真夏の亡霊

脚本:小林キリコ 演出:前原 萌
作画監督:吉田雄一/楢崎朝子/張 凯英/天界/
堀川陽向/Mooseky/KANENOBU/mono
総作画監督:金久保典江 作画監督補佐:宇代祐規/洪 範錫

★あらすじ

ホタルコの経営する海の家にやって来たトモロウ達。
名物「シャコモン焼き」に舌鼓を打っていたところ、浜にライトとモノドラモンが
打ち上げられているのをキロプモンが発見します。
介抱されたライトは、しかし突き放すような態度で相方と去ってゆきました。

異変はその直後に起きます。
レーナとマコトが突然眠ってしまい、さらに大きな音。様子を見に来てみれば、
注文を運んでいったはずのホタルコとグラニットの姿がありません。
代わりに残されていたのは、二人を捕まえたという何者かのメッセージのみ。

現場にはライトも来ていましたが、ホタルコ達はもう仲間ではないと同行を拒否。
やむなくゲッコーモン達を連れて指定場所である海辺の村に向かったトモロウは、
タクティクスの残党・チームワンに遭遇します。
彼らはタクティクス再興を目論み、ライトを裏切り者として狙っていました。
そのための餌としてホタルコたちを捕まえ、彼を誘き出そうとしていたのです。

サポタマを奪われての苦戦。なんとか進化して反撃に漕ぎ着けるトモロウ達ですが、
狙撃役のバルチャモンに比較的弱い腹部を狙われて大ピンチに陥ります。
しかし、敵の行動は狙撃位置を悟られやすくなる諸刃の剣でもありました。
ライトの奇襲でチームワンは一気に崩れ、メンバーはお縄となります。

ライトはひそかに別行動を取り、連携を断つタイミングを狙っていたのでした。
つまり、トモロウ達はまんまと囮に利用されたのです。

どうやらクリーナーとしてまた別の後ろ盾を得たらしいライト。
今よりも強くなって必ずお前を倒すと宣言し、ライトは去ってゆきます。
災難には遭いましたが、悪い出来事ばかりではない1日でした。
 
 
 
★全体印象
 
33話です。
24話以来音沙汰のなかったチームセブンへ久々にスポットが当たったお話。
中でもライト組が際立ってました。というかちゃんと活躍したのは彼らだけですが。
他の二人は訓練で得たカンを失くしていないところはアピールしたものの、
パートナーと離れていたこともあって途中から活躍はできてません。

とはいえ、ひとまず元気でやっているところを見られたのは何よりです。
特にライトは肩の力が抜けたのか、明らかに一皮剥けた印象を受けます。
完全体進化もどうやらしっかり使いこなしているようだし、ラストシーンでの
ぶっ倒し宣言は伊達じゃなさそうですね。

前に進んでいる彼らの対比となっていたのが、チームワンでしょう。
実力の程はともかく、いまさらタクティクスに拘って再興まで目論むとは
視聴者目線だとあまりに滑稽で泣けてきてしまいます。
彼ら、タクティクスが何のために作られたか知ってるんでしょうか?
……そういえば内藤ってどうなったのかな。

トモロウとゲッコーモンも負けてはおらず、敵三体のうち二体を倒してます。
成熟期相手ならば、完全体進化がなくとも押し切れるわけですね。
まあ、今回はライト組に活躍を譲ったところも大きいでしょう。

脚本は小林キリコさん。27話に続いての登板です。ローテ入りでしょうか?
演出の前原さんは奇しくも、チームセブンとの最初の直接対決を担当した方。
そういう意味ではうってつけのオーダーですね。
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・トモロウ

 囮役として利用されちゃった人。
 飲み物に仕込まれた睡眠薬を飲まずに済んだのは偶然でしたが、このおかげで
 チームワンの目を引きつけるに充分なだけの抵抗ができています。
 彼らがいなかったら、ライト組も遥かに苦慮してた可能性が高いわけですね。

 つまり彼らの存在が首尾の良い幕切れに繋がったわけで、そこは主人公らしさです。
 ライトの宣言に満更でもなさそうな顔なのも、少々ケムには巻かれていますが
 今までとは違うものを感じ取ったのかもしれませんね。
 
