反抗心
脚本:森地夏美 絵コンテ:渡部穏寛 演出:長谷川和哉
作画監督:市川吉幸/山下梢/中野彰子/酒井夏海/杜明芮
総作画監督:諸葛子敬
★あらすじ
消耗したトモロウとグラニットのため一旦とある山小屋に隠れたGD一同。
ところが、執念に燃える内藤はクレイの合流の前にキョウとの決着をつけんと
執拗な追撃をかけてきます。彼の忠誠は果たしてどこから来るのか……
その先触れとして差し向けられたのは、ホタルコでした。
彼女は裏切り者のグラニットを「始末」するよう命令されていたのですが、
仮にも仲間である彼を手にかけることがどうしてもできません。
そうこうしている間に内藤が現れ、一触即発の状況が訪れます。
そこへ現れたのはなんと五行星のひとり、深淵のホノカでした。
賞金首となったタクティクスを狩りに来たのです。
キョウに拘る内藤はミラーワールドに彼を引き込み、ホタルコを後詰めに。
レーナがトモロウとグラニットを一時避難させる間、マコトも後詰めとして
少人数でホノカのマリンキメラモンと戦わざるを得なくなりました。
しかし完全体、それも五行星に名を連ねるほどの相手にまるで歯が立ちません。
張り詰めた生き方を続けてきたホタルコはこの絶望的状況に心が折れかけ、
糸が切れたように諦観を垣間見せるようになってしまいます。
これを励ましたのは、仲間の大切さを知っているマコトでした。
それを証明するように、グラニットが二人を守りに戻ってきます。
さらにトモロウとレーナも駆けつけますが、ホノカはやる気を失って去りました。
弱者同士の馴れ合いに倦んだような口ぶりでしたが、おかげで一同は助かります。
一方ミラーワールドでは、キョウ打倒に燃えるセラフィがムラサメモンに攻勢。
そこにグラニットとホタルコが割って入ります。ホタルコは陣営との決別を宣言。
ギガスモンは反撃に出たムラサメモンに敗れ、内藤は一人逃げ去ってゆきます。
かくして新しい道を模索するため、ホタルコ達はライトを探しに出発するのでした。
その頃、ゲンジョウは王会長に報告していました。
タクティクスの殲滅がほぼ完了した、と……
★全体印象
22話です。一週休みだとどうも調子が狂いますね。
今回はほぼホタルコが主役みたいな状態でした。
17話を踏まえ、彼女がなぜ大学にいられなくなり、借金を背負わされたあげくに
タクティクスに身を置くことになったのかが改めて語られています。
まさか、高すぎる熱意が仇になってしまう状態だったとは……
しかし非情に徹することも、自分ひとりだけの力で戦い抜くこともできず
何もかも失ったような気持ちになったのですね。
それを土壇場で支えてくれたのは、他ならぬマコトでした。いつものことながら、
十歳にしては人間ができすぎています。この子にもまだ闇がありそうだけど。
深淵のホノカは今回がデビュー戦。
印象にたがわぬ圧倒的な強さを見せつけ、性格の悪さも存分に見せつけました。
それでいて愛嬌もあるという、悪役として申し分のないキャラ付けです。
本格的な出番は遠くないかもだし、今後も期待させてもらいましょう。
そんでもって、今回また株を下げてしまった内藤。
とうとうホタルコにまで三行半を叩きつけられました。しかもビンタ付き。
19話あたりからずっと上がり目がないままです。
この状況になってもクレイへの忠誠が揺るがないことだけは評価できますが……
脚本は森地夏美さん。思った通りのホタルコ担当です。
絵コンテの渡部穏寛さんは多数作への参加に加え「東京喰種トーキョーグール:re」
や「NARUTO -ナルト- 疾風伝」、「忍者と極道」での監督経験もある実力派。
本作はなんかこういう人がフラッとやってくることが多いですね?
