奪うための力

脚本:會川昇 演出:福岡大生
作画監督:金城美保/宇代祐規/有我洋美/村上直紀/fishken/mono
総作画監督:金久保典江

★あらすじ

河原崎の依頼で、コロシアムに残された人々の救助へ動くグローイングドーン。
ところが現場にプロガノモンが現れ、闘技場の石棺を何処かへ運び去ります。
居合わせたライト、ホタルコ、グラニット達も石棺に捕まってしまいました。

後を追ったトモロウ達が足を踏み入れたのは、かつてアルビダ王国と呼ばれた場所。
そこに現れたクレイは、そのアルビダの王族にして亡命者でした。
あの神生島消失事件に居合わせたひとりでもある彼は、その裏の真実を語ります。

あの事件はe-パルス研究の過程で現れたデジモン達が互いのそれを奪い合い、
ひとつの巨大な存在となった結果として引き起こされた膨大なエネルギーによるもの。
王会長はその力に魅せられ、サポタマとe-パルスで世界を席巻したというのです。
そして今、再びその巨大な力を掴もうと動きつつあると。

クレイはその抑止のため、絶対的な力を手に入れようとタクティクスを創設し、
高いe-パルスの持ち主を集めていたのです。
しかしそれは、忠実な右腕だった内藤をも食い物にする歪んだ妄執でした。
そして彼はライト達石棺の中の人間からe-パルスを奪い、パートナーであり
力の権化であるプロガノモンを究極体・ピラミディモンに進化させてしまいます。

この超強敵を倒さねば、ライト達のe-パルスを取り戻すことはできません。
しかし、ピラミディモンはムラサメモンでさえ生半可な技では倒せない相手。
ファミリーを逃がそうとするキョウでしたが、トモロウはこれを断固拒否。
レーナ達も乗り、キョウがe-パルスを溜めるまで食い止める作戦が採られます。

果たしてこの作戦は当たり、土壇場でキョウとムラサメモンが復帰。
力の妄執に取り憑かれたクレイの牙城を、凄まじき剣戟が一刀の元に叩き斬り、
ここに野望は潰えたかに見えました。

が、究極体進化は破れたもののプロガノモンはまだ健在だったのです。
レーナを庇ったキョウに、地下からの不意打ちが襲いかかり……
 
 
 
★全体印象
 
23話です。いよいよタクティクス篇のクライマックスが迫ってきました。

ただ、ドラマを担ってきたチームセブンの面々は今回大半お休みです。
正確には出たくても出られない状態になるのですが。
でもe-パルスが戻ったし、次回で加勢に来てくれるかもしれませんね。
ここを乗り越えねば彼らもアウトですから、協力しない理由がそもそもありません。

バトルでは、初の究極体がお目見えとなっています。
23話というのは、世代設定のある作品の中じゃ早い方ですね。
まあ:というぶっちぎりに早い例が出た後だから、むしろ普通に感じますけれど。

しかしながら無理やり集めたe-パルスとあって不安定ということもあり、
グローイングドーン全員による連携でなんとか凌ぎ切ることができました。
この段階で存分にキョウとムラサメモンの実力を示したのは良かったと思います。
最後はあんなことになっちゃいましたけど、ここまでで十分に箔は付きました。

悪役たるクレイの描写も出色です。
一番の忠臣であった内藤を冷酷に切り捨ててプロガノモンの糧としたばかりでなく、
そもそも最初からみんな今回のための捨て石とするつもりだった、という悪辣と
すべてを奪われ亡命者となった悲劇や過去への憧憬を織り交ぜつつも
最後の最後で改めてその力の亡者ぶりを見せつけるという多重構造ですもの。

ですが彼は一線を越え過ぎてしまいました。
しかも、よりによって「真に警戒すべき人物」を倒し損ねてしまってます。
次回、彼は重ねてきた悪行のツケを払うことになるのでしょう。

脚本は會川昇さん。タクティクス篇では重要なポイントを任されてきました。
次回も担当するかはわかりませんが、相変わらずの容赦なさで笑みが溢れます。
演出の福岡大生さんは前に書いた通り「ゴスゲ」最終話周辺も担当されてた方。
第2クールクライマックスとあって、次のスタッフへの継投をバッチリこなしてます。
  
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・トモロウ組

 次回ハチャメチャに見せ場がありそうなので、今回はタメ気味です。
 それでもキョウへの訴えなど、その見せ場に備えた置き石はありました。
 グローイングドーンという居場所に馴染んできたと思わせる描写もあります。

