半人前のヒーロー
脚本:山崎亮 絵コンテ:角銅博之 演出:采野晴樹
作画監督:吉田雄一/佐藤敏明/細川修平/李少雷/張凯英/Federico_Iglesias
総作画監督:諸葛子敬
★あらすじ
クレイ確保の報償金を使い、豪華客船での帰路にしゃれ込んだグローイングドーン。
マコトとキロプモンは謎のショーマン、「スターマン」のショーを鑑賞します。
どんなピンチにも諦めないスターマンの姿は、二人の憧れでした。
しかもスターマンは、クリーナーでもありました。
半田という男とスターモンの二人羽織で、正義のヒーローを演じていたのです。
巨大なデジモン二体を撃破した動画は、マコト達のお気に入りでした。
そこへ、ピーターモンと共に海賊が現れます。
咄嗟に耳を塞いだマコト達と半田たち以外はピーターモンの口笛で眠らされ、
子供たちは集められてe-パルスを搾り取られようとしていました。
一時退避の途中、マコト達は半田らが力を充分発揮できていないことを知ります。
必殺技のメテオスコールを放つことはできず、演出による誤魔化しでした。
デジモン達を倒した動画も、たまたま雷が落ちて二体が共倒れしてくれたから。
それでも半田たちへの憧れは捨てず、事態収拾のため行動するマコト。
しかし、眠ったまま操られるトモロウ達の妨害で思うようにいきません。
スターモンが単身ピーターモンに挑みかかるも、相手にならない状態。
事態を変えたのは、勇気を振り絞って飛び込んできた半田の行動でした。
その勇気がe-パルスを燃え上がらせ、スターモンを一気に強化させます。
今度こそ本物のメテオスコールが決まり、ピーターモン無力化に成功しました。
憧れのヒーローの大活躍に、マコト達は大喜び。
ところが帰ってきてみれば、騒動の損害賠償で報償金はパア。
ピーターモンを倒したのも半田たちなので、そっちの報酬も無しと散々でした。
それでもマコト達は「スターマン」の活躍が我が事のように嬉しかったのです。
★全体印象
25話です。
事前に宣伝されていた通り、ここから3話ぐらいは箸休めエピソードってところ。
実際盛り上げるだけ盛り上げた前回に比べ、肩の力を抜いて見られます。
マコト回を兼ねる……と思いきや、彼はどちらかというとゲストの盛り立て役。
実のところは半田とスターモンによるゲスト回でした。
まあ状況的にも敵の格も、ぶっちゃけあの二人だけでどうにかなるレベルだし
そんな相手にわざわざメイン所が頑張っても仕方ないところではありますが。
でも事態そのものはかなりシャレにならなかったんですよね。
デジモンの力が出現させる者とその使い方次第で恐ろしいものになる好例です。
半田とスターモンはその対比にもなっていましたね。
EDも今回から変化しましたが、OPの絵的変更は無し。まだクレイがいます。
次のGIFT編とやらになってから変わるのか、単に遅れているのか。
何にせよそっちの方にも期待はしておきます。
脚本は山崎亮さん。15話といい8話といい、変化球エピ担当という感じです。
絵コンテには角銅監督が登場。「ゴーストゲーム」にも参加していたので
久しぶりというほどではないですが、本作には初登板ですね。
演出は采野晴樹さん。8話あたりでは演出助手をしていた方です。
以前のシリーズや逃走中にも演出として名を連ねてないので、もしかすると
これが初演出でしょうか。定かではないですが。
★キャラなど個別印象
・トモロウ組