 
 
・ゲッコーモン → アルマリザモン

 その食い意地で事態好転に貢献した人。人じゃないけど。
 トモロウの飲み物を横から掻っ攫ったおかげで、パートナーは眠らずに済みました。
 どうやら薬の類は効かないみたいですね。または単に、彼を眠らせるためには
 人間よりもずっと多い量の睡眠薬が必要なのかもしれません。

 バトルでは苦戦の中、トモロウの機転でそのe-パルスを探って相手を捕まえ、
 進化にたどり着いています。ノリにノッてる時は完全体をも倒せる実力だけあって
 真正面からなら二体相手でも圧倒できるのですが、狙撃手がネックでした。
 とはいえ、あんだけ撃たれてもまだ全然余力を残してましたけど……

 最後はニュートロンデフューザーで、眼前の二体をまとめて無力化。
 改めて、その規格外ぶりを実感したように思いますね。
 完全体であるバルチャモンの狙撃にも、腹以外にはノーダメージだったし。
 
 
 
・レーナ組/マコト組

 前回に続き、見せ場らしいものはほとんどありません。
 相方たちは頑張ってましたが、あの相手に進化できずでは致し方なしです。
 ホタルコやグラニットと何の蟠りもなく談笑してるあたりにはホッコリしましたが。
 あと手伝いを申し出るマコトが相変わらずド聖人。
 
 
 
・キョウ組

 珍しくワンカットも出てきません。
 別の用事があったのか、それともニリンソウ行きが重なったか。
 いずれにせよ、あとで事の顛末を聞いてさぞ仰天したことでしょうね。
 
 
 
・ホタルコ

 母の頼みを受け、海の家にて期間限定(つまり夏だけ)でお好み焼き屋をやってました。
 トモロウ達は現地でその辺の事情を知ったようですが、クリーナーを廃業はせず
 あくまでも夏の間だけ専念するみたいです。

 グローイングドーンを誘ったのは、以前世話になってお礼ということでした。
 平日の空いてるときを狙って泳ぎも楽しんでもらい、料理も食べ放題とは太っ腹です。
 相変わらず義理堅い人ですね。

 その筋にしかわからないカンというもので奇襲をある程度凌ぐなど、
 タクティクスとして鍛えた感覚や身のこなしが健在であることも示していましたが、
 いかんせんパートナー無しではどうしようもなく、捕まってしまいました。
 こればっかりはしょうがないですね。

 でもライトについては「来るだろう」と予測していたみたいです。
 彼の様子から、不覚を取ったであろうことは明白。自分たちの存在には関係なく、
 コケにされて黙って引き下がるような男じゃないことはよく知っているでしょうから。

 少なくとも、そういう意味での信頼はあるはずです。
 彼が変わろうとしていることも承知していますからね。
 チームセブンなき今だからこそ、今後が彼女たちの本当の繋がりが育つ時期なんでしょう。
 
 
 
・グラニット

 ホタルコとほぼ同じ立ち位置。
 こき使われているだけとは言ってますが、別に不満などはなさそうでした。
 むしろ今はここ数年の彼にとって、一番幸せな時期じゃないでしょうか。
 顔とか態度にはあまり出ないけど。

 ライトに対して「またね」と言ったのが彼であることも特筆すべき点です。
 再会というものは当然ながら、お互いが健在でないと成立しません。
 それを望むということ自体、彼が未来に目を向けて生きてる証拠ですから。
 
 
 
・シャコモン/ルドモン

 パートナー抜き組では際立って奮闘していました。
 特にシャコモンはトモロウの援護防御にかなりの貢献をしてますが、e-パルスで
 さらに威力の上がった狙撃には対応しきれず、ダウンを余儀なくされています。

 ルドモンはお好み焼きを手際よく焼くという、意外な器用さを披露していました。
 極端に無口だった以前に比べ、成長期段階でも言葉での意思表示が増えてます。
 自慢のシールドがあっさり壊されたのにはビックリしましたが。

 あんな射撃に何発も耐えたアルマリザモンの防御力は一体どうなってるんでしょう?
 しかも相手は仮にも格上ですよ?
 