 それだけに、予告で見るまでもなく最初ああなるのは容易に想像がつきますね。
 あの状況になってああならないでいられるほど、彼は「オトナ」じゃない。
 両親を奪われ、兄を奪われ、そして新たに得たファミリーをも奪われかける構図は
 はからずも目の前の敵の過去に重なるものかもしれません。

 だからこそ、彼は示さねばならないのでしょう。
 奪うための力ではなく取り戻すための力、ともに生きるための力を。
 
 
 
・レーナ組

 河原崎に報酬について訊くレーナの場面は彼女らしいですね。揉み手が見える。
 しかし究極体相手にも一歩も退かない果敢な闘いぶりは、ただの金目当てではなく
 ファミリーのため、居場所のために最善を尽くそうという気概のあらわれですね。

 しかし次回はあっという間に戦線離脱しちゃいそうです。
 せっかくキョウに庇ってもらったのに……
 今後ますます苦しい戦いになりそうだし、彼女らにもそろそろテコ入れがありそう。
 
 
・マコト組

 アルビダ共和国についてほぼ即答する十歳児を抱えるコンビ。
 受けてきた教育が高水準だった以上に、マコト自身の性格もあるんでしょうけど。
 彼が知見を広げることが好きなのは、キロプモンを見ていればわかりますし
 自分でも言っていたことですからね。

 バトルでも力及ばずながら、アクション的には見せ場を稼いでいました。
 強敵ばかりの中、非力さが目立ってきたのは気になるところですが……
 
 
  
・キョウ

 かつて五行星の一角を担ったほどの底力をこれでもかと見せつけました。
 不安定とはいえ、究極体を相手にあれだけの結果を出してのけるとは。
 黄金のキョウって言われてた頃もさぞかし強かったのでしょうね。

 ですが、あれだけの一撃を託せたのはトモロウたちの奮闘のおかげ。
 彼らが時間を稼いでくれたからこそ、大技を極限まで高められたのです。
 いわゆる魔貫光殺砲状態。

 そして、彼自身が今の自分を肯定しています。
 ファミリーの援護を受け、気魄を手渡されて高めたその想いはおそらく
 歓喜さえはらんでいたでしょう。こいつらと歩んできて本当に良かった、という。
 何もかもがクレイとは正反対ですね。

 そのクレイを助けたのも、今の彼自身の流儀。
 奪うためではなくともに生きるため、別の生き方を考えてほしかったのでしょう。
 どんな奴にもやり直すチャンスはある、が彼の持論ですから。

 ですが、どれほど言葉を尽くしても伝わらない相手はいるものです。
 特に「もうやり直さない」と決めてしまっている類は。
 
 
 
・クーガモン→ムラサメモン
 
 前回に続いて終ノ斬・哭雨を披露。なんと究極体をぶった斬りました。
 まさしくジャイアントキリングです。ブイドラモン・ゼロもびっくりだ。
 まあ、あっちは拳一本で究極体の首を落としたりしてるけど……

 彼の言葉もまた、キョウの生き方を強く後押しするものでした。
 一番近くで一番長く相方を見てきた彼は、キョウの変遷も誰より見てきたはず。
 全部知っている上で今のおまえは強い、孤独だった頃とは違うと鼓舞しているのです。
 キョウの過去の決意と古巣との訣別の肯定は、今のところ彼にしかできません。

 ところでe-パルスを吸われ尽くしたパートナーはどうなるんでしょうね。
 あっ、パンダモンの実例があったか……長くは完全体じゃいられないだろうけど。
 
 
 
・ライト

 なんとまだ石棺エリアにいました。
 すっかり自信喪失して、トモロウの方を「天才」と評するまでに凹んでいます。
 こういうタイプはドツボにハマると大変、という典型ですね。
 そこからしか得られないものもあるけど。

 本当は、戻ったら真っ先に内藤と戦うつもりだったみたいです。
 あの男は彼にとって、なんだかんだ目標のひとりだったのかもしれません。
 今となっては虚しいばかりですが。

 でもホタルコとグラニットが捕まったのを見て思わず飛び出すなど、
 以前の彼なら否定していたかもしれない行動を取っていたのは見逃せないところ。
 過剰な自負と自信に妨げられていた彼らしさが出るのは、これからのようですね。

 ところでよく見ると、ケトモンが勇敢にも石棺に乗って一緒に行っています。
 次回タクティクスの援護があるなら、彼が一役買うかもしれませんね。
 
 
 
