総括05(全クール振り返り)
コロナ禍での大幅遅れとまさかの5クール構成となった:ですが、
このほどようやく最終話を迎えました。
そこで第5クールと一緒に全体の総括を書きたいと思います。
★ストーリー構成
順番に第1クールから振り返ってみます。
・第1クール
1話から3話までは、アルゴモン軍団を向こうに回してのネットワーク空間が舞台でした。
そこでいきなりオメガモンが登場して驚いたものですが、驚かせたなりの意図は結局なく
ただただ意外性と初手から注目を集めることが目的だったようです。
まるっきり無しな手ではないんでしょうけど、それだけで終わってしまってるんですね。
しかもこの際「あの白い騎士はなんだったんだろう」で終わってしまっていて
「もう一回出せたりはしないのか」という検証が行われたことは知る限り一回もありません。
このせいで「そもそも出せるのか、出せないのか」すら曖昧なままとなってしまってます。
それでいて原典通りの進化コースを辿ってゆくもんですから、8話で完全体が現れても
「オメガモンになれば簡単に勝てるのでは?」という考えが常に頭をよぎってしまい
危機に陥ってもいまひとつハラハラできない悪循環ができてしまっています。
これ、せめて「今は無理」と一言でも断言されてたらずいぶん違いましたよ。
で、10話のメタルグレイモンを皮切りに完全体への進化ラッシュが始まり、この流れが
クールを跨いで15話まで続いた結果、その時点での全員が完全体進化可能になりました。
今回は全員が究極進化すると4話の段階で示唆されてたし、完全体進化がある程度早まることは
容易に予測がついたのですけど、これは正直早すぎると感じずにはいられません。
いや、早すぎたり露骨に固まってたりするというのは問題の本質じゃないのです。
問題は各組単独だけにスポットが当たって子供たち同士の横の繋がりが疎かになっていたり、
スポットが当たっても成熟期進化以下の「ちょっと本気出したらできた」レベルの描写が多く
「次のステージに上がった」という実感が薄いことだと思うのです。
無印はそこら辺の醸成が非常にうまく、ミミや丈などは露骨にスポットを当てすぎずとも
それまでの貯金だけで完全体進化を獲得しており、そこに違和感も少ない仕上がりでした。
別に完璧であったとまでは言いませんし、ミミについては「純真とは」と思うこともあるけど。
そういえば太一組とオーガモンがライバル的な描写をされてましたが、
オーガモンのキャラが違うのはともかくとして太一たちがシンパシーを感じる根拠が弱く
後に繋がる要素も少なかったなど、こうして見ると初手から残念な要素が多いんですね。
フォローはあったけどあまりに遅すぎて、ああするしかなかった感アリアリだし。
4話以降のオンエアが実質7月以降になったのも、地味に痛かったものと思われます。
アレ、視聴モチベに結構な断絶を作っちゃってると思うんですよ。
3話切りした人をやたら見かけるのも、そこらへんが原因じゃないかと睨んでます。
・第2クール
本格的に雲行きが怪しくなってくるのはこの2クール目からです。
完全体ラッシュ後、偽の東京が顕れて「おっ?」と思わせたまではいいのですが
そこからアイズモン、オロチモン、ニーズヘッグモンと執拗にゴールポストを動かし続け
最終的に結局また離散という「引っ張ったあげくの徒労」をぶちかましてきます。
3話も使っといて結局あんなオチだったんで、当時はかなりイライラさせられましたっけ。
オメガモンまで動員しながら結果がアレでは、心象が良くなりようもない。
せめてアクションが凝ってれば少しは、なんですがそれも別に良くはなかったし。
しかも19話以降は、あろうことか太一組とヤマト組以外をDWの外にほっぽり出して
合間に別件対処をさせ、2組だけの視点をえんえん8話も続けるという
とんでもない展開に舵が切られます。こんな露骨な蚊帳の外展開ってある???
