冷たい雨

脚本:會川 昇 演出:福岡大生 
作画監督:洪 範錫/近藤瑠衣/酒井夏海/杜 明芮/jeto/KANENOBU/Kamon
総作画監督:小島隆寛

★あらすじ

情報屋が次々と襲われ、コールドハートされるという事件が発生。
山田親子との一件で登場した火野もそのひとりでした。
その火野のサポタマに残されていた動画を見て、マキの血相が変わります。

実は彼女は15年前、パンジャモンというデジモンと組んでいました。
パートナーの仇を討ちたいと請われて放っておけずに、だったのですが
長ずるうち互いに信頼が生まれるようになってゆきました。
事件の犯人の名はフウマモン。そのパンジャモンをデリートした存在なのです。

一定の事情をトモロウ達が把握したところで、とつぜん事態が動きます。
サポタマに「GIFT」の文字を浮かび上がらせた人々が次から次へと現れ、
今度はマキを狙ってきたのです。人々の様子は明らかに異常でした。
追い回されるうち、孤立したマキはフウマモンと一対一の状況に……

と思われたのは、彼女の作戦でした。
一度は捕まったものの、別行動のキョウとムラサメモンが割って入ります。
卑劣な戦いをするフウマモンでしたが、その性格を知り尽くすマキの助言で
そのさらに裏がかかれ、無力化することに成功しました。

幼年期化したフウマモンを仇として、ナイフでトドメを刺そうとするマキ。
彼女にとって、パンジャモンはかけがえのない存在になっていたのです。
それを止めたのはトモロウと、パンジャモンの遺した想いでした。

顛末を密かに見届けていた人物は、GIFTの頂点に立つ存在。
フードの下に隠れていた素顔は、あの影森ミハルでした。
彼女はトモロウの行動を高く評価し、不穏な言葉を呟きます。
その側には、恐るべき悪魔の影が……
 
 
 
★全体印象
 
32話です。
ほぼレギュラーとして脇を固めていたマキに関して、大きな掘り下げが入りました。
これにより、彼女の人物像がより豊かになったと思います。

昔はクリーナーだったりしたのかな、と想像したことはあったんですけど、
そもそも当時はクリーナー稼業ができる前の過渡期だったんですね。
マキ自身のデジモンはとっくにいなくなってた、というのも少し意外でした。
パンジャモンと同じ傷を持つもの同士、という図式を作るためなのでしょうけど。

その本来のパートナーよりもパンジャモンに思い入れがありそうなところは、
出会い方の違いにあったりするのかな……とも想像しています。
詳しいことは後の項目に譲りますが、明らかにただならぬ間柄を思わせました。
正確にはそーゆー匂わせがすごかったです。それはもう物凄く。

ロケーションや演出、小道具の使い方と総じて異色といって良いアダルトさでした。
マキが主役みたいなもんですから当たり前といえば当たり前なんですけどね。
なんかこう、うまく言えないけど80年代のOVAっぽい雰囲気がありました。

そんな印象だったからか、脚本が會川昇さんとわかって激しく納得したものです。
現役高校生の頃から、まさにそのOVA全盛期を駆け抜けてきた方ですし。
今回のようなお話を担当するにあたっては、この上ないぐらい適任かもしれません。

そんな脚本を支える演出の福岡大生さんも、監督経験のある実力派です。
意外にも演出デビューは「アイカツ」だそうですけど。
人に歴史あり、ですね。

で、これまた少し意外だったのはミハルがあっさりと視聴者に正体を晒したこと。
まあ28話の時点で読めるし、サバーク博士みたく引っ張る気はなかったんでしょう。
でもGIFTの異様さが増幅したこのお話でやったことで、不審さが爆増しました。

彼女、私の想像以上にヤバいかもしれません。
あと相方と思しきデジモンも……あかん、ソイツはあかんよお嬢さん……
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・トモロウ

 マキが主体なのでそのドラマに付き合う立場でしたが、最後で主役らしさを稼ぎました。
 ブレーキ役をやるのはてっきりキョウだと思ったんですが、誰よりも早く動いて
 彼女を制止したのは実際には彼だった形です。