・ホタルコ

 グラニットと共にわざわざライトのいる石棺エリアに赴き、励ましていました。
 間柄が描かれることは決して多くなかったですが、それでも付き合いは長い。
 トモロウ達はもちろん、私たちが知らないライトを知っていて当然です。

 例えば自分は天才であるという証明に溺れ、天狗になる前のライトとか。
 でもそれは、彼女にとって共感できるところもあった生き方のはずです。
 力を合わせれば、また別のものが見えてくるであろうことも。
 
 
 
・グラニット組

 相変わらずの寡黙ぶりですが、先に「ライトを探す」と答えたのは彼。
 死に場所を探していた彼ですが、何かを証明しようと足掻く他の二人の生き方が
 ひょっとしたら眩しく見えることがあったのかもしれません。
 今なら、そんな二人を守ることに手応えを感じていた自身を見つけられたかも。

 かつてのようによく笑う彼に戻り、本当の名を名乗る日は遠いかもしれません。
 でもだからこそ、ここで終わるわけにはいきませんね。
 
 
 
・河原崎

 コロシアムに取り残された人々の救出を依頼してきました。
 その分の報酬はたっぷり用意しているあたり、ちゃんとしています。
 元五行星とやり合うかもしれない危険を伴う仕事だから当然ですけれど。
 
 
 
・内藤

 ものの見事に自分自身も切り捨てられた人。
 あの「笑い」は直前からそのまま張り付いたものか、あんな目に遭ってもなお
 クレイの役に立てたのが嬉しかったのか、どちらなんでしょう。
 もし再登場の機会があったら、どちらなのかわかるかもしれません。
 
 結局、彼がなんであんなにクレイを敬愛してるのかはわからず終いでした。
 「クレイ様」という敬称を外したことが一回もないですし、
 王家に仕えてきた人間ではないかと想像したこともあったんですけど
 王宮について知らなかったみたいだから違うっぽいですし。

 やらかしが大きすぎますし、二人仲良く退場ということになったら
 下手すっと永遠にわからなくなる可能性もありますね。
 もしこの後があるなら、そのときのため温存してるのかもですけど。
 
 
 
・クレイ

 昔は奪われる立場だったらしい人。
 アルビダは王家があったぐらいですから、歴史はそれなり以上にあったはず。
 それが革命やら大国の介入やらグチャグチャになって、神生島へ移るハメになって。
 何不自由なく暮らしていたであろう少年時代からの亡命生活、そして事件への関与は
 歪む要因を作るには充分すぎたと言えるかもしれません。

 かつては王家の復興という夢を持っていたかもしれないことは、演出から明らか。
 しかしそのためには力が必要、というただの事実に拘泥するあまり、
 右腕さえも笑いながら使い捨ててしまう「力の奴隷」に成り果ててしまったのですね。

 そして彼は力を「奪う」ことしか考えられなかった。
 「奪われ続けた」反動がそこにあるのかもですが、ピラミディモンが安定しなかったのも
 しょせん奪った力、ひいては「借りた力」でしかなかったからです。
 人ひとりのe-パルスはたかが知れている、という決めつけも良くない。

 だから皆で作った状況とはいえ、ピラミディモンをも倒す力を齎したキョウのe-パルスが
 本気で理解できなかったのかもしれません。彼の考え方には無いものだから。
 または、幻想だと思い込まされる状況を目の当たりにしすぎてきたから。

 あんな形でしかキョウを倒せなかった時点で、彼はすでに敗北しています。
 倒したことにはなっても、勝ったことにはならないからです。
 どんな形であっても奪えば良いというのなら、この世界にルールなどいりません。
 そのはずなのです。

 でも、奪わなければならないのでしょう。
 もしキョウの言葉を認めてしまったら、今までの生き方を否定することになるから。
 これほど力を手に入れてもなお奪われる側になるなど、きっと耐えられないから。

 ですが残酷にも、思い知らされることになるのかもしれません。
 力は奪ったり借りるものではなく、合わせるものだということを。
 
 
 
・プロガノモン

 今回が本格バトルなんですけど、大したことしないまま進化しちゃったな……
 と思わせてのあのオチ。次回こそ見せ場がありそうです。良かった。
 とか言ってる場合ではないけど。趨勢がクレイへ傾くのは明白だし。

 内藤を一瞬の躊躇いもなくブッ刺したり、その存在はクレイの渇望そのものです。
 もしクレイが誰かを信頼しているとしたら、それは彼だけなのかもしれません。
 なにしろ自分自身の合わせ鏡なのですから。