★キャラなど個別印象
・トモロウ組
出番の8割ぐらい寝てました。
ホノカ襲撃の時点でもゲッコーモンがまだ寝てたので、退避せざるを得ない状況に。
その後蜻蛉返りしたものの、相手が帰ってしまったので見せ場なしでした。
・レーナ組
場をマコトに任せて一度現場を離れる場面がありました。
若干、マコト組とホタルコ組の絡みを強める状況ありきの行動に見えなくもありません。
多少印象に残るセリフもありますが、彼女らの活躍度もトモロウ組とどっこいです。
・マコト組
はからずもホタルコ組と一緒に戦うこととなりましたが、最初は拒絶されて連携できず。
相方もマリンキメラモン相手に全く手が出ないなど、バトル面ではやられっぱなしです。
まあこれは相手が悪いとしか言いようがないから仕方ないですね。
その代わり、絶望しかけたホタルコを励まし離反の決意をさせる道筋を作っています。
上にも書いたけど本当に十歳児なんでしょうかこのマコトって子は……
よほど家が厳しかったのか、真っ当だったのか。どっちなんでしょうね。
それともこれは先天的なもので、たまたま彼だけ生まれつきの聖人だったとか……
まあ、これもいずれ明かされるときが来るかもしれません。
その過去については、ホタルコとも共有することになったりするのかも。
・キョウ
最初から最後まで内藤とギガスモンを引き受けていました。
ただ、五行星のひとりまでが来ている状況とあって余力を残そうという考えからか
相方ともども力を抑えて戦っていたように見えなくもありません。
トモロウ達の無事を確認したあとは安心して全力を出せるようになったのか、
一撃で決着をつけています。別に遊ばれてたわけでは断じてないんでしょうが、
これは内藤組の立場がありませんね。え? とっくの昔にない?
内心かなり心配していたんでしょう、事態が落ち着いた後は後ろから皆をハグして
無事を喜んでいました。まあ相手が相手でしたものね。
実際、あのままホノカが居座ってたら最悪の事態になってた可能性もありますし。
ところで、そのホノカとはやはり面識がないようでした。
ホノカ自身もキョウには初めて会うみたいだし、五行星入り自体が最近なんでしょう。
逆に考えると二人とも先代の「水」とは面識があっておかしくないことになるけど……
・ムラサメモン
終ノ斬・哭雨を披露し、ギガスモンを一撃のもとに斬り伏せました。
巨大な腕を駆け上り、黒いオーラを纏わせた刃で一気に斬り下ろすモーションは
本話のアクションでは一番のハイライトかもしれません。
ギガスモンとの戦いはこれで三度目ですが、いずれの場合もダメージこそ受けたものの
退化してしまうほどの痛手は受けていません。
状況的には今回が一番危なかったように見えますが、救援が来ると読める流れで
それほど追い込まれたように感じません。その後きっちり決めていますから、
ほぼ勝ち越しといってよさそう。弱体化していてこの強さなんですね。
しかも次回、なんだか「本気」を出しそうな勢いに見えます。
ただその場合、キョウの方が心配なんですよね……
・ホタルコ
ライトに続いて今度はグラニットの始末を命令されました。
セラフィ側からすれば、それは忠誠度を測るための試金石だったのでしょうが
見事に裏目に出る結果となっています。
17話を受けて、今回ではシャコモンが生まれた経緯が明かされました。
彼女、あまりにも頑張りすぎてサポタマに「理想的ではない人間」認定されたのか
エラーが引き起こされた末にシャコモンが生まれてしまったのですね。
本人の熱意が裏目に出てしまうとは、なんという皮肉でしょうか。
ただ彼女が偉かったのは、シャコモンへの恨み言よりも家族のため、復帰のために
自分にやれることを必死にやろうと前を向いていたことでしょう。
まあ最初はどうだったかわかりませんけど……
しかしタクティクスの実態を知り、失態したライトへの処遇を目の当たりとし
本当にここにいていいのか、と相当に揺らいでいたことと思います。
デジモンどころか人間まで「始末」させられるとは思っていなかったっぽいし。
こんなはずじゃなかったと思うのは想像力不足だ、と言っては酷でしょう。
それに、ずっと前から一人で頑張りすぎていて、それに慣れすぎていたためか
誰かに頼ることは弱さだと考えていたようなのですが、それではもし
自分一人ではどうにもならない状況になったらどうするか?