 
 
・ライト

 再登場していきなり大ピンチに陥っていました。
 出し抜けに襲撃を受けて相方が負傷、撤退せざるを得なくなったのかもしれません。
 最初からチームワンの調査と、可能ならばその捕縛を依頼されてたのでしょうけど。
 いずれにしても不覚を取ったことに間違いはなさそうです。

 つれない態度を取ったのは、事情を知らないホタルコ達を巻き込まないためですね。
 しかし状況が変わり、トモロウが健在なのを利用したわけです。
 このときも極めて塩対応を取り、別行動を取りやすいように動いていました。

 あのような言い方をすれば、トモロウは無理に自分を同行させようとはしない。
 彼らがチームワンの目を引いている間に、敵の要であるバルチャモンを見つけられれば
 あとはどうにでもできるはず、というところまで読んでのことですね。

 そこには、簡単にやられることはないだろうというトモロウ組への信頼もありそうです。
 なにしろ彼は、その底力を目を肌でハッキリと実感しているんですから。
 その意味じゃ、トモロウとアルマリザモンにしか任せられなかったとさえ言えます。

 でもそれならそれで「向こうのやり方は知ってる、狙撃手の位置を特定するまで
 なんとか相手の目を引きつけてくれないか」と普通に頼めばよかったのでは……
 なんて言いたくなりますけど、そんな物言いをトモロウ相手に彼ができるかと言えば
 答えはNOと書くしかないでしょう。

 たとえ正直に話したとしても、あんまり良いように捉えてもらえない可能性があるし
 それでトモロウが素直に言うことを聞いてくれるという保証もありません。
 なんなら、話したことでかえって意図がチームワンにバレる可能性もあります。
 トモロウ組の態度が露骨になるかもしれないしそうなった場合、ウラに気づかないほど
 向こうさんも馬鹿ではないはずなので。

 というわけで、ああいうムーブをするしかなかったんだろうな……と見ます。
 つまり、正負ひっくるめての信頼から出た行動なんだろうな、と。

 信頼といえば、モノドラモンとの信頼は揺るぎないものに育ちつつあるようですね。
 完全体進化を完全に使いこなしているのが、その何よりの証拠です。
 まだ満足もしていないようですし、これでまた今後が楽しみになってきましたよ。

 
 
・モノドラモン→ランフォモン→アズダルモン

 海辺で無邪気にゲッコーモンと遊んでる姿が妙に印象的でした。
 相方と異なり素直でフランクな性格なんですが、本来ライトもこういう性格なのかも。
 いろいろあって今やだいぶ捻くれてる感じですが。

 冒頭でおそらく狙撃から負傷し、進化もできなくなっていた模様。
 しかし、そのダメージは次の日の昼にはだいたい治っていたように見えます。
 人間よりずっと傷の治りが早いという証拠。さすがに戦闘中は無理にしても。

 バトルにはランフォモンの段階で参加、バルチャモンの位置を突き止めて奇襲。
 逃走したバルチャモンを追って他のメンバーから引き離し、連携を絶っています。
 事実上、この時点でほぼ勝負はついていました。

 追撃戦においても相手にアウトレンジを取らせず、得意のインレンジを徹底。
 完全体進化の勢いで、ほとんど何もさせずに勝利をもぎ取っています。
 あれ? ひょっとしてこのコンビ初めての快勝じゃありません???
 ファンにとっては念願が叶った瞬間かもですね。
 
 
 
・チームワン

 イチノスケ、ニチカ、サンペイの三人で構成されたタクティクス残党。
 名前がものすごくモブっぽいですけど、本来の名前じゃないのかもしれません。
 某国の奥地に派遣され行方不明ということで、五行星の目を逃れていたのですね。
 本人たちはこれを「左遷」と思い込んでいるみたいですが。

 その目的は何を血迷ったか、タクティクスの再興でした。
 しかしそれも建前で、単なるチームセブンへの私怨で暴挙に至っただけにも見えます。
 特にライトには恨み骨髄で、ホタルコ達には彼へほどのこだわりはない感じ。
 まあナンバーワンの座を奪われたりした際、さんざん煽られたりしたんでしょうが
 そういうことをずっと根に持っているというのは器の小ささを曝け出すだけでしょう。

