博物館ノ怪

脚本:十川誠志 絵コンテ:中村亮太/三塚雅人 演出:中村亮太
作画監督:二階堂渥志 総作画監督:宇代祐規/大山康彦

★あらすじ

 何もかも謎だらけなまま、ガンマモンとの奇妙な生活を始める宙。
 無邪気なガンマモンに、まだ少し戸惑っていた宙も徐々に心を通わせてゆきます。

 そんな中、新国立上野総合博物館周辺で人が次々と行方不明になる怪事件が発生。
 現場付近では全身に包帯を巻いた大男の存在が目撃されており、この事件が
 「ホログラムゴースト」がらみである疑いが囁かれていました。

 これがガンマモンと同じ「デジモン」であるなら、父の行方やデジタルワールドについて
 何か情報を得られるかもしれないと睨んだ宙たちは夜の博物館へ潜入。
 果たして、展示されていたミイラから「マミーモン」が現れました。
 宙が質問すると答えてくれましたが、どうやら何も知らないようです。

 ところが、このことに落胆した宙を見て突如マミーモンが豹変。
 ガンマモンを一蹴、宙を包帯でグルグル巻きにして地下へと連れてきてしまいます。
 そこには、やはり全身を包帯で巻かれ拘束された人々が。
 医師を自認するマミーモンは心の弱った人間に儀式を施し、復活させようとしていたのです。

 そこへ駆けつけるガンマモン。
 宙はパートナーとの絆を互いに高めあい「進化」が導き出されます。
 新たな姿を得たその名は、ベテルガンマモン!

 ベテルガンマモンが気を引いている間に、宙はマミーモンの「誤解」を説きました。
 人間は復活することなどできない、儀式は何千年も前のもので現代の医術とは異なるのだと。
 致命的な誤謬に気づいたマミーモンは戦闘を放棄し、人々を解放。
 一から現代医術を学び直すべく去ってゆくのでした。悪意や害意はなかったのです。

 一件落着と引き上げかけた宙の目に、異様な光景が映ります。
 少女の側に巨体のホログラムゴーストが現れ、その後を歩いているではありませんか──
 
 
 
★全体印象
 
 2話です。
 上記の通り、今回は博物館でのミイラ展を舞台にしたマミーモンとの戦い。
 戦闘ではベテルガンマモンが登場し、過去作とはまた一味違うバトルを見せてくれます。
 他にも二形態があるようなので楽しみですね。

 内容としては前回同様、1話で区切りがついているのですが状況自体は連続性が高く
 宙の部屋の窓は修理中、コタロウは退院明けとなっています。
 形式としてはやはり序盤のテイマーズやセイバーズに近そうですね。

 今回も、お話として特筆しないといけないほどの穴は見当たりません。
 前半でガンマモンと触れ合う宙の描写には「こういうのでいいんだよ、こういうので」
 という言葉が頭をよぎって仕方ありませんでした。

 それと、今回はあまりデジモンをバシバシ斃す方針ではないようですね。
 なんらかの誤解を解いたり、目的を叶える手伝いをするなどして解決する流れが増えそう。
 もちろん、意思疎通ができたところで話の通じない相手もいるでしょうけど。
 1話のクロックモンからして、自分の欲望を満たすことしか考えてなかったし。

 アクションの絶対量は少ないですがその分気合は入っており、見応えがありますね。
 ベテルガンマモンも敵を斃したわけじゃないのですが、事態の解決には繋がったので
 モヤモヤ感は残りにくいようになっていました。

 絵コンテ・演出には中村亮太さんが参画。
 「クロスウォーズ」「ドラゴンボール超」などで演出を歴任しているほか、
 「映画 ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」では
 監督もつとめている実績のある方です。「怪談レストラン」にも参加しているので、
 この手の演出はお手のものかもしれませんね。

 総作監の二人のうち、宇代祐規さんは:にも作監として参加されていた方です。
 大山康彦さんはどうやら相当のベテラン。ほとんどのデジモンシリーズに参加されてます。
 総作監としては確か初めてですが、経歴としては安心感がありそうですね。

 本作から突然マトモな作りになって、いっそ面食らうレベルです。急にどうした。
 いやなんでもないそのまま続けてください。私なんぞに構わずどうぞどうぞ。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・宙

 ガンマモンとの微笑ましい触れ合いが描かれています。
 素直な「弟」へ好感を強めてゆく様子が抜かりなく積まれていました。
 この流れが後半できっちり活かされ、ベテルガンマモン登場に繋がってゆきます。

 また事件に首を突っ込む理由として現状、単に事件を放置できないという正義感より
 「父が今どこにいて、デジタルワールドはどこにあるのか知りたい」
 「そのために、デジモンらしきものには片端から話を聞いてみたい」