その間にメタルグレイモンはアルタラウスモードを、ワーガルルモンはサジタリウスモードを
それぞれ獲得するなど、ただでさえ進化バンクなどで露骨な差がついているというのに
ますますメンバー間の格差が開いていってしまってました。
ミミや丈の家族が出ましたけど、それがどうしたってレベルの扱いでしたし。
空や光子郎の親に至ってはマトモに出てさえこないし、裕子ママはあんな態度だし。
19話からは抵抗勢力の一員としてレオモン、20話からはタケルが合流するのですけど
ヤマトが弟への過保護姿勢という欠点(=キャラ性)を無印に置き忘れてきたというのもあって
タケルのキャラも全然立たず、ひたすら歩く舞台装置のまま話を進められていったので
「私はいったい何を見せられてるんだろう」と何度も異様な気持ちにさせられたものです。
そして、1クール目から出てたデビモンとようやく相対へ至るわけなんですが
このデビモンがまた堂々たる闇の貴族から一人で延々とブツブツ何やら呟いてるだけの
まったく会話が成立しないカオナシみたいな奴になってしまっており、別の意味で怖かったです。
ダンデビ進化はどうも研究の成果らしいんですけど、それがハッキリするのはだいぶ後のこと。
たぶん話が通じなくなっちゃったのもその研究のせいなんでしょう。知らんけど。
挙げ句の果てに、闇へ染めようと狙っていた「聖なるデジモン」ことエンジェモンは
なんとデビモンとは戦いもせず、ぽっと出のベルグモン撃破に力を貸してデジタマへ戻ってます。
しかもタケルの前に現れて最初にやったことがそれ。
無印の雑な再現ってヤツですが、それ以前にこれでは献身の押し売りですよ。
タケルがなぜかフツーに受け入れてるのは、もはやホラーですらある。
この期間は特に尺の無駄みたいなバトルが多く、特に17、23、25、26話などは
「要らんだろこれ……」ってなります。もっと言えばアルタラウスとサジタリウスも
要らんとまでは言いませんが、2話もかけて増設するようなものじゃなかったですよ。
たぶんこの時期は、本作についての心象が今より悪かった頃です(今も良くないけど)。
そのため、感想での言葉も無意識に棘が鋭くなっていたかもしれません。
・第3クール
理由は定かじゃないですが、ここらへんで軌道修正が行われてった印象を受けます。
あんだけ引っ張っていたネットワーク空間絡みの案件は36話でパッタリと止み、その後は
4クール目の大半までに至る10話以上にわたって1話完結展開となりました。
色々あったし、少なくとも当初の予定通りじゃなくなってる気はしますね。
27話から舞台はムゲン大陸へ移行。ヒカリも合流します。
ここは弱肉強食の色が強い修羅の国という触れ込みでしたが、後になればなるほど
そこらへんの要素は薄れてきます。これも軌道修正の影響…ってわけじゃないでしょうけど。
で、信じがたいことにここでまた早々に離散展開へ陥ります。
しかも今度は33話まで延々太一組とヒカリの視点が主体で、ヤマト組は38話まで出ません。
ヒカリ絡みでミミと丈の印象まで悪くなるという誰得展開も込み込み。
ロップモンが登場し、ミレニアモンの復活が近いなどの情報も得られるのですが、本来ならこれは
全員揃ってるときに聞くべき案件ではないでしょうか……そもそも離散が多すぎます。
なお、新キャラでは割と好感度高めなコモンドモンの登場もこの頃。
進化エピソードとしては、30話でウォーグレイモンが登場。
以後に他のメンバーも続くと思われたのですが、時期が本当にバラバラになっちゃったので
2クール目早々に完全体進化を捩じ込んだ意味がほとんどなくなってしまっています。
36話で光子郎組が進化の兆候を出してるあたり、本当はもうちょい早くやる気だったのかもですが。
ウォーグレイモンの登場自体も、今思えばむしろ早すぎるぐらいでした。
オメガモンとはまた違う意味で全力出してないみたいに見えちゃうし……
以後の敵が究極体デフォになるならともかく、そんなことは全然なかったですしね。
31話時点だと、そうしようとした節が一瞬見えるのですけど。
・第4クール
上記の通り、47話まではずっと1話完結が続いてます。
3クール目までとは別の意味で、頻度としてはより以上に「この話要る?」が増えたものの
単発としてはそんなに悪くないエピソードが出はじめたのもこの頃。
ただ結局その場限りだったり、要素を拾っていても「別にそこを拾ったこと強調せんでも」
な要素ばかりだったりなんでいまいち後に続いてなかったりします。
48話でいきなり目的地のファーガに着いてしまうなど、状況の暖めも不足してます。
最たるものは、特に強敵相手ってほどじゃない回で究極進化を得たヤマト組でしょう。
マッハモンは彼らに究極進化をさせるほどだったんですが扱いとしてはゲストの一人にすぎず、
しかもその後数カット程度しか登場していません。
あの回自体は悪くなかったんですが、進化エピソードでなければもっと良かった……
という話になるのは、つまりそういうことなのです。
しかもこのメタルガルルモン、登場がウォーグレイモンより1クール以上後なのも驚きですが
以後は本作のメタガルと言ったらコレ! ってほどの活躍もなく、太一組との連携も目立たず
ミレニアモンとの決戦にはほぼ絡めずと、むしろ冷遇されてるようにさえ見えます。
予想も期待もことごとく裏切って何がしたかったのでしょう……
さらに事態を悪化させているのが、48話から50話に至るまでの太一組偏重。
仲間とろくに連携を取らず単独でムゲンドラモンを片付けてしまったのみに飽き足らず
退場期間を大して取らずに復帰、元気玉ガイアフォースでミレニアモンまで倒しちゃってます。
タケル組とヒカリ組も一応頑張ってましたが、上記の悪目立ちで相殺されちゃってるんですね。
8組をしっかり描き、その間柄や繋がりも描いた上でこそ太一組とヤマト組のツートップ、
切り札感が際立ってたのが無印なんですが、本作においてはその真逆をやってしまってます。
普通、切り口を変えるって言ってもそこは堅守するところじゃないんですかね?????