 そもそも彼ら、タクティクスが作られた本当の理由を知ってるんでしょうか。
 その全部がただの建前で、実態はクレイが力を得るための餌ですよ。
 他の五行星、特にゲンジョウに先手を打たれて目的の半分も達してなさそうでしたが。
 まあ、クレイ本人の口からちゃんと聞いたのはグローイングドーンの他だと
 チームセブンの中ではせいぜいライトぐらいだったでしょうけれど……

 知っていて、それでもその建前が自分たちにとって大切であり、表向きだというならば
 自分たちが代わりにその理念を実現する、というのならまだわかるのですけれど
 別にそういう考えでもなさそうだったんですよね。
 立脚点の脆い連中であると強調するためにあえて軽く設定してるんでしょうか。

 総じて実力面では決して低くないと思うんですが、アルマリザモンに拘るあまり
 不在のライトへの警戒が疎かだったり、脇の甘さが目立ちます。
 つまり目の前の獲物に集中しすぎて、周りが見えていない傾向がある。
 個々の戦闘力は置いといて、そういうところがNo1を取れなかった理由なんでしょう。
 
 中の人はイチノスケが深川和征さん、ニチカが前田愛さん、サンペイが三野雄大さん。
 前田さんは見間違いでなければあの前田さんなんですが、ドスの効いた演技のため
 変装時の愛想よくしてる時ぐらいでないとなかなか判別できません。
 三野さんはスナリザモンや、「クロスウォーズ」のバコモンで出演済。
 深川さんもこれが初ではなく「ゴーストゲーム」にも出演していた模様です。
 
 
 
・バルチャモン/シールズドラモン/ハイコマンドラモン

 チームワンのパートナーたち。三体中二体がサイボーグ型に属します。
 また全員が姿を隠して相手を眩惑することができ、苦戦を強いてきました。

 特にトモロウのサポタマを進化前に奪取したシールズドラモンの貢献度は大きく、
 一時はパートナーのいないデジモン達とトモロウ組を壊滅寸前まで追い詰めました。
 しかしシールズドラモンがサポタマを手放さずにいたため、e-パルスを手掛かりに
 位置を突き止められてゲッコーモンの舌に絡め取られ、進化を許してしまいます。

 それでも他の二体に抑えさせたところでバルチャモンが比較的手薄な腹を狙い、
 アルマリザモン相手に有効なダメージを取ることができたのですが、
 さんざん撃ち込んでもなかなか決め手にならず、狙撃場所がバレる羽目に。
 ライト組の襲撃を受け、真っ先にバルチャモンが倒されてしまいます。

 その動揺をつかれ、ハイコマンドラモンとシールズドラモンも一気に倒されました。
 幼年期はバルチャモンだけスナモン、他二体はボムモンです。
 土の五行星配下のデジモンは進化系の傾向も似てくるのでしょうか。
 もっとも彼らの忠誠はクレイではなく、タクティクス自体にあるようでしたが。

 中の人はバルチャモンが岸尾だいすけさん、シールズドラモンが橋詰知久さん、
 ハイコマンドラモンが山口太郎さん。岸尾さんはもはや説明不要でしょう。
 橋爪さんは「進撃の巨人」のベルトルト・フーバー役として知られる方です。
 山口さんはレアモンを生んでしまった細田役として以前に出演済ですね。
 
 
 
・ホノカ

 ラストシーン手前に登場。意外な形での再登場です。
 カイトに言われてライトを呼びにきたのだとか。仮にも同格なのにパシリ同然。
 まあ本人はまったく気にしてない風でしたけど。

 気にしてないといえば、緊張していたホタルコたちに対して彼女の対応はあっさりでした。
 こういう性格だし、過ぎたことには強い恨みでもない限り固執しないのかも。
 たぶん感情が凪になってしまうんだと思います。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「モノドラモン……大丈夫だ、オレを信じろ!」(ライト)

 崖からダイブする前のセリフ。
 一つ前のセリフもですが、ここだけでも以前とは違うとわかります。
 
 
「いい度胸、してんじゃねぇかーっ!」(トモロウ)