 でも考えてみれば、この回の時点でアレをやって説得力が一番出るのは彼なんですね。
 以前に怒りのまま、無力化したハイエモンピアスに殺意を抱いたことがありますから。
 そのうえ、怒りの感情でゲッコーモンを暴走させてしまう失態まで犯しています。
 今でも同じことを繰り返さない自信はないでしょうし、言えた義理とも思ってないかも。

 けどだからこそ、知っている誰かには通りかけたその轍を踏ませたくなかったんでしょう。
 その先にあるのは崖っぷちだと、肌で感じていたからなのかもしれません。
 少なくとも、怒りのまま行動して良い結果が得られたことは一度もなかったんですから。

 皮肉なことに、その行動がますますミハルに目をつけられる契機になるのですけど。
 嫌な予感しかしねえ……
 
 
 
・ゲッコーモン

 バトルでの本格活躍はなく、最後はトモロウと同じく見守る側。
 お話の傾向からか、いつもの振る舞いがちょっとした清涼剤になっていました。
 自由な彼ですが、さすがにGIFTの言動には戸惑いを隠せまてせん。

 まあクレイ一派が可愛く見えてくるほどの危険な連中だからなぁ……
 どうしてこう極端から極端に走るんだ。
 
 
 
・レーナ組/マコト組

 マキを守るために奔走していましたが、特筆すべき見せ場らしいものは無し。
 フウマモンのターゲットではないため、手下?に足止めされていました。
 そういえば、あのイガモンとコウガモンはどうなったんでしょう。
 
 
 
・キョウ

 メインではたぶん一番マキとの付き合いが長いとあって、もっと絡んでくるかと思いましたが
 途中まではそれほどでもありません。
 しかし回想での出演で、パンジャモンと共にマキを思いとどまらせる役目を果たしてます。

 その回想の中ではすでに五行星を離脱した後で、容姿も今と変わっていなかったので
 たぶんそんなに前ではないんでしょう。せいぜい二、三年あたりでしょうか。
 もっとも、フリーになった時期がそのだいたい同時期とは断言できんのですが。

 マキと縁ができたのも吉村の紹介という可能性が大きそうだし、それまでの間は
 五行星としてスカウトされる前のやり方しか知らず苦慮していた可能性もありそうです。

 そんな彼の過去は、シリーズ最大の注目点のひとつでしょう。
 デジモン相手にデリートを厭わなかった彼が、なぜ今の考え方を得るに至ったのか。
 少なくとも今回、そこにマキが絡んでいないことは明白になりましたね。
 
 
 
・クーガモン→ムラサメモン

 バトル担当。
 奇しくも15年前、フウマモンと戦ったパンジャモンと近しい姿です。
 タイプも同じ獣人型。まず間違いなく狙った配役でしょうね。

 実際の戦闘ではマキの助言からさらに一歩進め、切り札の軌道を変えてきた相手に対し
 ちょうど刀が尾へブッ刺さるように弾き飛ばして阻止するという神業を披露してます。
 進化レベルやパワーでは他のメンバーも追い上げてきてますが、こうした技量面では
 彼らの独壇場というところでしょう。むしろどうやってそこまで読んだんだ……

 あの大剣で素早いフウマモンと渡り合うだけでも凄いですが。
 そういえば手間取りこそすれ、手数の多い相手にも遅れをとったことはないですね。 
 
 
 
・吉村

 マキよりも先にキョウと出会っていたようです。
 回想では、そのマキにキョウを紹介する場面が描かれていました。
 どのような経緯でキョウ組と縁ができたのか、こちらも気になってきましたね。
 
 
 
・河原崎

 手短な緊急連絡で登場したほか、回想にも登場。
 マキにクリーナーとしての登録を勧めていました。当時からの付き合いだったのですね。
 かつてに比べて老け込んだように見えるのは、こう見えて気苦労が多いせいでしょうか……
 思えば犯罪者側にもクリーナー側にも煙たがれる立場ですからね。
 
 
 
・火野

 10話以来の登場。
 山田サニーにキロプモンの情報を教えた、あの情報屋です。
 当時はシェイドモンに影を奪われて口を割らされたり、ファミリー絡みとあって
 キョウに締め上げられたりと散々な目に遭ってましたが、同情してる人は見たことないかも。
 まあ、あんまり褒められた仕事をしてるようには見えないからなぁ……