という問いへの答えを持っていなかったんでしょうね。
「望みをかけた居場所さえクズだった」「一人じゃどうにもならない」
いっぺんにこの現実を突きつけられて、心が折れそうになってしまったわけです。
もう独りぼっちで抱え込むには完全なキャパオーバーでした。
そんな彼女に手を差し伸べたのはマコトと、先に心の飛躍を果たしたグラニット。
そのとき、彼女はやっと気づいたのですね。苦難を分け合える者がいることを。
そして、理不尽な要求には拒絶する自由と権利があるということを。
内藤に辞職ビンタを喰らわせ、一からやり直すことを決めた彼女らの顔は
しかし実に晴れやかでした。心の階段をひとつ駆け上ったのです。
幸あれ、ですね。
・シャコモン→ティロモン
史上最強のティロモンってぐらいの実力を見せてくれていたんですが、
マリンキメラモン相手にはまるで歯が立たずでした。
それでも、転げ落ちたホタルコ達と合流するぐらいはやってのけてます。
ホノカ達の注意が逸れた間に離脱したのでしょう。
あくまでもホタルコの意志を尊重していたためその指示に従っていたようですが、
今回はじめて彼女に組織からの離反を(比喩的に)進言しています。
ずっと側にいた相方の言葉は、ホタルコにとって最後の決め手だったでしょう。
ある意味では最大の立役者かもしれません。
・グラニット組
シャコモンの水攻撃に殺されかけたグラニットですが、危機に陥ったホタルコ組を
その類稀な防御力で救ったのも彼らでした。わざわざ戻ってきたのです。
相変わらずの物言いでしたが、そこには明らかな変化がありました。
アーマーもメットも失い、成長期状態ではそのままだったルドモンですが、
成熟期への進化はしっかり維持しており援護防御の鬼っぷりを発揮しています。
今回はホタルコ達だけでなくムラサメモンも庇い、いずれも健在。
特に五行星レベルの攻撃を防いだ事実はでかいでしょう。進化したおかげ?
・内藤
グラニットに続いてホタルコも盾にしようとした人。
しかも、今回は勝てないとわかっていての完全な捨て石扱いです。
クレイと同格の相手がどれほど恐ろしいか、知らないわけではないはず。
バトルでは、ギガスモンの能力を活かして健闘はしています。
しかし肝心なところでホタルコにまで離反されたうえ、苦し紛れの反撃も
あっさり返されてギガスモンを失う憂き目に遭っています。
本来ならば加勢してもらえそうな流れでこの有様になってしまうというのは、
彼の人望のなさを表すものです。ライトがちゃんと気に掛けられているのに対し
捨てゼリフ投げられて終わりというのは、どんだけ嫌われてたんでしょう。
まあなにもかも自業自得なんですが。
唯一、彼を評価できる点があるとすればそれはクレイへの忠誠心です。
忠誠心というか、心酔しているようにも見えますが……
ただ、ここまで来るとその忠義が報われるかも怪しくなってきた気がしますね。
・ギガスモン
「フロンティア」で猛威を振るったハリケーンボンバーを披露しています。
これはあっさり弾かれましたがフィールドの特性を活かし、多数の分身を作って
ムラサメモンの動きを封じたあたりはいいセン行ってたと思います。
しかしイマイチ決め手不足で、千載一遇のチャンスもティアルドモンが妨害。
巨大な拳を作って攻撃しようとしたものの、その取り回しの悪さを突かれ
終ノ斬・哭雨をまともに喰らってとうとう幼年期へ退化してしまいました。
自分だけクリーンヒットを貰ってばかりの遍歴です。
その後回収された様子がないんですが、置き去りにされちゃったんですかね。
ってことは、あの砂嵐による移動はプロガノモンの能力ってことか……
・ホノカ
突然現れ、タクティクス討伐を一方的に宣言して戦いを挑んできました。
内藤がエスケープしたため、最初はホタルコ組だけと戦っています。
その後マコト組も参戦してきますが、構わず両方を一蹴させました。
五行星の一角を張るに相応しいケタ違いの実力です。
物言いも相手を煽り倒すことに人生を賭けているのでは、と思わせるほど毒舌。
ホタルコを抹消する寸前まで追い詰め、格の違いを思い知らせました。
この力の差は、ホタルコの心を一度はポッキリと折りかけています。
もちろん、その前にマコトやグラニットが繋ぎ直したのは言うまでもないですが。
