人形ノ館
脚本:中山智博 演出:中村明博
作画監督:北野幸広/仲條久美 総作画監督:西野文那
★あらすじ
ハロウィンを迎えて街に賑やかさが溢れる中、カルチャースクールで怪現象が起こります。
スタッフが突然消えたり、パーティの備品や携帯を取りに行った瑠璃の友人が戻らなかったり。
ヘルプに来ていた宙は不審をおぼえ、瑠璃やアンゴラモンと共に調査を始めました。
果たして、事件はカボチャ頭をしたパンプモンの仕業。
消えた者たちは連れ去られ拘束された上でカボチャを被せられ、人形同然にされていました。
囮を買って出た宙も同じ目に遭いそうになりますが、ガンマモンたちが助けに入ります。
建物内で戦うわけにはいかないため、宙はデジヴァイスVの隠し機能を使用。
すると、周囲が別の空間に切り替わりました。彼は偶然この機能を見つけ、さらには
ここでの行動が現実へ影響を与えないことに気づいていたのです。
仲間と同士討ちする結果になって怒ったパンプモンは巨大なカボチャを出してきましたが、
ベテルガンマモンが阻止。さらに技を食らって、パンプモンは嘆き悲しみます。
ハロウィンを盛大に勘違いした彼は、人を拉致してカボチャ頭にすることが
「友達になること」だと思い込んでいたのでした。
誤解を解いておとなしくなったパンプモンたちに安心し、元の世界に戻った宙たち。
ところが、パンプモンたちはどこにもいなくなっていました。
まるでハロウィンの日の白昼夢のように──来年もまた、やってくるのでしょうか。
★全体印象
4話です。
今回は本作の路線にピッタリ合致するハロウィン回。
同時にこの路線の資金石にもなりうる題材だったわけなんですが……
これはもう、パンプモンを採用した時点で8割勝ったようなもんなんですよね。
あとの2割はこの題材をどう料理するかだったんですが、キッチリ纏めてると思います。
パンプモンの行動が絵面のやばすぎるだけの勘違いだったというのも
2話で前例があるし、デジモンを無闇に斃さないというのも同様。
そういう路線ということなんでしょうけど、クロックモンやドラクモンのように
恨みを残して逃げてったり懲りてない輩もいるんで、そのへんはやはり心配ですね。
それはそれで色々と話の広げようがあるのですが。
脚本は中山智博さん。2004年に「ケータイ刑事」で脚本家デビューした方ですが
2000年代はどちらかというとテレビドラマ主体だった模様。
2010年代以降はほとんどONE PIECE専門で書いてたみたいなので、本作の仕事は
久々の別アニメ参加ってことになるのかもしれません。
その他「デジモンアドベンチャー:」ではほぼ総作監専任だった仲條久美さんが
今回は作監の一人として参加してます。スタッフの流転ですね。
★キャラなど個別印象
・宙
瑠璃に呼び出しを受けてヘルプに来ていたところを事件に巻き込まれました。
頼まれれば嫌とはいえない性格に加え、大抵のことはできるというのもあるのでしょう。
「本当になんでもやってくれるのね」という瑠璃からのセリフに対しては
「やったほうが早いからね」と答えていたりもします。
後半では自らパンプモンを誘き寄せるための囮を買って出ており、瑠璃に危惧されてます。
結局尾行付きということで実行したんで、瑠璃の方が折れた可能性が高いのですけど。
そして実際にかなり危ない目に遭ったんですが、仕掛けてきたパンプモンの誤解を解いて諭すなど
そのお人好しぶりはいささか常軌を逸している節がありますね。
全体にどっか危ういのは確かなんだよな……どこかで酷いしっぺ返しを食わないといいけど。
・ガンマモン
普段かなりフリーダムに立ち回ってるんで、宙の悩みは尽きなかったようです。
今回から透明化できるようになったんですが、果たしてそれで苦労は軽減するのでしょうか。
まあ同じことをしてもガンマモンのせいだってバレにくくなったのは間違いないんですけど、
それって根本的解決にならないような。それとも透明化の間は物理干渉できないのかな?