 今回でとうとうコールドハートされちゃったわけですが、寸前で咄嗟にサポタマを操り
 その様子を動画に残すという機転をきかせ、マキに手がかりを残していました。
 誰かに事態を止めてもらおうという精一杯の抵抗ですね。あわよくば自分も助かるし。
 ここらは腐っても情報屋です。なにげにサポタマの高機能ぶりもわかる場面。

 ただ事件のあと、どうなったかはわかっていません。
 フウマモンはちゃんと退化の際にサポタマを出しているし、e-パルスが取り戻せれば
 被害を受けてからさほど経ってない分、意識を取り戻す可能性はありそうですが。
 その前の四人はダメかもしれないけど……

 まあだとしても、以後は金輪際デジモンとの関わりを避けるようになるかもです。
 なお情報屋を続けられるほどのツテも度胸も理由もありそうには見えないし。
 これで続けてたらいっそ大したもんですよ。
 
 
 
・マキ

 事実上の主役。
 雨の日にコーヒーを淹れながら、パンジャモンとの過去に思いを馳せていました。
 直後に起こったことを思うと、虫の知らせというやつだったのかもしれません。

 上に書いた通り、そのパンジャモンと会った時点ですでにパートナーデジモンは死亡。
 どんなデジモンだったのかは分かりませんが、彼女にデジモンと関わって
 手を汚すのはもうたくさん、と思わせるには充分な出来事だったのかもしれません。
 ひょっとしたら相方は事実上の相討ちで、敵にとどめを刺したのは彼女だったのかも……

 パンジャモンはそんな彼女を思い直させただけでなく、未来への希望をくれた存在でした。
 生き方そのものや、人とデジモンが共に笑い合える世界という希望を。
 彼との出会いがなかったら、今のマキはなかったに違いありません。
 キョウの生き方にも、きっと賛同はしなかったでしょう。

 そのパンジャモンを殺したフウマモンは、彼女にとって憎んでも憎みきれない相手。
 だからわざわざ危険を冒してでも自ら囮となり、ムラサメモンに情報を伝えたのです。
 穏やかで大人の余裕を崩さない彼女にしては、終始険しい表情が目立っていました。

 それでいて最後の最後で思いとどまったのも、やはりパンジャモンのためでした。
 共に夢を語り、あなたにはもう手を汚してほしくない、あなたの手は何かを作る手だ、
 そう言ってくれたパンジャモンの想いを無にしたくなかったんですね。
 この手で仇を討ってもあの人は喜ばない、を地でいってます。

 その後クリーナーにはならなかったものの、デジモンと関わることをやめなかったのも
 パンジャモンたちのことを忘れたくなかったからなのかもしれません。
 叶うとは思っていなくても、パンジャモンが語った夢も胸に残っていたでしょう。
 キョウと知り合ったときには、表には出さなくても少し嬉しかったでしょうね。

 そんな彼女にとって、デジモンへ過剰に肩入れし人間を排除対象としてしか見ないGIFTは
 決して相容れない連中でしょう。悲劇を増やすだけだからです。
 今後もグローイングドーンへの協力は惜しみますまい。

 ところで15年前の時点でもすでに大人で、少なくとも10代には見えませんでした。
 ただメイクしているにしてもナチュラルなもので、現在とはやはり違います。
 そうすると20代だとしt
 これ以上はやめておくことにしましょう。触らぬ神に祟りなし。
 
 
 
・パンジャモン

 獣人型の完全体デジモン。レオモンの色違いですがレベルは上です。
 「Vテイマー01」のレオのようなそこらの究極体なら圧倒する実力者としての描写と、
 「フロンティア」で無言のうちアグニモンに斃されるやられ役と扱いが極端でしたが、
 今回でそのどちらでもない立場を手に入れたことになるでしょうか。

 マキとは逆にパートナーを殺された立場で、介抱されたのをキッカケに仮の相方となります。
 その性格や過去の経緯からみて、そのパートナーはかなりの正義漢だったのでしょう。
 といって悪党以外からも見境なしに恨まれるほど極端な考え方を持っていなかったことも、
 パンジャモン自身を見ていればよく分かります。仇を討ちたいと思わせる人だったのでしょう。