その後、一度は見失ったマコトとホタルコを発見したものの次々現れる救援や
彼らが団結して自分に向かってこようとする様子を見て萎えてしまい、
なんとそのまま棒読みの捨てゼリフを残して帰還してしまいました。
曰く「青春アレルギー」なのだそうです。
つまり彼女、「そういったもの」を徹頭徹尾に見下して生きてきたのですね。
秀ですぎる、または力がありすぎるために、周囲のほとんどをザコと見下し
そのザコ同士が傷を舐め合う姿はもっともっと見下しているのでしょう。
17という若さで今の地位にいるのだから、その自信も頷けますが。
……なんか、いろいろとタクティクスの対になりそうな人物ですね。
そんな彼女にもカイトというリスペクトの対象がいるんですけど、
アレがどの程度本気かどうかで彼女の本質が測れるかもしれません。
・マリンキメラモン
ホノカのパートナー。14話以来の登場です。
その水棲型デジモンをツギハギにした異様な姿はホノカの秘める凶暴性と、
支離滅裂な行動原理を示している……のかもしれません。
姿に相応しく戦闘力は凄まじいものがあり、山荘の崩壊に巻き込まれても
涼しい顔で飛び出してくるほど防御力にも秀でています。
ナイトキロプモンの打撃に至ってはノーダメージでスルーされる有様。
加えてスピードと反応速度も並の完全体を大きく凌駕するものを備えており、
ティロモンやナイトキロプモンの動きを完全に捉えて捕まえるなど、
凶暴な外見でありつつもかなり精密な動きもできるようですね。
そのパワーも、投げ捨てただけでナイトキロプモンを戦闘不能にする高さ。
が、ホノカがザコ相手と侮って本気で戦わせていなかった可能性も高く
結局は真価を発揮する前に退場してゆく形だったと思います。
逆に言えば、ホノカを本気で怒らせたときが怖いといえるでしょう。
ただでさえ五行星には「上」がある疑いが強いし。
中の人は本田貴子さんです。なんと相方と同じ女性。
「ゴーストゲーム」でアヤタラモンを担当していた方ですね。
まさかこの役で出るとは……
・クレイ
タクティクスを全部隊招集して何処かへ向かっていましたが、ラストシーンでは
張り付いたような笑顔で荒野にたった独り突っ立っていました。
ゲンジョウの言葉と照らし合わせるなら「合流地点」に誰も来なかったのかも。
片腕の内藤もギガスモンを失っているし、いきなり孤軍奮闘状態です。
次回はどうやらグローイングドーンに仕掛けてきそうですね。
こうなるに至った直接原因である彼らへの逆恨みを晴らすためでしょうか。
そうではない、と言い切れるほど私は彼の器を信用していません。
ってことは、次でいよいよプロガノモンが本格的に暴れる……?
・ゲンジョウ
王会長に「タクティクスの殲滅がほぼ終わった」と報告していました。
やったのは彼らでしょうか? チームセブン以外がどんな連中か知りませんが、
ぶっちゃけ本編に出ても来られない連中の実力など知れています。
ゴクウモン単独に潰されたとしても、別に不思議ではないでしょうね。
クレイのやってることなんて知らないメンバーも少なくないでしょうから、
彼らにはお気の毒にと申し上げるしか私にはできません。
・王会長
ゲンジョウの報告を無言で聞いていました。その内心は計り知れません。
★名(迷)セリフ
「いや……気のせいだったようだ」(クーガモン)
ホタルコ組の潜入をわずかに感知して。
彼女たちは隠密行動に秀でているのでしょうか。
「王会長には、退いていただこうか」(クレイ)
などと言ってますが、ラストシーンを見る限り思惑は完全に外れそうです。
この時すでにゲンジョウが動いていたんでしょうね。
「クレイ様の完璧は私だけでいいのだ……!」(内藤)
クレイとの合流を遅らせてまでキョウとの決着に拘って。
なんか湿度が異常に上がってきたような。
「……! ……やめてッ!」(ホタルコ)
シャコモンが出した水の塊によって窒息しそうになるグラニットを見て。
彼女が人間相手に手を汚したことがあるかどうかは実のところ分かりませんが、
描かれてない以上は「やったことがない」と取るべきでしょう。
もちろんデジモンはデリートしてましたが、少なくともグラニットは同僚だった人物。
仮にも元の仲間を殺すなど、彼女にとって一線を外れる行為のはずなのです。
「いつまでかかっている、鹿沼!