またアンゴラモンの解説により、ベテルガンマモンへの急激な進化と退化は
本作においても相当のレアケースであることが発覚しています。
やはりデジヴァイスと、それに宙の父がカギを握るのは間違いなさそうですね。
戦闘においては最大規模のトリックオアトリートを粉砕し、さらにソルショットで
パンプモンに一定のダメージを与えましたが戦闘はそこで中断しています。
まだ必殺のソルブローを相手に直接披露してはいません。引っ張りますね。
・瑠璃
距離を縮めるのが異様に早いヒロイン。
秘密を共有する仲だから親密にしといて損はない、って考え方もあるでしょうけど。
ハロウィンパーティ準備のヘルプに宙を呼び出すなど、体よく働いてもらってもいますが。
前回もそうでしたが思ってたよりだいぶマトモな神経の持ち主でもあって、
囮を申し出た宙に「それはちょっと危険じゃないのか」と反論していたりもしてます。
これはしごく正論と言えるでしょう。結局は押し切られちゃったのですが。
後半では宙が策を用意している間、今度は自分が囮をやることになりますが
アンゴラモンも一緒だったので無難に切り抜けています。
・アンゴラモン
前回を受け、今回はある程度の情報通なところも披露しました。
デジモンやデジタルワールドのことなど、基本的な概念は彼の口から改めて語られています。
本筋の核心に迫る要素については知らない、というのもお約束。
デジモンについても詳しく、パンプモンに関しての情報も持っていました。
解説と一緒にパンプモンの世代なども表示されましたが、完全体などの世代設定に関しては
表示のみで「強力なデジモン」という表現で触れられている程度にとどまっています。
本作はまあ、そういう路線なのでしょう。むしろ世代設定の表示がされたことの方が意外。
バトルでは囮役となった瑠璃とのコンビ行動が見せ場。
この際に3つ目の技「プチトルネード」も披露しました。抜け目なし。
・清司郎
今回は出番なし。
3話までで一定の前フリはされたし、5話はガッツリ出るはずだからタメ期間ですかね。
・パンプモン
ハロウィン回ってことならコイツしかおらんだろ、とばかりに出てきた完全体デジモン。
仲間のキャンドモンとエカキモンを使い、人間たちを拉致してカボチャを被せ
そこに穴を開けて自分と同じ顔を作るという奇怪な行動に出ていました。
カボチャがもう少し小さかったら、確実に何人かは大怪我をしていたと思います。
その風体と光る目、意味不明な行動で犠牲者を恐怖と恐慌に追い込んだわけなのですが
実はマミーモンと同じで「ハロウィン」や「友達」の概念がよくわかってなかっただけでした。
前回のドラクモンとは真逆で、悪意はなかったのです。絵面は超やばいけど。
騙されたことに腹を立てるなど、根がある意味純粋であることも示されています。
そこに気づいた宙に諭され、友達になると快諾もされたことで戦意を納めました。
話を聞く素直さと、言われたことを理解するだけの頭がある証拠です。
行動があまりに的外れなのは、人間ではないということである程度カバーできますし。
とはいえ完全体とあって、ベテルガンマモンの技にもそこまでのダメージは受けてません。
火には弱そうなので悶絶してましたが、どちらかというと精神的ダメージの方が大きそう。
もし自分の考えに固執して本気を増していたら、マミーモン同様どうなってたかわかりませんね。
中の人は高戸靖弘さん。前作でもベーダモンやエレキモン役を務めておられました。
狂気的な行動をしつつ、その声質自体でどこか憎めないイメージを作ってらしたのはさすがです。
:のベーダモンは逆にそれを活かし、得体の知れなさを演出していましたね。
・キャンドモン / エカキモン
パンプモンの仲間というか手下というか、そういう連中。
カボチャ人形に扮して人間たちを拉致するなど、パンプモンの手足として働いていました。
後半では瑠璃を追いかけますが罠にハマり、トリックオアトリートの巻き添えでダウンしてます。