 マキとはクリーナーの制度ができる前に出会っていましたが、登録は止めています。
 あくまでも仇を討つための仮のパートナーというのが表向きの説明でしたが、
 本当の理由は劇中のセリフ通り。夢を語ったときからそう思っていたのでしょう。
 それに、タマの取り合いに辟易しているマキの様子も見ていましたからね。

 でもその「仮のパートナー」という設定が、他に類のないアダルティな雰囲気で。
 本来のサポ主とデジモンの関係が親や兄弟、家族に準えられるものだとすれば、
 彼とマキはそのどれでもないということになるのでしょう。
 では何か、ということになるのですが、それを書くのは野暮かもしれません。

 最終的にはマキを庇って動きが取れなくなったところを、フウマモンの隠し武器により
 致命傷を負い、今生の別れへと導かれました。
 その死は、以後のマキの生き方にとても大きな影響を与えています。
 彼女が纏う雰囲気はつまり「そういうもの」だったのですね。

 ところで本作の世界、野良の完全体もそう珍しくはないみたいですね。
 彼は数多くの敵を葬ってきたらしいので、その過程で進化を遂げてきたのだと思います。
 相方が健在だったらクリーナーとして見出され、マキと会うこともなかったのかもしれません。

 中の人は小山力也さん。前作のフロゾモンに引き続いての登板です。奇しくも同じ氷結属性。
 頑固親父という雰囲気なあちらと異なり、落ち着いたオトナの戦士といった感じの演技です。
 なんなら発音の所々はセクシーでさえあり、お話の雰囲気を盛り上げてくれてました。
 
 
 
・フウマモン

 完全体のサイボーグ型デジモン。シリーズ初登場です。
 設定通り、依頼を請け負ってターゲットを始末する暗殺業をこなして生きてきました。
 なんと15年も前からそれを繰り返しており、国民保護庁にも正体を掴ませなかったなど
 かなりの凄腕として描かれています。いったい今まで何人殺ってきたんでしょう。

 上に書いた通りパンジャモンの相方を殺し、彼自身をも斃したマキにとっての怨敵です。
 目的のためには手段を選ばず、基本的に標的以外の対象は積極的に狙わないのですが
 仕事のために必要とあれば躊躇なくそれを行う非情さを備えています。

 パンジャモンを手強しとみてマキを狙い、庇うように仕向けたのもその一環。
 さらに第三の手として尾を伸ばし、胴体をブチ抜くという戦法でパンジャモンを斃しました。
 これは彼の切り札であり、出せば必殺必中だったと思われます。
 設定にない技ですのでアニメオリジナルかもしれません。

 しかしマキにはその性格を見抜かれており、彼女自身を囮にされる形で塒に踏み込まれ
 ムラサメモンとのタイマン対決を強いられる形へ持ってゆかれます。
 なおも自信を見せ、第三の手の軌道を変えて攻める変則パターンを繰り出すのですが
 それもマキとムラサメモンには見切られており失敗。アピールも少々露骨すぎました。

 最後は豪ノ斬・叢時雨を至近距離で喰らい、ガードの上から真っ二つにされる形で退化。
 逃げようにも自らの刀で尻尾を縫い付けられており、抜く暇もありませんでした。
 スピードには優れますが、その分捕まえられたら非常に脆いということでしょう。
 退化した姿はなんとクリモンでした。進化途中はガンマモンだったのでしょうか……

 最後はギリギリで殺されずに済み、たぶんニリンソウ送りになったと思うのですけど
 15年も殺し屋稼業を続けてきたようなヤツが本当にやり直せるんですかね……
 彼に限らず、GIFT編以降はとみにそういう存在が増えて気がしてなりません。
 意識しての配置ならかなり嫌な予感もしますね……

 中の人は松風雅也さん。
 「ゴーストゲーム」においてレッパモン(本体)として出演済の方ですね。
 前番組にあたる「逃走中 グレートミッション」でも小山力也さん演じるキャラと縁があり、
 そっちでは最終的に始末されるという逆の立場になっていたようですね。
 
 
・ヒョーガモン

 成熟期の鬼人型デジモン。
 「組織」からの抹殺命令を受け、サポ主と共にマキとパンジャモンを襲撃しました。
 レオモン系とオーガモン系の形を変えた因縁ですが、この場合はパンジャモンが格上。
 殺し合いへの疲れから彼が躊躇いを見せなければ、あっさり勝負がついていたでしょう。