いったいどういう意図でこんな形にしたのか、今もって全然わからない。
その後はいきなり紋章の話が出てくるんですが、遅いにもほどがあります。
一応65話でネガーモンのような根源破滅へのカウンター概念だということがわかるのですけど、
それだったらビジュアルだけ出しとくんじゃなくて早くからもっと取り扱ってくださいな。
「気になってはいました」じゃあないんですよ泉くん。
・第5クール
4クール目ラストで始まった紋章編。
その一発目であるホウオウモン回があまりと言えばあまりな出来で早くも不安になりましたが
それぞれの紋章が何を意味しているのか説明されないままなのと、デジヴァイスの判定基準が
どうにもこうにも曖昧なんで、何を得た結果何が起きて正解へ至ったのかピンと来ませんでした。
むろん想像できる箇所もあるんですけど、あまりに提示をしなさすぎじゃないでしょうか。
紋章の概念をちゃんと出してれば、そこを基準に「これが紋章の輝きにつながったんだ!」
って示しやすいと思うんですが……具体的に説明したら死ぬのですか???
そんな中、丈先輩と空が紋章の輝きを得るまでには二度のエピソードを要しているのですが、
これはろくな出番がなかったり、出ても空気だったことが多い件への埋め合わせでしょうか。
やらんよりはマシですが、結果として本作の空の不発っぷりが強調されてるのはなんとも。
先輩は先輩で、印象のよろしくない上に口頭で済ませてた温泉ネタを急に本格採用するし……
一応、ラストへ向けての前フリはされてってますが2話も使う内容ではないのと、
対象がことごとく太一ひとりな上、本作の彼はあんまり考えたりするタイプじゃないんで
糠に釘というか暖簾に腕押しみたいになっちゃっており、あまり効果はありませんでした。
これも、せめて全員が体験していた事象であれば違ったんでしょうか……
64話においてようやくラスボスたるネガーモンの名前が提示され、65話で登場するのですが
蓋を開けてみたら「現実世界の負の情報を取り込みすぎてバグを起こし暴走した災厄」
というだいぶショボい設定付けにされてしまっており、いささか呆然とさせられました。
主張もなく暴れるだけの設定のショボい何かを相手に、ぶちのめす以外の何をすればいいのやら。
しかも無印の場合、絶対の危機を突きつけてからの各人の冒険で得た自信や経験、
乗り越えてきた確執や手に入れてきた絆を怒涛の回想で挿入して盛り上げていたのですが
本作の場合はただ8組がてんでんバラバラにバトルを繰り返してるケースが大半。
それをポンと出されても「戦ってばっかだね……」になっちゃわないでしょうか。
ぶっちゃけて言ってしまうと、作劇的にはだいぶ前に詰んでました。
最終話がそれなりの出来だったので意地は見せた形ですが、そうでなければ
印象はもっと悪くなっていたものと思われます。マイナスにならなかっただけ良いけど。
ところでこの第5クール、54話だけは作画と演出が別格レベルに高くお話もかなりマシと
トップクラスの高評価をあげたくなるのですが、あくまでも単発として見ればの話です。
他の回がしっかりしてる上でこういう回があるなら全然問題ないと思うんですが、
あのような異色回の評価が際立って高くなるというのはやはり歪んでると言わざるを得ません。
★作画・演出
全体通して無印より高水準なんですが、進化バンクの格差が最後まで是正されなかったのと
ワープ進化が採用されなかったので一斉にやるとテンポが悪いなど問題はあります。
66話のバンク繋ぎはアンサーのひとつですが、登場まもない究極進化のバンクより
完全体進化のバンクを優先するなど、チグハグさも目立っていました。
まあワープ進化はあくまで「無印の」ウォーグレイモンとメタルガルルモンの
超進化シリーズを売るための設定なんで、採用を見送ったのかもしれませんが……
★キャラクター
徹頭徹尾、8組が勝手に動いてる印象でした。
・太一組
繰り返し書いてきたことなんですが、本作の太一は「中身」がありません。
勇気と行動力、人を引っ張るリーダーとしての役割のみを残し、
無印でしばしば見せていた欠点をゴッソリ取り除いたのが本作の彼です。
その結果何が起こったかというと、人間性の著しい欠如でした。
人間の長所というものは短所の裏返しでもあることが少なくなく、その鬩ぎ合いが
架空の存在であるキャラクターへ血肉と魅力を与えてゆくものだと思うのです。