カボチャの紛争からすると、人間たちと同じようにして「友達」にされたのでしょうか。
でもパンプモンに悪気というほどのものがないのは承知していたようで、誤解が解けた際には
一緒になって喜んでいました。
意地悪な見方をするなら、もう人間を拉致しなくて済みそうでホッとしてたのかもしれませんが。
・謎の異空間
デジヴァイスVのスイッチを3度押すことで入ることができる空間。OPにも出てきたアレですかね。
コマンドを実行できるのはデジヴァイスVの持ち主だけですが、ガンマモンたちパートナーはおろか
他のデジモンたちも巻き込んで移動させることができます。
話がややこしくなるし、たぶん巻き込める範囲には限界があるはずですが。
これは現実と異なるのはもちろん、デジタルワールドとも異なるという特殊な場所です。
ここで何をしても現実世界には影響がないので、バトルがやりやすくなるという寸法。
デジクォーツとかARフィールドを強く思い起こさせる設定ですね。
こーゆーのはやっぱり方便として有効性が強いのでしょう。
★名(迷)セリフ
「トリニクトリートメント!」(ガンマモン)
トリックオアトリートを間違って憶えて。
彼らしい言い間違いですが、気に入ったのか連呼していました。
街中だったんで宙は大慌てするんですが、この騒動のおかげでデジヴァイスVの
所謂エリアシフト機能を偶然引き当てることになります。
「あたし、今日から『ヒロ』って呼ぶから。
あなたは『ルリ』でいいわよ」(瑠璃)
一度認定すると距離の詰め方が早いですね。
宙の方は唖然として「え…あー…… 了解です」と応えるのが精一杯でした。
「それは変だね…デジモンは、ふつう長い時間をかけて自然に進化するものなんだ。
人間でいえば『成長』だね」(アンゴラモン)
ヒロにガンマモンが進化してまた元に戻ったことを聞いた際のセリフ。
進化が起こりにくいというのは「クロスウォーズ」を思い起こさせなくもないんですが、
「デジモンの進化≒人間の成長」とまで言及されたのは初めてかもしれません。
かなりざっくりとした解釈ではあるけど。
「まぁ、いっか… 元気そうだったし」(宙)
上のセリフの少し後。
父が何をしているのか知りたい気持ちはあるものの、安否はあまり気にしてないようです。
あの親父がどこででも何とかやってく男だということを知ってるのかもしれません。
「あれ、知らなかった?」(宙)
「ヒロだって…透明化は、知らなかったくせに」(瑠璃)
被害者への影響を避けるため、デジヴァイスVのエリアシフト機能を使った際のやり取り。
ちょっと揶揄うような宙と、ジト目から笑みに変化する瑠璃の表情からは
言葉以上のものを読み取ることができます。
同志というのは大袈裟ですが、仲間として一歩前進した印象を受けますね。
「これが…!」(アンゴラモン)
ベテルガンマモンへの進化と、その爆発的パワーアップを初めて目の当たりにして。
セリフより、カボチャの破片からさり気なく瑠璃を庇ってるところがポイントですが。
紳士や……
「じゃあ…ボクと、友達になってくれる?」(パンプモン)
「オッケー。そうやってちゃんと言ってくれればいいんだよ」(宙)
嘆くパンプモンを諭す宙。
本作の路線の影響もあって、宙がちょっとやれやれ系入った菩薩になっている……
受け入れるパンプモンも素直です。今まで誰もこういうふうには言ってくれなかった、
ってことなんでしょうけど。キャンドモンたちもよくわかってなかったっぽいし。
「魔除けの祭… 悪魔呼び寄せ、カボチャ去りぬ…」(アンゴラモン)
ラストシーンのセリフ。
あんた詩まで詠むんか!? ちょっとキャラ盛りすぎでは!? いや盛ってくれていいけど!
★次回予告
白い蛇の伝説から始まるという、なんとも妖怪モノじみた予告です。
そして映像作品にちゃんと出るのはなにげに初となるクアトルモンに心よりの祝辞を。
もちろん、デビューを飾ることになるジェリーモンにも大いに期待させてもらいます。
ラストの顔マジラモンかな? そういえば、アレも神に仕えるイメージ……