 それでも大して有利を取れず、マキにサポ主が脅迫されたことで撤退やむなしでしたが。
 以後はどうなったかは不明です。「組織」がどうなったかも不明。
 クリーナー制度ができた前後に、そういった手合いは壊滅してった可能性も高いです。
 クレイ一派のようによりタチが悪くなって残ってるケースもあるかもですが。
 
 
 
・ミハル

 事件の顛末を見届け、自らフードを脱いであっさり正体を晒しました。
 もちろん、トモロウとゲッコーモンはまだ彼女の素姓を知らんのですが。
 仮面のときも心なしか、声の判別がしやすかった気がします。

 やはり、トモロウには並々ならぬ関心を抱いている様子。
 なんなら、マキを狙わせたのもトモロウの行動を見るためだった気さえしてきます。
 そのぐらいのことは平気でしそうに見えてきました。

 GIFTメンバーの異常な様子や関連デジモンの妙な強さなど、まだまだ謎があります。
 アレらは誰の、または何による影響なのでしょうか。
 彼女が深く関わっていることは間違いないと思うんですが。
 
 
 
・岸和田カンチ

 ミハルの側近。見る限り、彼女の正体を知る「人間」は今のところ彼だけ。
 サポタマを恭しく受け取る様子から、彼女を「教祖」として遇していることがわかります。
 GIFTとしてのネットワークを大きくしたのは彼の手腕かもしれません。
 どこまで本気かわからないし、彼の立場でミハルの立場も決まりそう。

 中の人は置鮎龍太郎さん。シリーズ常連としてもはや説明不要といえる方です。
 :にはデビモン、ゴスゲにはフェレスモン役で出演していました。どっちも悪魔系です。
 というか人間役で出るのはこれが初めてになるんですね。
 さすが業界きっての人外声優、と評する声があるだけのことはあります。

 
 
・メフィスモン

 ラストシーン手前に登場するミハルのパートナーと思しきデジモン。
 といっても、上の方はほぼ陰になって見えません。

 第一印象は「よ、よりによってコイツかぁ……」でした。完全に邪教じゃないですか。
 でもまあ逆に天使系じゃなくてよかったかもです。そっちだったら本当にシャレならん。
 いっそこっちに振り切ってくれる方が個人的にまだ良いまである。

 とはいえこのデジモンも、ミハル次第で立場が変わりそうなんですよね。
 利用しているのか、ガチで結託しているのか、実はミハルを案じているのか、
 はたまた利用しようと考えていたけど情が移ったのか……

 けどもしコイツがミハルから生まれたデジモンなら、根っこの考えは近いはず。
 ミハルの願いを叶えているだけ、と捉えることもできるんですよね。
 そのミハルがもし心変わりしたら、何をするかわかりませんが。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「理由など知るか。オレは、依頼を果たすだけだ」(フウマモン)

 火野を襲ったときのセリフ。15年前からずっとこうです。
 彼自身はGIFTに関心はなく、向こうが勝手に様付けしてるようですね。
 
 
「紅茶派の私でも、いい仕事だってわかる〜」(プリスティモン)

 伽藍堂への入店時に。普通のデジモンは嗅覚で愉しむという設定が活きています。
 この店でコーヒーが淹れられるのが珍しい理由はトモロウ達には語られませんが、
 視聴者には詳しく知らされるという仕掛け。
 
 
「雨の日は思い出すだけ。あの人、コーヒーの香りが好きだったな……
 なぁんて」(マキ)


 マコトの言葉を受けて。明らかに「前の仮パートナーデジモン」への匂わせではありません。
 レーナの邪推?がそれを裏付けています。
 
 
「あの暗殺者……フウマモンをデリートしたら、私はもう、誰のe-パルスも吸わずに消える。
 ……だが、それまでは……!」(パンジャモン)


 回想におけるマキへの懇願。言葉にはしてませんが、頭を下げることで表現しています。
 正義を貫くのに疲れながらも誰かを傷つけてまで生きることを良しとしない誇り高さと、
 居場所のない哀しさが同居したセリフです。
 
 
「文句のひとつも……言ってやろうかな」(マキ)

 フウマモンを連れてきてどうするのか、という質問に。
 完全にはぐらかしてます。直前のセリフでも、パンジャモンとの関係を詳しく言ってません。
 やはりというか、おいそれと誰かに明かしたい話ではないんでしょう。
 