 であるなら、クレイは絶対の孤立者ではないことになります。
 こういうところ、デジアドに近いカラーが見えますね。

 中の人は廣田行生さん。「セイバーズ」でメルクリモンを演ってた人です。
 これもシリーズ構成の縁というか、作品の縁でしょうか。
 話数的はメルクリモンと近いタイミングでの退場になりそうですが……
 
 
 
・ピラミディモン

 プロガノモンがライト達のe-パルスを吸収して進化した姿。本作初の究極体です。
 設定通りなら、周囲の廃墟やそこに蓄積されたデータも取り込んでいそう。
 一度は砕かれた爪が即座に再生するあたりも、設定を遵守してますね。
 クレイ自身が内部にいるのは制御を高めるためでしょうか。

 さすがの巨体と猛威でしたが、上記の通り無理やりの進化なので安定してません。
 そのせいで隙も多いし、デカブツゆえ小回りもききにくいようです。
 キョウ達に身を隠された際も力の浪費を避けるためか、ボーッと待ってました。

 クレイが切り札であるこの存在をこんなところで出したのは、証明のためですかね。
 彼はキョウの力に相当興味を持っていたし、もしそのキョウに勝つことができれば
 五行星をも制する力が手に入ったという自信を得ることができます。

 もっと安定させられる手段を見つけられれば、さらに強い力が手に入るでしょう。
 五行星もワールドユニオンもおいそれと手は出せなくなるはず。
 そのために一体どれだけの人間を犠牲にすればいいのか、想像つきませんけど。

 とはいえ残念ながら、これではキョウを倒せなかったので試みは失敗してます。
 しかもこの不安定な進化に必要な「人身御供」があまりに多すぎます。
 今回のような状況、そう何度も作れるとは思えませんよ。

 やはりクレイさん、賞金首になった段階でいろいろ詰んでそうですね。
 ゲンジョウが仕掛けなければもっと「良い条件」を整えられたんでしょうけど、
 王会長に切り札が「ない」という前提が成立するかどうかも怪しいし……
 
  
 
・スナリザモン

 プロガノモンが最初にクレイのもとに現れた際の姿。
 パートナーとしての登場は「リベレイター」に続き二度目のようです。

 彼のe-パルスを気に入り、他を圧する力で無事に脱出へと導きました。
 クレイにとっては「恩人」でもありましょうか。
 口ぶりから「悪魔の契約」も連想させましたけど……

 中の人は三野雄大さん。プロガノモンとは違うんですね。
 モブ役が多い中、「ドラゴンボールDAIMA」でのベジータ(ミニ)役は
 大抜擢ともいえる役柄でした。
 デジモンシリーズには:でバコモンとして出演経験があるようです。
 
 
 
・ゲンジョウ

 前回タクティクス壊滅と王会長に報告してましたが、彼だけでなく
 ホノカも動いていたとなると他の星も活動してた可能性はありますね。
 まあ大体ゲンジョウが片付けたとしても不思議はないでしょうが……
 ホノカがテキトーな報告をしてチームセブンは把握されてない可能性あるけど。

 王会長に制される場面では、この老人直接の子飼いという面が強まった印象。
 カイトの勘通りであれば、それだけじゃない人物のはずですが。
 
 
 
・王会長

 クレイが動く前に動こうと提案しかけたゲンジョウに静観を命じていました。
 向こうが何を考えているかは、すでに把握しているか読んでいたのかもしれません。
 どこまで近づけるか、と笑う場面ではこれまでより悪役度が増してました。

 加えて神生島の惨劇を見てむしろ歓喜し、デジモンが跋扈するであろうことを知ってて
 e-パルスを用いたサポタマを流通させまくったこともバラされており、
 やはりというべきか真っ黒な面が見えてきております。

 本人的には「あらゆる災難から人類を守るため」という理念があるのかもしれませんが、
 これはシャングリラ計画とやらもだいぶキナ臭くなってきましたよ。
 元から信用はしてませんでしたけど……
 
 
 
・天馬タスク

 さらっと出てきた超重要人物っぽい人。どう見てもトモロウの血縁です。
 あのゴーグルみたいな眼鏡の掛け方といい、名前といい、すでに指摘されてますけど
 恣意的なデザインですね。グレイモンといい狙ってやってるとしか思えません。
 幸い本作がフツーに面白いんで「気概」に見えてますが。