無印の場合、彼の勇気は時として強引さへ、行動力は単なる向こう見ずへ繋がり、
リーダー力でさえ仲間への配慮不足としてマイナスへ振れることがありました。
これを自覚し反省しながら、立派なリーダーへ成長していったのが太一という男です。
しかして本作ではこうした危なっかしさがことごとく取り払われてしまっているため、
勇気と行動力のあるリーダーというガワだけが残ってしまった形です。
取ったものの代わりに何か別の要素を入れ込んだ、というわけですらない。
おかげで泣きもしなきゃ怒りも伝わってこず、悩みもしなきゃ苦しんでるかどうかも怪しく、
「オレたちにしかできないことだ」という使命感だけでただ黙々と突っ走るという
何を考えてるのかもよくわからない空虚な人物に成り下がってしまっています。
そんな空っぽな人物が他の人物にちゃんとした影響を与えられるはずもなく、
5クールもかけておいて他のメンバーとの繋がりは恐ろしいほどに希薄です。
誰に対しても当たり障りのないことしか言わないし、衝突することもない。
ご丁寧なことに、仲間からの「太一はこういうヤツ」というフォローもない。
毎回出ていながら、戦闘要員にしかなってない5クール目が象徴的とすら言えます。
他メンバーのエピソードへまったく寄与していないのですから。
そんな有様なのに、ゴリ押しみたいに前へ立たされ続けるのだからたまりません。
ミレニアモン戦に至っては、仲間との連携どころか総取りの丸受け状態。
上に書きましたが必ずしも出ないでいい回にすら特に意味もなく出張ってくるし、
もはやそういう決まりになってるんじゃないかとさえ勘繰ってしまうレベルです。
相方がそんな状態では、アグモンも輝くのは難しいというもの。
戦闘での出番だけは多いのですが印象に残る名勝負みたいなものは特にないし、
ただただ馬車馬のように働いていた印象です。
初進化の相手がことごとく鳴り物入りですらないポッと出のモブなのは
本人というより、それ以前のセッティング段階の問題な気はしますが。
本作の太一は新たに三瓶由布子さんがアテてたんですが、最後まで慣れませんでした。
でも、それは三瓶さんのせいじゃないと思います。
放映期間中、出世作のひとつである「Yes!プリキュア5」の主役・夢原のぞみを
ブランクを感じさせぬ演技で魅せる機会があったことは何やら象徴的でさえありました。
・ヤマト組
太一に負けず劣らず、無印から要素を引っこ抜かれっぱなしなのがヤマトです。
本来の石田ヤマトという人物はクールに見えますが、それは不器用でシャイな性格と
二枚目の外見から来る表面的なもので、実際はとても情深い熱血漢です。
特に弟・タケルへの情は過保護とか溺愛に近い強さで、それが目を曇らせることもありました。
一方で納得できないと思ったら誰だろうと正面から向かい合うし、太一をリーダーと立てつつ
譲れない一線からは退かず、また友人に相応しい自分でありたいと心がけてもいました。
そんなヤマトだからこそ、太一も一番の親友として信頼していたのだと思います。
ところが本作では何を思ったか、封印でもしたみたいに弟への拘りを見せなくなっており
タケルが無茶をしても通り一遍に褒めるばかりで、心配するそぶりも見せません。
太一とは衝突どころか会話自体あんまりしておらず、太一もあんまり突っ込んでこないので
ただ単にクールっぽく見えるだけのイケメン小学生になってしまっています。
かろうじてガブモンとの間柄は多少補完されましたが。
「両親が離婚している」という設定についても、だいぶ薄められたものになっています。
両親は顔さえ見せないし、周りに自分から話すのはタケルの方だし。
では別の方面からキャラの掘り下げをするのかと思えば全然そんなこともなく、
持ってたバックボーンをただ抜いただけになっちゃってるんですよね。
なもんだから「寡黙でクール」という表層から一歩も出ないまんまなんとなく周りと打ち解け、
なんとなくリーダー代打もつとめるようになっていくという有様に陥ってしまったわけです。
その割に3クール目からは急に存在感が落ち、ミレニアモン戦にはほとんど絡めないという
まさかの事態へ陥っています。5クール目は実質的な出番も激減してるという。
仮にもオメガモンの片割れのパートナーでありながら、この扱い……
さすがにここまでは予想してませんでしたよ。何を考えてこんな形にしたんだ???
