されていることも発覚しました。
確かに、今さら中学レベルの授業を受けても仕方ないのかもしれませんが……
とはいえ寮長の仕事でそれなりに忙しそうですけど、宙たちが授業をしている間にも
調査に専念しやすいというのはなかなか強い立場かもしれません。
・ジェリーモン
冷静に考えてみると、対デジモンでの戦績がまだサッパリなんですよねこの子。
5話はバーチャルお守りを壊しただけだし、6話は途中から特に何もしてないし
今回もほぼ何もできないままボコボコにされてしまってます。
なるべく早いフォローが欲しいところですが、進化は果たしていつになるか……
・コタロウ
やや久方ぶりの登場。
事件に絡めて園芸飼育部所属ということが判明してます。
意外なようですが、美人の先輩目当てだと自分で言ってたので何か納得。
でも鳥たちがいなくなった時には名前を呼んでいたし、案外真面目にやってるのかも?
・ヤタガラモン
突如として現れた完全体の妖鳥型デジモン。
自らの技「甕布都神(ミカフツノカミ)」の力をカラスたちに分け与えて籠の鍵を壊させ、
鳥たちを外に逃がすという行動を繰り返していました。
後半ではダイゴと共に富士ノ花鳥類園に現れ、阻止せんと先回りした宙たちと対決。
その空戦能力と得意技の「羽黒」だけでガンマモンたちを叩きのめす強さを見せつけました。
さらに食らい付いてきたガンマモンを高空まで持ってゆき、そこから勢いをつけて
地面めがけ投げ落とすという暴挙に出ますが、これでカウスガンマモンが出現。
なおも高い実力を発揮して粘りますが、突進力で勝るカウスガンマモンの一撃をくらい
地上に叩きつけられるという不覚を取ります(ただし、ダメージは大して受けず)。
予想外の反撃に怯んだのか、またはこれ以上の戦闘は無意味と判断したのか、
戦闘継続する気満々のカウスガンマモンを尻目にさっさと撤退してしまいました。
カラスたちに力を分け与えたり、後述のダイゴから情報を得ていた節があったりと
知能そのものは高いと見ていいのですが、行動としては動物的なものが目立ちます。
上述の撤退行動もそうですが、宙たちには一切手を出していません。
自身を脅かす可能性がある対象以外は無視してる、ってところでしょう。
もっとも、カウスガンマモン出現の契機は宙が作っているのですけれど。
中の人はエテモンの増谷康紀さんなんですが、鳴き声しか発してません。
「時かけ」の、掛け声と「応!」しか言わないのになぜか千葉繁さんがアテてた
サゴモンのことを思い出します。
・ダイゴ
鳥に対して偏執的な愛情を注いでいた男。
自分の鳥たちを解き放ったヤタガラモンに心酔し、すべての鳥を人間から解放しようと
情報を与えてはその幇助を繰り返していました。
自分たちの行動が崇高なものだと信じ切っており、止めようとした宙たちを妨害したほど。
しかし途中からデジタルエリアに舞台が移ったため蚊帳の外へ追いやられたあげく、
ヤタガラモンがさっさと行ってしまい嘆き悲しんで出番を終えるという、崇拝対象からも
シナリオ上からも完全に置き去りにされるというオチを迎えています。
結局、ヤタガラモンは選ばれたものを黄金郷とやらに導くという自らの目的のために
彼を利用していたか、彼の行動に便乗していたにすぎないのかもしれません。
あるいは、その行動パターンに沿ってダイゴの方が当たりをつけていたのかも。
もっとも、本当は何を考えていたのか全然わからないんですけど。
そんな相手に一目惚れしてしまったのが、彼の不幸なのかもしれません。
これからどうなるんでしょうね、この人。
宙たちにだって、そこまでは面倒見られないでしょうし。
中の人は飛田展男さん。マッドレオモンとかパラサイモンの人です。
いちゲストに当てる役にしては豪華ですが、インパクトはありました。
★名(迷)セリフ
「…美しい……!」(ダイゴ)
ヤタガラモンに遭遇し、その圧倒的な存在感を目の当たりにして。泣かんでも。
もともと人間以上に鳥を愛していた節がある男ですが、この出逢いによって
決定的になってしまったようです。上ではああ書きましたが、出会いそのものは
彼にとっては不幸ではないのでしょう。
「うーん、スピードや機動力が違いすぎるなぁ」(宙)
チョコを啄んだ鳥を追おうとするも、まるっきり追いつけないガンマモンを見て。
後半への布石ですが、言葉がちと露骨な気はします。
「ちょっとちょっと! どうしてそう決めつけるんだい!
できるに決まってるだろ! 天才・東御手洗清司郎にかかれば、こんなもん…
…あっ」(清司郎)
ジェリーモンに「臆病で意気地なしなダーリンに調査なんて無理なのさ」と言われて。
怖がりなのに乗せられやすい面もあるようです。確かに能力は高いんですけども。
なおこの直後、瑠璃に「ヒガッチ」と呼ばれて当惑しています。
「フィボナッチ数列だよ!」(清司郎)
次の事件発生地点予測に成功して。
フィボナッチ数列とはプログラム言語にも登場するもので、これを用いることにより
螺旋を導き出すこともできます。数列といいますが、自然界でもよく見かける概念。
ヤタガラモンは、この螺旋に沿って行動する習性があるのかもしれません。
ダイゴの方がこの行動パターンに従って鳥のいる店などへカラスを誘導した、
ってところがやはり近そうですね。
ちなみにその後の「it’s a piece of cake!」は「楽勝さ!」って感じの意味ですね。
「ヒロ! おれ、飛びたい! 飛びたい!」
「ガンマモン! 諦めるな! 飛べ! 飛ぶんだ! ガンマモン!」
「宙…!」(宙とガンマモン)
上空から投げ落とされ、なすすべないと思われたガンマモンと宙のやり取り。
飛びたい。飛ぶ。飛べ。二人の必死の思いが重なり、カウスガンマモンが現れます。
デジヴァイスVには、これを媒介として繋がった人とデジモンの願いを叶える力がある…?
ともあれ、ここからの空中戦はかなりの見応えです。
バトル作画に気合が入ってるとアガりますね。
「待ってください… 僕はどうすれば……
待って! 置いていかないで〜!」(ダイゴ)
このセリフを最後に、彼は退場を遂げます。再登場するかどうかはスタッフのみぞ知る。
行きすぎた崇拝は己のあり方すら見失わせる、という典型ですね。
「やったぁ! 最強のカタキ、取った!」(ガンマモン)
ヤタガラモンに一発かまして追い払ったことを誇って。無邪気です。
「籠の鳥は自由を慕い、日向の鳥は友を慕う……」(アンゴラモン)
今回のアンゴラポエム。
しかし瑠璃には「なぁにそれ?」とツッコミを入れられてました。
ポエムじゃないですが、締めのセリフも担当してます。
★次回予告
「百鬼夜行」に準えたお話になるようです。
百鬼、というだけあっていろんなデジモンが見受けられますね。
よく見るとエレファモンがいます。確かアニメ初登場…!