 と動機付けがより明白になっており、おかげで無理なく見れる構図になっています。

 むろん色々と知った後、それとは別の動機で行動する必要は出てくるでしょうが
 色々わかった後だからこそ新たな動機ができる可能性が高いので、
 そこはまあ大丈夫なんじゃないでしょうか……知らんけど。

 行動力もですが、断片的な情報からマミーモンの認識が間違っていることを見抜くなど
 1話でクロックモンを妨害した件とあわせ、洞察力もやはり中学生離れしていますね。
 彼の一言が事件解決へ繋がるケースも、これからまだまだ出てきそうです。
 
 
 
・ガンマモン

 好物がチョコ、という設定が今回から登場します。
 様々なものを口にした中で、特にチョコが気に入ったという流れ。
 ここでのやり取りが特に後半へのフックとして強力に掛かる形になっています。
 可愛らしさも相変わらずで、前回と併せ一気にファンを獲得した感さえありますね。

 また普段は畳んでいますが、背中に小さな羽根を備えていることもハッキリしました。
 加えて、電子的なロックならば簡単に解除してしまうことができるようです。
 これに関しては宙の苦慮に本能的に呼応した結果であって、本人は気づいてないっぽいですが。

 戦闘では、進化するまでほぼやられっぱなしでしたが健闘はしています。
 相手が設定としては二桁も格上なので、頑張った方でしょう。
 
 
 
・ベテルガンマモン

 宙との絆を高めあうことで進化を果たした姿。設定上は成熟期にあたります。
 声をかけあうたびにゲージが上がってゆく演出はなかなか効果的なものがありました。
 ベタといえばベタだけど、迂闊に言葉面だけへ頼るよりは良い気がします。

 真っ赤な体色に青いマフラーが印象的な、フレイドラモンを思い出させる姿です。
 同列に複数の進化体が存在するあたりからみても、やっぱりこの子ブイモン直系なのかも。
 じわじわと推しにしたい気持ちが高まってきた気がしますぞ。

 バトルではまだ最強技を出しておらず、手から「ソルショット」を放ったのみ。
 このためかマミーモンには怯ませる程度の効果しか挙げられていないのですが、
 間隙を逃さず宙が説得にかかって誤謬を悟らせたので、それ以上の戦闘継続には至っていません。
 お互い本気を出さないうちに終わった分、両方の格が保たれた形。
 
 
 
・瑠璃

 友人たちとミイラ展に来ていましたが、思ったより怖くないと残念がっていました。
 まだ宙や清司郎とは正式な面識がないですが、次回であれこれ動きそうです。
 アンゴラモンの存在には果たして気づいているのか、いないのか。
 
 
 
・アンゴラモン

 ラスト手前で初登場。
 瑠璃の後ろにヌーッと現れ、その後ろをついて歩いていました。
 これを目撃した宙は「嘘だろ……!」と呻いています。無理もない。
 
 
 
・清司郎

 何か知っているのか、と宙に聞かれてことさらに否定していました。
 すでに巻き込まれていると見てほぼ間違いないでしょう。
 ジェリーモンはあまり軽率に人前に出てくるタイプじゃないのか、宙もコタロウもまだ
 「なんだあの人……」ぐらいの反応にとどまっていますが。
 
 
 
・コタロウ

 すっかり元気になって退院してきました。
 看護師さんが美人だったのでナンパしていたら、親に怒られて強制退院になったようです。
 何やってんだコイツわ…… グムー、こりゃあ全然懲りてないかも。
 
 
 
・受付員

 寮の受付員さん。モブにしとくには惜しいメガネ美人さんです。
 彼女の発言により、寮の門限は11時だとわかります。案外遅いんですね。
 
 
 
・チューモン

 宙とガンマモンが買い物中に遭遇した成長期デジモン。
 道路の脇に佇んでいましたが、すぐに茂みの中へ飛び込んで姿を消しており悪さはしてません。
 白昼堂々ですが、デジヴァイスを介してリアライズを果たしているであろうガンマモンと異なり
 普通の人の目には見えないようです。
 宙がデジモンを見ることができるのも、やはりデジヴァイスの影響なんでしょうか。
 
 
 
・マミーモン

 博物館のミイラを介するような形で現れ、夜な夜な人々を拉致していたアンデッド型デジモン。
 設定上は完全体にあたり、描写としてもクロックモンよりだいぶ格上イメージ。

 手口としては、犠牲者を「スネークバンテージ」でグルグル巻きにして連れ去るというもの。
 宙が連れてこられた時点でけっこうな人数が捕まっており、助けを求めていました。
 中にはかなり弱ってる者もいましたが、マミーモン自身ははこれを「良い兆候」と呼んでます。