前回で大活躍したコンビですが、今回は大半寝てました。
おまけに寝たまんま操られる始末。不意を突かれるとこんなもんですな。
まあピーターモンの技が初見殺しすぎるし状況的に防ぎようもなかったんですが。
・レーナ組
こちらもトモロウ組と似たようなものです。
プリスティモンは射撃型なので、操られた際はよりマコト達の手を焼かせました。
寝てるんでさすがにe-パルス注入と進化はしませんでしたが。
・キョウ組
最初からラスト手前までずっと寝てました。
目は覚ましたものの、まだ休養が必要な状態だったのでしょう。
豪華客船での帰国は、キョウを休ませるためでもあったんでしょうけど……
ついてないというか、ある意味ついてたというか。
・マコト
いわゆるヒーローショーに瞳を輝かすという、年相応な面を見せてくれました。
でも実態を知っても幻滅することはなく本質を見て、逆に半田を励ましてます。
やはり十歳児離れしていますね。どんだけ育ちがいいんだこの子。
後半ではナイトキロプモンが戦っている間に子供たちを逃がそうと試みるなど
行動力を見せましたが、操られたレーナに背後から抑えられる状況に陥るという
小柄ゆえの非力さも目立っていました。半田たちがいなかったら危なかったところ。
彼とキロプモンがヒーローに憧れているという設定、覚えといていいかもです。
ひょっとしたらこれも何かの布石かもしれないし。
・キロプモン→ナイトキロプモン
勝手にマコトより趣味がマニアックかもというレッテルを貼ってましたが、
ある意味マコト以上にスターマンに魅せられ、純粋に憧れていました。
彼についてもちょっと新しい面が見えたかもしれません。
バトルでは、ピーターモン相手に互角の戦いを演じています。
成長期の段階でコンデンスドエコーを複数回使うなど、成長が窺える描写も。
しかし途中から操られたトモロウ組とレーナ組が介入してきたので事態悪化。
迂闊に攻撃もできず、マコトを抱えて防戦一方へ陥ってしまってます。
最後の方は完全に半田とスターモンへ譲ってました。
まあこれが原因で報償金ゼロというオチに繋がったんですが……
・半田
スターモンのサポ主。TVにも出ているショーマンですがクリーナーでもあります。
普段は正体を隠しつつ、スターモンとの二人羽織でヒーロー「スターマン」を名乗り
随所でヒーローショーを繰り返して稼いでいるみたいですね。
豪華客船にいたところをみると、あれで結構金があるのかもしれません。
ただ本人はどちらかというと気弱なタイプで、スターモンに引っ張られまくり。
オクタモンらと戦っていたときなどは生きた心地がしなかったようです。
必殺技を使えなかったのも、その弱気が原因と見るべきでしょう。
しかし、何度やられても向かってゆくスターモンを見て奮起。
体を張って事態を阻止しようとする中、今までにないe-パルスが生まれ
メテオスコールを成功、ピーターモン無力化という活躍に繋げました。
e-パルスの水色が爽やかです。
忘れちゃいけませんが、パートナーとサポ主は鏡合わせです。
スターモンのあの正義を愛する性格は、だから半田自身の善性そのまま。
つまり、ヒーローでありたいと願うその心意気は本物ということです。
今回の事件で、名実ともにその心意気を証明してみせたことになりますね。
中の人は保志総一朗さん。なんと「セイバーズ」の主役です。
今週はほぼセイバーズ20周年ですから、そこに合わせて呼ばれたのかも?