ガブモンも2クール目までの扱いはアグモンと同等に近いものがあったと思うのですけど、
ヤマトと同時に3クール目からは出番自体がゴッソリ減っています。
メタルガルルモンへの進化も遅れた上にこれというほどの見せ場もなく、5クール目は
番外進化のクーレスガルルモンに譲るなど、目を覆うばかり。どうしてこうなった……
そもそも光子郎のヤマト評価が「クールで謎めいている」って時点でズレてたんだよなぁ。
無印の彼が聞いたら目を白黒するし、太一は爆笑すると思いますぞ。
浪川大輔さんはむしろ低音系の役が増えてるんでヤマトは貴重な高音寄り枠でしたが、
やはり最後まで慣れませんでした。太一同様、ご本人のせいではないと思いますけれど。
・空組
ある意味で太一組、ヤマト組以上の被害者枠。
無印での空は対立しがちな太一とヤマトを宥めたり、場を和ませようと話題を振ったり
楽しそうなことがあれば率先して乗ったりと、皆をいつも気遣ってました。
敢えてこの表現を使いますが、選ばれし子供たち一行の「お袋さん」だったのです。
それでいて普段はボーイッシュな恰好をしていたり、華道の家元である母と軋轢があったり
内面にはとても複雑なものを抱えており、パッと見よりも内側から滲み出てくるような
そんな包容力に溢れる人物でした。ヒロインとしては地味という意見も見かけますが、
知れば知るほど魅力が見えてくるタイプのヒロインだったと思います。
さて本作ではどうだったかというと、ピヨモンへの縮地レベルのアプローチや
これを助けるためスナイモンの体によじ登ってみたり、崖から躊躇なく飛び降りたりと
肉体派にジョブチェンジしたんですねなんて呑気なことを言ってられないぐらい
人外めいた何かになっておりました。その後も太一などと組んでバカスカと敵を倒すなど
とにかく「強い人」として描かれています。
で、2クール目に差し掛かるあたりからは襲われる側のデジモン達の立場に立って
首を突っ込んでは大暴れするというスパルタンぶりを発揮するようになります。
一言で表現するなら「博愛主義という棍棒で敵と見做したものをぶん殴る戦闘民族」
…でしょうか。
もうお分かりでしょうけど、本作の空は繊細さや気配りさんとはだいぶ縁遠い人物です。
肝っ玉といえば聞こえはいいけど、勢い任せの局面が明らかに増えているんですね。
と同時に神経も太くなっちゃったのか、感情の起伏が乏しくなってました。
近距離パワー型になったのと引き換えに精密動作性を失った、ってところでしょうか……
それでいて52話ではピヨモンに対して突然キレるなどいきなり感情的になっていましたが
なんのことはない、無印26話のオマージュを雑にぶっ込んだだけでした。
全然違うところにいきなり原典要素を入れたものだから、その違和感は半端じゃありません。
私はこれではスタッフが本作の空をどうしたいのか、本当にわからなくなりました。
そもそも2、3クール目の出番に恵まれず、29話で太一と合流したにもかかわらず空気、
その後もスポットが当たる回以外はほぼずっと空気で、5クール目に至っては52話に出た後
62話までワンカット程度しか登場しないなど、強烈に長い放置を食らっています。
担当回自体はちゃんとあるのになぜこう「冷遇」という言葉が頭をよぎるのでしょうか……
ピヨモンもまた、相方のぞんざいな扱いに振り回された口です。
巻き込まれる形で、52話では彼女まで突然キャラが変わって見えました。
進化回が全部ハズレだったの、本当に痛かったと思います。
白石涼子さんは「クロスウォーズ」でアカリを演じており、ポジション的にも
主役の幼馴染という近いものがあったので割と安心感があったのですが、振り返ってみると
やっぱりいまひとつ耳に馴染まなかったように思われてなりません。
空のキャラに中身がなく、時にブレブレなことと無関係だとは到底思えませんね。