 ともあれ、彼がe-パルス研究の第一人者なのは間違いなさそうなところ。
 そしてこの人の存在が、トモロウの周辺をまたさらに不穏にしたのは間違いないです。
 もはや本当にアスカの弟なのかさえ怪しくなってきましたよ……
 爺さん本人は悪人じゃないといいなぁ。

 中の人は堀内賢雄さん。ベテラン通り越してすでに大御所です。
 昔はプレイボーイのイケメン、現在は飄々とした年配者のイメージが強い方です。
 シリーズへの出演は意外に早く「テイマーズ」のインダラモンから。
 人間役やんのは地味に初めてですね。
  
 
 
・神生島消失事件

 13話でも語られた未曾有の大災害。
 今回、その原因がデジモン同士のe-パルス争奪による大事故であると明かされました。
 王会長はその力に魅せられ、制御を試みてサポタマを作り、デジモンの研究を兼ねて
 五行星や国民保護省の創設を働きかけるなど暗躍を繰り返していたようです。

 あるいはすでに、近いだけの力を手に入れている可能性もありますね。
 もしクレイが首尾よく動いたとしても、返り討ちにできるだけの力を……
 やっぱり人身売買始めた時点で詰んでた気がしてなりませんよ、クレイさん……

 それにしても気になるのは、あの光の柱の中にいた何かです。
 ただの意味のない塊か、それとも明確な何かなのか……
 デジモンという存在が王会長の想像より時として遥かに恐ろしいものであると、
 あの光景からはそんな連想しか浮かんできませんよ。

 もちろん接し方によるんですけどね。
 その良い例がグローイングドーン、ということでしょう。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「お役に立てることがあるなら、すべてを捧げます!」(内藤)

 クレイにほぼ90度のお辞儀をしながら。
 直後に「あとひとつだけある」と言われた際の笑顔は子供のようでした。
 こんな顔をさせるなんて、彼にとりクレイとはどんな存在なのでしょう。
 謎が増えた気さえします。なお(略
 
 
「お前のe-パルス、遠慮なく使ってやろう。
 良かったなぁ内藤? 俺の役に立てて……」(クレイ)


 コールドハートへ至る寸前の内藤に。あまりにも皮肉がきいています。
 彼にとってはどのみちこうする予定だったし、予定通りの出来事でしかない。
 実に仕え甲斐のない男です。内藤には何が見えていたんでしょう。
 
 
「あの島を思い出させてくれる。だが……どこまで近づけるかな?」(王会長)

 クレイが次の手を打つ前に始末へ動こうとするゲンジョウを制して。
 「近づける」とはどういう意味でしょうか? やはり切り札が……?
 
 
「王よ……お前の夢は、夢で終わる……」(クレイ)

 王会長のそれが夢であるかはともかく、彼も結局その「夢」を打ち砕いて
 自分がその後釜に座ることしか考えていないようにしか見えません。
 しかもそれでやることは、永遠に人の夢を奪い続けることだろうし。
 
 
「よし! もう一仕事いくか!」(トモロウ)

 ラーメンを掻きこみながら。
 何かだんだんレーナにも似てきたような気がします。
 
 
「天才とは、誰かの真似をしなくてもできちまうヤツのことだ……
 天馬トモロウみたいに……! オレは違う! わかってた!」(ライト)


 声をかけに来たホタルコ達に溢した自虐。完全に自信を失っています。
 自分は天才であるという証明のために生きてきたつもりが、
 「本物の天才」に出会ったと感じて挫折感に囚われてしまったようです。

 でもそういえば、彼が「天才」にこだわる理由もまだハッキリしてませんね。
 マジで「他に何も持ってなかった」んでしょうか。
 
 
「それでもあなたには、まだその子がいる。
 出口があるうち逃げないと」(ホタルコ)


 落ち込みまくっているライトに。
 シャコモンに支え続けられてきた彼女が言うと重みがあります。
 
 
「勝手に死なれたら寝覚めが悪い……」(グラニット)

 ライトにガムを手渡そうとしながら。
 地味に見えるシーンですが、彼がガムをシェアすることには意味があります。
 
 
「えっと……かつてはアルビダ王国でした。
 20年以上前、レアアースの採掘権をめぐって市民革命が起き、王家は亡命。
 いくつもの大国が入り込み、王国は事実上滅亡しました……」(マコト)


 アルビダについて「そんな国あったっけ」と言うレーナに。即答です。
 あまり平和な世界観でもなさそうだし、情勢を日々調べてるのかもしれません。
 それでなくても知識を集めるのは好きでしょうから。
 
 
「ファミリーを……探しているのかな?」(クレイ)