東映系への出演は割と珍しいので、指名があったと推測できます。
定かではないですが。
・スターモン
半田のパートナーです。
善良な性格で、ヒーローたらんとする姿勢は普段から半田以上。
オクタモン達との戦いでわかるように、時として半田を翻弄することもあります。
でもその姿は、半田の「こうありたい自分」の写し身でもあったのでしょう。
その半田のe-パルスが足りないためか、実力を発揮できていませんでした。
ピーターモン相手にまるで歯が立っていなかったのも根拠のひとつです。
そもそも、途中まではe-パルスをもらってる描写さえありませんでしたから。
メテオスコールも派手な演出で誤魔化しているだけの単なる体当たりでしたが、
半田の奮起に伴ってe-パルスが増大してからは形勢を完全に逆転させ、
真のメテオスコールによって一撃で決着をつけました。
本作においてe-パルスがどれだけデジモンの戦いを左右するかわかる事例ですね。
まさしく二人の心に秘められていたヒーロー魂の勝利、といったところです。
本作の場合、それが普通に成り立つ設定ですし。
中の人は草尾毅さん。
「クロスウォーズ」で蒼沼キリハを、「アドベンチャー:」では城戸丈と
メインキャラを複数つとめた方です。デジモン役のゲストとしてクレジットされるのは
おそらく「02」リボルモン以来ということになるでしょうか。
そのリボルモン、上記作ではよりによってスターモンとライバルの間柄だったんですが
ひょっとしてそこも微妙に狙ったキャスティングだったりするんでしょうか。
・ピーターモン
海賊と共に行動していた成熟期デジモンです。
「ゴーストゲーム」に続いての出演ですが、印象はだいぶ異なります。
ある意味スターモンと対極にいる存在であり、その能力を悪用され
豪華客船の人間を残らず眠らせ、金品を奪い取る手助けをしていました。
自身は子供を集めて良質なe-パルスを奪い、糧としていたようです。
それらを嬉々としてやっているところをみると、サポ主はあの海賊の中の誰か、
とみてよいでしょう。恐らくピーター・パンを夢見る心で現れたのではなく、
労せず賊行為をやってのけたい、という欲望に応えられる能力を持っていたのが
たまたまピーターモンというデジモンだった、というのが近いかもしれません。
戦闘力は成熟期としてみた場合並ですが、本当にやばいのはやはりその能力。
特に眠らせた相手を操る「ミッドナイトファンタジア」は非常に厄介です。
途中までは互角に戦っていたナイトキロプモンも、トモロウ組やレーナ組が操られ
介入してきてからは後手後手に回らざるを得なくなりました。
しかし半田のe-パルスの爆発的増大でパワーを得たスターモンの一撃で技が破れ、
トモロウ達や子供たちも眠りから醒めてしまいます。
そのまま一気に押し込まれ、幼年期に退化してしまいました。なんとピピモンです。
こんなところで会えるとは思いませんでしたよ、ピピモン。
中の人は小林由美子さん。「アドベンチャー:」では泉光子郎を、「ゴーストゲーム」
では後半レギュラーであるエスピモンを演じていた方です。
ゲームも入れるとPSP版の「アドベンチャー」がシリーズ最初の出演っぽいですが、
そういえばアレなんで高戸靖広さんじゃなかったんでしょうね?
・海賊たち
ピーターモンの力を悪用して海賊行為を働いていた連中です。
自身らも銃で武装していましたが、所詮ナイトキロプモンの相手ではなく
「メズマバースト」によって軒並み麻痺させられてしまいました。
デジモンに対抗できるのはデジモンだけ、という好例です。
その後、麻痺が抜けないままあっさりと捕縛された模様。
結局、誰がピーターモンのサポ主だったのかは分からず終いでした。
となると「誰でもなかった」可能性もなくはないですね。
・オクタモン/ゲソモン
マコト達のお気に入り動画の中、回想シーンにおいてショーの場面に現れたデジモン。
事情を知らない子どもたちを怯えさせましたが「スターマンの活躍」で退治されました。
……というのは表向きで、たまたま落雷によって二体が同士討ちの形へ陥り
そのまま死んでしまったというのが真相でした。完全なるアクシデントです。
半田達にとってはラッキーな出来事でしたが。
この件がかえって、半田に己の無力をよけい突きつける結果となったようです。
でも、彼らの戦う姿を見て勇気をもらった者がいるのもまた事実でした。
マコトとキロプモンはその代表なのです。
・ED
YENAさんの歌う「ミラミラ」に変わりました。
GIFT編のキーキャラと思われる謎の少女を軸に、女性陣メインで描かれています。
ヒトミや10話以来となるハルコの姿も。
ローズやホノカも登場し、五行星としてとは全然違う顔も見せてくれました。
新キャラ二人のポームモンとアルラウモンはどのような進化をするのでしょうね。
可愛らしさと共に、今後の展開もますます気になってくる内容となってました。
ってか、こんな可愛いとこ見せといて敵として出てくんの、木の星組????