 ゲッコーモンにいっぱいの水(本当にいっぱい)をぶっかけられて。
 レーナは「またケンカしてる」と言ってましたが、どっちかというと戯れてます。
 
 
「こき使われてるだけだけどね」(グラニット)

 マコトに現状を確認されて。でも満更ではなさそうです。表情には出ませんが。
 
 
「今日は好きなだけ食べていって。お世話になったお礼よ」(ホタルコ)

 上のすぐ後。以前からは考えられないほど和やかなやり取りです。
 
 
「まさかこんなところで隠居生活とはな。そんな生温い連中に興味ねぇから」(ライト)

 そしてこの塩セリフである。
 もっとも今回の場合、意図あっての露悪だとわかりやすいのですが。
 
 
「あの、ボクも手伝いましょうか?」(マコト)

 30枚ものお好み焼きを忙しそうに焼いているホタルコ達に。
 レーナの言う通りあまりにもお人好しですが、そこが彼の良いところです。
 あまりにも人間ができすぎていて10年どころか5年後が空恐ろしい。

 17話あたりを思い出すと、柔らかく遠慮するホタルコの描写に関係の変化を感じますね。
 比べればグラニットの言葉は直接的ですが、キツいというほどでもありません。
 
 
「エサはエサらしく、黙って捕まりな」(ニチカ)

 ホタルコ達を昏倒させて。なかなかいい性格をしているようです。
 制服時だとまた印象が変わるんですが、こう見えて20代後半なのかもしれません。
 まあチームワンというからには古株だし、結成だけなら何年も先輩なんでしょう。
 
 
「ボクも行く……!」(ルドモン)

 ホタルコたちの救出へ同行を申し出るシャコモンに続いて。
 他にもチームワンにグラニットの居場所を問い詰めたり、意思表示が増えてます。
 成長期のときはほとんど喋らなかったのに、どんどん変わっていますね。
 
 
「誰が一緒に行くって言った。馴れ合うのはごめんだね」
「あいつらはもう仲間じゃねえ。オレには関係ねぇだろ」
「捕まる方がマヌケなんだよ!」(ライト)


 トモロウに声をかけられるも、剣もほろろに断って。
 これまた露悪に満ちたセリフです。こう言えばトモロウが自分をアテにする気がなくなり、
 且つそれでもホタルコ達を助けに行く性格だと踏んでのことでしょう。

 しかしこの時すでに、最も有効な戦術が出来上がっていたはずです。
 トモロウの性格を熟知しつつ、反発や対抗心だけでは動かない。
 物言いは相変わらずながら、確かな進化を予感させる場面です。
 
 
「御託はいい。タクティクスの掟に従い、ライトを始末する。
 そしてそれを、タクティクス再興の狼煙とする」
「さあ、粛清の始まりだ」(イチノスケ)


 そしてこちらは旧態依然。同じことを繰り返そうとしています。
 この時点でもう格が違いすぎるんですね。哀れにさえ思えてくる。
 自分たちの言葉に酔ってるのが余計に痛い。酔うな、己の戦いに。
 「やり直す」のと「繰り返す」のは違う、と言うことを教えてくれます。
 
 
「ゲッコーモン! オレのe-パルスを辿れ!」(トモロウ)

 苦闘の中で見出した光明。
 逆境を作ったものこそが、その逆境を跳ね返す鍵になるという好例です。
 
 
「チッ……堅すぎる!」(バルチャモン)

 アルマリザモンを背中から狙撃するも、ノーダメージなのを見て。
 愛用のライフル「CND-96」は圧縮した砂を撃ち出す武器だそうですが、
 本来の防御力に加えてトモロウのe-パルスが漲っているアルマリザモンの場合
 装甲が堅固すぎて貫けないのかもしれません。
 
 
「狙撃位置を割り出すのにあいつらを囮にした。
 スナイパーが同じ場所から何度も撃てば、居場所がバレるだろ」(ライト)


 で、そのアルマリザモンの防御力に手間取ったイチノスケをまんまと見つけて。
 二行めの口調がいかにも「だから二流なんだよてめぇは」とでも言いたげです。
 獲物に集中した瞬間こそがスナイパーにとっての最大の隙であることと、
 トモロウ達ならその隙を作れることを熟知していて初めて打てる一手でしょう。
 