 ミラーワールドでキョウを待ち構えて。どこに隠れてたんでしょう。
 ここでいきなり胸ぐらを掴むキョウの行動は、普段よりも荒っぽいです。
 ニリンソウに行ってて遅れた分の焦りもあるでしょう。
 
 
「教えてやろう。王会長の本当の姿を……」(クレイ)

 神生島消失事件の真実を語る手前。とても良い顔です。
 
 
「神のごとき力か……!」(王会長)

 神生島で発生した巨大な光の柱を見て。
 会長はこの瞬間、デジモンという存在に脳を焼かれたのでしょう。
 後ろの天馬博士がどう思ってるのかも気になります。
 
 
「これが力だよ、沢城キョウ。
 力のある者はすべてを奪い取る……
 実にシンプルなルールだと思わないか、この世界は?」(クレイ)


 そしてここにも、力に魅せられた者がひとり。
 ンなことばかりやってるからかつての恐竜でさえ滅びてしまったんだ、
 ってどこかのセリフにありましたね。私の好きな言葉です。
 
 
「嫌だ…… オレは、もう逃げたくない!」(トモロウ)
 「ぼくたちで時間を稼ぎます。その間に、e-パルスを溜めてください!」(マコト)
 「信じてよ。ウチら、ファミリーでしょ!」(レーナ)


 狙いは自分だから逃げろ、と告げるキョウに。
 相手が完全体の上だろうと、全員逃げる気は毛頭なかったようです。
 その反応は、キョウ自身の予想さえ超えるものだったに違いありません。
 
 
「キョウ。
 黄金のキョウと呼ばれていた頃のお前のe-パルスは、激しい怒りだけだった。
 トモロウの黒いe-パルスとよく似ていた。
 だが今は違う。お前のe-パルスはさまざまな色を放つ……
 それは、あのファミリーたちの色だ!」(クーガモン)


 過去の年輪を感じるセリフ。
 少年の頃のキョウが荒れていたことは間違いないし、その原動力となるものが
 怒りだったのも頷けます。家族や生活を理不尽に奪われたのかもしれません。
 彼にも我武者羅に力を求め、他人を蔑ろにしてきた頃があったと見ます。

 でも、何か決定的な出来事が彼を変えたのですね。
 彼の強さを愛に変え、笑顔の優しい男に変えたのはなんだったのでしょう。
 次のクールで明かされるかどうか。
 
 
「タクティクスなら難なく躱せるぞ?」(クレイ)

 トモロウ達を攻めまくりながら。
 力に酔いつつも、集めた手駒にはそれなりの自負を持っていたことも伺わせます。
 いかんせん、大半は画面に映ることなくいなくなってしまったわけですが……
 そういえば、ハルオミは無事なんでしょうか。
 
 
「よく耐えた……みんな!」(キョウ)

 奮闘するトモロウの背中から。
 この瞬間、彼は間違いなく主人公でした。
 
 
「俺にも夢がある。
 デジモンと人が……ともに生きる世界を作る。そういう夢だ」
「くだらない夢だとしても……
 デジモンを力としかみなさず、夢を見ることも忘れたお前とは、
 絶対に手は組まない!」(キョウ)


 力を振り回し、夢を否定するクレイに。
 かつて怒りだけで暴れ回っていたであろう彼だからこそわかるのでしょう。
 その先にあるのは結局、破滅だけだということが。
 
 
「何言ってんの!? あんたはただ奪うだけ!
 キョウは夢を与えてくれる……
 一緒にすんな……」(レーナ)


 お前のやっていることだって俺と同じじゃないか、と問うクレイに。
 彼女が言うまでもなく、キョウとクレイのあり方が対極であることは
 ずっと見てきた視聴者ならわかることです。
 
 
「そうだな……オレは……
 奪うだけだ! すべてを!」(クレイ)


 オレは……どこで間違えたんだろうな…… な・ん・て・な!
 って感じの、一気に悪辣を取り戻すセリフです。
 完全にタガが外れて変顔の域に達した表情がまた、実にいいですね。
 まさに一番やっちゃいけないことをやった顔です。
 
 
 
★次回予告

 キョウどころかレーナやマコトも毒牙に、という最悪の状況です。
 今回ばかりはトモロウの激怒にも正当性がありますが、制御するにはまだ足りない。
 暴走しても結果を出せるわけじゃないのは、これまでの経緯からも明白です。

 でもサブタイから察するに、なんとか立て直すのでしょう。
 ここはやはり、タクティクスの面々の援護に期待しておきますか。