★名(迷)セリフ
「キミたち!」
「「「ボクたち!」」」
「一番星!!」(スターモン&子供たち)
いわゆるコール&レスポンスですね。勝負を決めた後の決め台詞でもありました。
後半ではもう一度、より深い意味を込めて繰り返されました。
「光栄です! 伝説のクリーナーとお話しできて!
あの動画を見た時の衝撃は、今でも忘れません!」(マコト)
半田とスターモンに。最初から正体を知っていたようですね。
メテオスコールのことも知っていたし、スターモンもピーターモンも
本作の世界ではそれほど珍しいデジモンというわけではないんでしょうね。
表に顔を出してるスターモンは半田のパートナーぐらいでしょうけど。
「ボクたち、何度もあの動画見返してる。
諦めないスターマン、勇気くれる。
スターマン、ボクたちのヒーロー!」(キロプモン)
半田たちを前に興奮しながら。普段より饒舌です。
彼らはまだ幼いし、つらい時期に励まされたことが何度もあったのでしょう。
そういう意味では心のヒーローといえます。
「それでも……あの動画はウソじゃないと、ボクは思います。
あの動画に勇気をもらった人は、たくさんいる。ここにだって!
キロプモンにとって、スターマンは間違いなくヒーローなんです!」(マコト)
彼らの思い入れは、あの動画で実際に何が起きたか知っても変わりませんでした。
それどころか「いいえ、あなたはヒーローです!」と励ますほど。
その想いが、今度は半田を支えることになります。
「なんで立ち上がるんだ! あの時も、今だって! 弱いくせに、なんで!」
「……! 子供たち……笑顔を、守りたいから……」(半田)
ピーターモンに何度も向かってゆくスターモンに。
でもきっと、あれが彼が至りたい境地そのものなんでしょう。
勝つか負けるかではなく、立ち向かい続けるのがヒーローの戦いです。
心はある。ならば、後は勇気だけでした。
「ハッハッハッハッハッハッ! 子供たちの笑顔を奪う、悪党め!
この私が許さん!!」(スターマン)
目を覚ました子供たちを前に、ピーターモンへの宣言。
この瞬間、彼は間違いなく子供たちのヒーローでした。
怖がられていたピーターモンが本来そういう役もやれる存在というのは、
生まれる場所を間違えた悲劇なのかもしれません。
「子供はたしかに宝だ。
だが、お前ひとりのものでは……断じてないっ!」(スターマン)
子供たちは自分だけのお宝だ、と言い張るピーターモンに。
ぐうの音も出ないほどの正論。
「いや……
オレたちのやってきたこと、案外……悪くないかもなって思ってさ」(半田)
ピーターモンを無力化し、子供たちに囲まれて。
勇気がなく何となくでやっていたことに、初めて手応えを感じた瞬間かもしれません。
「あきらめろ。たぶん一生ムリだ」(トモロウ)
もう一度あの豪華客船に乗りたい、と懐かしむゲッコーモンに。
達観しすぎててちょっと笑ってしまいました。
「スターマン、ボクたちのヒーロー! フフフ……」(キロプモン)
ラストのひと言。
この回が今後への布石かどうかはわかりませんが、彼らが何に憧れていたかは
やはり覚えておこうと思います。ハイ。
★次回予告
なんとハルオミが再登場。今までどこにいたんでしょうか。やっぱり石棺の中?
コマンドラモンも出るようですが、どういう経緯で再会するんでしょうね。
エリザモンもアニメ初登場するし、どんなお話になるのでしょうか。気になります。