私が頼んだのはそんなに難しい任務だったか!?」(内藤)
マコトと一緒に表に出てきたホタルコに。
これが彼の価値観なのでしょう。クレイのために倫理を麻痺させている。
一番の問題は、それを部下にも押し付けていることです。
「五行星水の星、深淵のホノカ!
王会長からの命を受け、賞金首クレイ・アルスラン及びタクティクスを……
狩りにきました♪」(ホノカ)
いきなり現れての討伐宣言。敬礼の仕草が巫山戯てます。
キャラ性を示すにはこれ以上ないほどの宣言。
「あなたのこと知ってるー! 沢城キョウでしょ?
なんかパッとしなーい…… カイト様はどこが良かったんだろう?
ま、いいか! まずはタクティクスの殲滅、殲滅ぅ♪」(ホノカ)
キョウへの評価。その後のセリフに至るまで、表情がコロコロ変わります。
目からハイライトが消える瞬間があるのが地味に怖い。
「鹿沼。せめて盾がわりになってもらうぞ。差し違えてでもヤツを止めろ!」(内藤)
ミラーワールドに飛び込む直前に。
グラニットを始末する役には立たないと判断しての命令ですが、無茶振りすぎです。
ここで仮にホタルコが死んでも、彼の心は動かないのかもしれません。
「力の差でかなわないから奇襲作戦…… つまらない戦い方ですねぇ。
いかにも優等生ってカ・ン・ジ♡」(ホノカ)
山荘に誘い込み、これを潰して下敷きにする作戦をあっさり帳消しにして。
そんな程度の搦手では埋められない力の差を、ジワジワ煽ってきます。
「私は……ずっと走り続けてきた……
家にお金がなくて、さんざん馬鹿にされた……
アイツらを黙らせるために、ひたすら勉強した……」(ホタルコ)
回想でのモノローグ。
タクティクスの面々は結局みんな叩き上げなんですよね。
交友そっちのけで勉学に打ち込んできた彼女は特に。
「たった独りでも強くなる……そう思って、やってきたのに……!」(ホタルコ)
でも、その独りで抱え込む癖が転落の原因だったのです。
そしてもはやチームセブンとしての誇りは地に堕ち、己の矜持も役に立たない。
「あ~あ、つまんなーい。ザコすぎてかわいそ~。
もう終わりにしちゃおう。していいですか? いいですよね、もちろん?」(ホノカ)
ナイトキロプモンとティロモンをあっさり捻り潰して いやあ煽る煽る。
その後の「やれ」が表情と声込みでディ・モールトベネです。
中の人の真骨頂といってもいい。
「無理よ……
どうせ勝てない…… 逃げきれない…… もう……
放っておいて……」(ホタルコ)
マコトに助けられ、手を差し伸べられるもこれを拒絶して。
激務に次ぐ激務を走ってきたのに「すべて無駄だった」と突きつけられたようで、
緊張の糸がプツンと切れてしまったのです。
「どうしてですか!
独りじゃ勝てなくても……ふたりなら、勝てるかもしれないじゃないですか!
ホタルコさんの周りには家族も、タクティクスの仲間も、シャコモンだっているのに!
助け合うことの、何が悪いっていうんですか!」(マコト)
ホタルコの両肩を掴んでの説得。ぐうの根もでないほどの聖人ですこの十歳児。
でもグローイングドーンの中で、彼女の素を一番実感しているのは彼。
17話の件を思えば、これぐらいの反駁は出て当然でしょう。
この後ホタルコは、グローイングドーンを「綺麗な関係」と評します。
たとえ一見統制が取れていないようでも、心からの繋がりを持とうとしている
マコトたちのことが、本当は羨ましかったのでしょう。
「僕にもわからない……でも……
勝手に死なれると、寝覚めが悪いらしいから……」(グラニット)
危機に陥ったホタルコ達を守って。
そう簡単に虚無いセリフ回しは直らない感じですが、もう今までの彼とは違います。
誰を守り誰のために戦うのか、心のままに動けているのですから。
レーナもツッコミを入れながら、その変化に満足そうでした。
「お前のことは気に食わない。
けど……マコトが守りたいってんなら、加勢する」(トモロウ)
主役から一献。
彼、マコトには一回も文句を言ったことがないし、年少扱いもしてないので
そのしっかりした考え方含めてかなりリスペクトしてる気がします。
そのマコトが守るというなら、文句はないのでしょう。
「ザコ同士の庇いあい無理! 寒い! ゾワゾワする~!