 
「ここは俺が! 早く行けぇ!」(吉村)

 出し抜けに現れてマキの居場所を通報しはじめ、彼女が店を飛び出すと追おうとした
 GIFTの手の者に立ちはだかって。入り口に足をかけた仕草が妙にカッコいいです。
 この後まんまと撒くなり追い払うなりして車を出し、きっちり有能さも確保。
 
 
「あー、もう……こういう世界、ホント嫌い……!」(マキ)

 回想にてヒョーガモンのサポ主を脅迫、追い払った後。
 本来、あまりこうした荒事は好きじゃない人なんですね。ある種見かけ通り。
 それでも行動したのは、パンジャモンの躊躇いの原因を読んでいたからでした。
 その気持ちは痛いほどわかったことでしょう。
 
 
「香りだけでも、ホッとするんだ……
 戦いしかなかった日々が、夢のように思える……」(パンジャモン)


 回想にて、コーヒーの香りを堪能し。中の人の演技が光ります。
 
 
「その店では、デジモンも人間も……幸せに笑いあえる。いい夢だ」(パンジャモン)

 回想にて、人間もデジモンもホッとできる喫茶店でも作ろうか、と提案するマキに。
 それを「夢」と呼んで肯定したセリフです。この言葉はマキの大きな支えとなりました。
 直後の重い言葉も含め、彼女にとっては忘れ難いでしょう。
 
 
「デジモン様……??」(トモロウ)
「なに言ってんだってナ!?」(ゲッコーモン)


 満面の笑みで「デジモン様、裏切り者にGIFTの裁きを」と宣う二人組に。
 二人がGIFTの本当のヤバさを知った瞬間かもしれません。
 
 
「マキの手を……汚させたくなかった……
 マキの手は……うまいコーヒーを、淹れる、手だ……」(パンジャモン)
「だめ、逝かないで…… 私は……私はっ……!」(マキ)


 回想における別れのやり取り。
 パンジャモンの行動は、体を張ってくれたマキへの返答でもありました。
 マキが最後になんと言おうとしたのかは、途切れてしまってわかりません。

 いずれにせよ、このときの想いと言葉がマキを突き動かし、また思いとどまらせた。
 それだけは間違いないと思います。
 
 
「マキさん……なんでかわからない…… でも、オレの体が勝手に動いてた……
 ……ダメだ」(トモロウ)


 クリモンを刺そうとしたマキの手を止めて。
 上に書いた通り、この場では彼の言葉にいちばん重みがあると思います。
 もっと言えばマキがわずかに躊躇ったのを見て、思わず動いたのかも。
 
 
「……おかしい、かな……」(キョウ)

 回想にて、マキと初めて会った際のセリフ。
 デジモンと人間が一緒に暮らせるようにしたいらしい、という吉村の紹介を受けた形。
 まだちょっと自信なさげで、マキからの明確な答えもないんですが、
 パンジャモンの思い出と重なったことが何よりも雄弁な説明になっていました。
 
 
「トモロウ……あなたはやっぱり、こっちにいるべきよ……」
「トモロウ……きっとここに来る…… ね、メフィスモン……」(ミハル)


 事件を見届け、総本山へと戻って。
 彼女らが次に何を仕掛けてくるのか、怖くてあんまり考えたくないですね……
 
 
「デジモンと人間が一緒に、か……
 もう少し、あの子たちの夢……見守ってていい?」(マキ)


 晴れの日、コーヒーを淹れながら。
 キョウに誰か先客がと言われ、笑顔でいいえと否定しています。
 パンジャモンは今でも、彼女の胸の中で生き続けているのでしょう。
 青空と白い雲は晴れた心と、そこに寄り添う白い獅子を連想させるものでした。
 
 
 
★次回予告

 シールズドラモン、そしてハイコマンドラモンが登場。
 対するはシャコモンとルドモン……ってことはホタルコとグラニットの再登場ですね。
 プリスティモンを狙撃したのは誰でしょう? ちょっとよくわかりません。

 やはりGIFT絡みか。クリーナーと見れば見境なく襲ってくるのでしょうか。
 いずれにせよ、かなり手強そうな連中です。やばいですね。