 
「来るとは思ってたけど……」
「ライトにしては、時間かかったね」
「フッ……うるせーよ」(チームセブン)


 解放されたホタルコ&グラニットの反応と、ライトの返し。
 タクティクスの縛りから解放された、ただのチームセブンとしてのやり取りです。
 心なしか、以前の張り詰めたものが良い意味でほぐれていますね。

 おそらくライトは気取られぬよう、タイミングを窺いながら静かにやってきたはず。
 その分どうしても時間はかかるし、内心では気が気じゃなかったでしょう。
 でも、そういうことをいちいち表に出さないのがライトだと理解できる程度には
 二人とも彼との付き合いは長いし、だからこういう会話になったのかもしれません。
 
 
「一気にケリをつけるぞ! やれるな、ランフォモン!」
「ああ。ライト、オレは……お前を信じる!」(ライト&ランフォモン)


 バルチャモンを追撃しながら。序盤を布石にしたセリフです。
 「信じる」というセリフを、パートナーから放っているのがポイントです。
 そして本当に一気にケリをつけました。チームセブン筆頭の面目躍如。
 
 
「ごくろうさん。いい囮だったぜ、天馬トモロウ」(ライト)

 状況が飲み込めていないトモロウに。
 セリフだけ見ると一見皮肉めいてますが、事実を言っているようにも見えます。
 要するにものすごく持って回った労いですね。
 ここで「お前のおかげでうまくいった、助かったよ」とは意地でも言わないのが
 つまり惣田ライトという男なんでしょう。
 
 
「はぁ? カイト様が呼んでこいって言うから来てやったのに。マジで萎える」(ホノカ)

 迎えに来いなんて言ってないだろ、と言うライトに。
 そんでよく見るとこのセリフ、ライトに直接用事があるのはカイトの方だとわかります。
 つまりライトは今、火の五行星のもとに身を寄せているということに。

 しかし彼女のような人物にこんな口を叩くとは、ライトも度胸ありますね。
 年も同じぐらいだし、敬称や敬語など必要ないと思ってるのかもしれませんが。
 この二人、案外これから目が離せなくなるかもです。
 
 
「あれ? ってかアナタ達、あの時見逃してあげた子じゃん。まだ生きてたんだ」(ホノカ)

 思わず緊張してしまうトモロウにホタルコ、グラニットに。
 物言いはアレですが、関心の薄そうなセリフです。本当に興味が薄れてそう。
 というか彼女の中では「見逃してあげた」ことになっているのですね。
 実際には単にテンションダダ下がりして帰っただけなんですが。
 
 
「天馬トモロウ。オレは今より強くなる。そして……てめえを倒す!」(ライト)

 トモロウへの新たなライバル宣言。
 単なる殴り合いの意味じゃないことは、トモロウにも伝わったようです。
 クリーナーとして、デジモンと共にある者としてオレはこれからも高みを目指し続ける。
 お互い頑張ろうぜ、ってところですかね。超意訳だけど。
 
 
「これ、途中で食べて」
「またね」
「……おぅ。じゃあな」(チームセブン)


 別れ際。上にも書きましたが、グラニットのセリフが地味に前向きです。
 ホタルコが差し出したお好み焼きの包みをライトが受け取るまでの間もポイント。
 アレは躊躇いというより、どっちかというと照れかも。
 
 
「あ”ぁ〜、もう! アオハルやめろってのぉ!」(ホノカ)

 去り行くライトと、それを爽やかに見送るトモロウ達を見て。ほぼ同時に本編終了。
 まさかのオチ担当です。凶暴に見せかけてギャグもできるのが彼女の良いところ。
 彼女、本当にこーゆーのが苦手なんですね。やっぱり何かあったのかな。
 
 
 
 
★次回予告

 なんといきなりライラモンがウルヴァモンを攻撃しています。
 その後ろにはレーナと……そして、ミハルの姿。

 ローズがミハルを重要参考人として狙うも、それと知らぬグローイングドーンが
 思わず庇ってしまって対立が発生する形……?
 これは、ミハルの正体がトモロウ達にも共有される流れ……?