はぁ……… 萎えた。帰る」(ホノカ)
決意を固め、ともに戦う気満々のトモロウ達を見て。
去り際に「オボエテロー」と棒読み極まりない捨てゼリフを残しています。
まさしく海原のようにテンションが乱高下するタイプですね……
上で書いた通り、考え方もチラッと見て取れますが。
「今まで、あなたの意志を尊重したくて遠慮してたけれど……
暗くて寒い場所で耐え凌ぐより、大海原を自由に泳ぐ方が……ホタルコには合っていると思う。
どんな決断をしても、私はあなたと一緒よ」(シャコモン)
どうすべきかまだ迷っているホタルコへ、ここぞとばかりに。
彼女を支え続けてきたのは、間違いなくこの忠実なパートナーの存在でした。
この言葉で、ホタルコは陣営からの訣別を覚悟します。
「家族は何があっても私が守る…… 借金も自分で返す!
チームセブンは今後一切、あなたの命令は聞かないわ。
今日付で辞めさせてもらいます」(ホタルコ)
家族を人質に取るような内藤に平手打ちを食らわせて。
それでも「チームセブン」と名乗るあたり、やはり誇りは残っていますね。
命令ではなく、チームそのものの誇りとして。
そして、その中にはライトも含まれているわけです。
「くたばれ、ゲス野郎!」(ホタルコ)
去り際のダメ押し。
唾棄せんばかりのその振る舞いは、内藤を完全に呑んでいました。
理知的な子が不意に投げる罵倒、推せますね。
「仲間に裏切られるようじゃ、リーダー失格だな」(キョウ)
追い討ち。もう勘弁してやってくれ、とは言いますまい。身から出た錆です。
「私こそが完璧……! 私こそがッ……クレイ様に相応しいッ!
お前たち全員、私の完璧な世界から……葬ってやるッッ!」(内藤)
部下を捨て石にするつもりが自分が切り捨てられ、現実を受け入れられずに。
なんでここまでクレイの片腕であることに拘るんでしょうか。
「その必要はない」
「オレのファミリーに手を出した報い……受けてもらう!」(ムラサメモン&キョウ)
ギガスモンの繰り出した土の巨大パンチを前に。
実際、大きすぎるその拳とこれを制御するため棒立ちに近かったギガスモンは
まさしく格好の的でした。逆上してミスを犯しましたね。どこが完璧だ?
「あーあ、全部やり直しかぁ」
「ワタシたちなら大丈夫。優秀だもの」(ホタルコ&シャコモン)
タクティクスからの離反という結果をぼやいて。
でも、二人ともなんだかとてもスッキリした表情です。
ちょっとおどけて見せる余裕まで出てきてます。
「いろいろ……ありがとう……!」(ホタルコ)
別れ際、マコトに。
彼女にとっての紛れもない「本物の恩人」の位置にマコトが収まった瞬間かも。
これは10年後ぐらいが楽しみになってきた、かも?
「お疲れ! お前たちが無事で良かった……
今日はちょっと、いい肉でも買うか!」(キョウ)
トモロウ達ファミリーを後ろからハグして。心から安堵してる感じです。
それだけ五行星への警戒が強かった、ってことでもありましょう。
たとえ苦難はまだ続くとしても、今はこの安堵に身を委ねたいのでしょうね。
★次回予告
グローイングドーンとクレイが決戦を迎えることになりそうです。
クレイの笑いにあきらかな狂気が混じっていますね。
そして、キョウの据わった目とこれまで以上のe-パルスの輝きが意味するものは?