 所業ともども一見すると恐ろしいのですが、実は医者を自認しています。
 捕まえた人々はみんな心身ともに疲れており、これを「浄化して復活させる」のが目的。
 ミイラ展に示されていた古代の復活の儀式に範を得て、これを施そうとしていたのです。
 宙を捕まえたのも、彼が落胆したのを「疲れている」と認識したからです(実際疲れてたのですが)。

 もちろんこれは大変な誤解で、彼は人間が死んだらそれっきりだということを知りませんでした。
 またミイラ展で得た知識が大昔のものであり、現代には適用できないことも知らなかったのです。
 このことを宙から聞かされて愕然としていたように、本来は善意の存在なのでした。
 もっともその手段が拉致なんで「善意の押し売り」ではあるわけですが……

 ただ決して頑迷というわけではなく、誤解が解けたあとは速やかに人々を解放しています。
 宙が父のことやデジタルワールドについて尋ねた時にも「知らん」「わからん」という具合に
 ちゃんと答えを返してはおり、本作では見た目ほど恐ろしい存在ではありません。
 一から現代医術を学び直そうと宣言していた通り、向上心も旺盛です。

 バトルではガンマモンを寄せ付けず、ベテルガンマモンの攻撃もあまり効いてなかったので
 強さ的にはかなりのものです。あのまま戦いが続いていたらどうなっていたかわかりません。
 まあ本人はふだん銃を封印してるし、必要がなければ戦わない主義みたいに見えますけど。
 抜いたのも「患者」である宙をガンマモンが奪還しようとしたためですし。

 中の人は菅生隆之さん。
 もともとは顔出しメインで、テレビアニメへの参加は意外に遅く1990年台から。
 声質を生かした渋い役が多く、ここ10年では「宇宙戦艦ヤマト2199」の沖田十三や
 「獣電戦隊キョウリュウジャー」の百面神官カオスが特に印象的です。
 この方の声のおかげもあって、マミーモンは新たなキャラ性を獲得することができました。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「やっぱ、夢じゃなかったのか……
 それにしてもひでぇ顔。疲れてんなぁ……」(宙)

 
 クロックモンを追い払ってから一夜明けて。
 昨日の今日でまだ戸惑いを隠せない様子がありありです。
 さり気なく布石になっているセリフでもありますね。
 
 
「うーん、期待してたのに意外に普通のミイラね……
 全然怖くない……」(瑠璃)

 
 ミイラ展のミイラを眺めながら。
 前回からそんな感じでしたが、オカルトとかホラーが大好きみたいですね。
 デジモンを見た際の反応、およびその正体を知った時の反応が気になります。
 
 
「そうか。辛いは怖い、と……」
「ん〜と…… ”最強”はチョコのことか」(宙)

 
 ガンマモンの嗜好をスマホのメモ帳に記しながら。最近では当たり前の光景です。
 宙自身の探究心みたいなものも見て取れる場面ですね。
 このへんのやり取りは、後半のバトルに活きてきます。
 
 
「皆、案ずるな。これぞ永遠の命……
 深淵こそ再生に至る…道しるべ!」(マミーモン)

 
 マミーモンにまた新たなキャラ性が加わった瞬間です。
 知らぬ上での所業とはいえ、被害者たちは生きた心地がしなかったでしょうけど。


「そうじゃない! 見てない、見てない、なんにも見てない!
 野村くん、退院おめでとう!」(清司郎)

 
 何か知ってるのか、と宙に聞かれて。あからさまに怪しい態度です。
 去り際、コタロウに声をかけるのを忘れない律儀さも完備。
 その後の挙動で「何だあれ?」「さぁ…」などと言われちゃいますが。


「最強!!」
「! 最強!!」
「…ああ! また…チョコ食べような!」
「おれ…もっと食べて… おれ…ヒロ、助ける!」(宙とガンマモン)

 
 パートナーとして互いに歩み寄りつつある二人の、最初の一歩です。
 一緒に美味しいものを食べるというのは、特にガンマモンにとって良い経験だった模様。
 ただその力は本作の場合、必ずしも敵を斃すためのものではないようです。
 是非はともかく、方向性としては思いのほか新しいかもしれません。


「ありがとう。
 では医師の初心に帰り、一から出直してくるとしよう……」(マミーモン)

 
 付近に有名な病院が結構あるので人間の治し方を学ぶといい、と宙にアドバイスされて。
 素直です。「無知の知」を自覚できる相手だったのは幸いでした。
 
 
 
★次回予告

 瑠璃とアンゴラモンが本格的に絡んでくるであろうことと写真がらみ、ということ以外は
 何もわからない内容です。なかなかうまく隠してきますね。
 事件を起こしてるのがアンゴラモンという可能性はかなり低いと思うのですが、
 ではいったい何モンが関わっているのでしょう?

 エカキモン……とかじゃないよな??