…そういえば、太一と空の幼馴染設定も大して掘られませんでしたね。
「ずっと以前からの腐れ縁」「サッカー部ではツートップだった」ぐらいはわかるけど
それを利用したやり取りの醸成みたいなものは全然やらなかったし……
・光子郎組
パッと見は無印からそんなに変わってないように見える方々。
やはり参謀役・解析役という、誰よりもハッキリした役割を持ってるのが強いのでしょう。
技術的なことでは必ずお鉢が回ってきますしね。
担当回もそこそこマシなものが多いです。
ただこれは本作の傾向なんですが、やはり彼らだけにスポットが当たって他メンバーとは
あんまり会話をしないんで、太一以外との繋がりが希薄だったり想像しづらかったりします。
その太一とも最序盤以外はそんなにやり取りがないんで、なんとも食い足りないところ。
互いにリスペクトしてることだけはわかるんですけども。
無印だと「養子」設定があり、「両親」から聞く前に思いがけず知ってしまって
「自分は何者なのか」と一人思い悩むという重めのバックボーンを持っていました。
それでも自分は何者で、本当の親はどんな人だったのか「知りたい」と思うようになるまでを
限られた尺の中で丁寧に描いていたと思います。
知りたがる心を持つ彼が自分について「知る」ことを恐れる、という構図も今思えば巧み。
翻って本作の場合、例によって養子設定のよの字も出てきません。
僅かにわかるのは「一人でいるのが好きだった」ことと、それを公言していたことです。
大人にも心配されていたそうですが、当時は気にも留めていなかった模様。
いやまあ、別に彼が人付き合いを不得手とするのは養子設定だけが原因じゃないですし
その設定を使わずとも周囲と繋がりを作ってゆく過程は描けないことはなかったと思います。
重いものを背負っていればいいというわけではないのも事実。
問題は、その肝心の「周囲と繋がりを作ってゆく過程」が希薄なことです。
太一組以外との印象に残る会話、ぜんぜん出てきませんもの。
それでありながら36話で急に「でも今はみんながいる!」などと言い出すものですから
「そうだとも、よし行け!」とアガってもおかしくないシチュエーションのはずなのに
「えっ何それ…いつの間に……」ってなっちゃうんだと思います。薄いんですね。
だいたい「一人でいるのが好きだった」なんて36話にもなって言い出すことじゃないですよ???
得意分野である参謀役や解析役としての活躍も「お前相変わらずすげえな」
って感心できる印象的な箇所は存外少ないです。ここ一番ってところでイマイチ目立てない。
ゴールポストを動かす敵が多いため、むしろ肝心なところで施策がパーになる印象が強いかも。
ただ策で相手をハメて優位に立つというムーブ(59話)は無印に無いもので、そこは評価したいですね。
テントモンに関しては、何か変にキャラが濃くなっちゃった印象を受けます。
演じる櫻井孝宏さんの声が太めになったことも影響していそう。
しかもその濃さがこう、うまく言語化できないけどあんまり良い方に作用してないというか……
本作ではこうなんです、って言われたらそうですねって言うしかないんだけど。
小林由美子さんは光子郎としてデジモン図鑑も担当してるんでほぼ毎回のように出ており、
その意味では新キャストで最も耳に馴染んでます。
ちゃんと小林さんなりの光子郎は確立していると思うんですけどね……
・ミミ組
ミミに関しては、現実世界への言及が最も多かったですね。
新たに祖父が登場したり、大会社の御令嬢でもあるなど生活レベルがパワーアップしてます。
デジタルワールドにおいても再三この設定を持ち出し、当たり前みたいに臣下や部下を侍らせ
かつ彼らからも慕われるというナチュラルボーン上流階級な側面を披露していました。
純真の紋章持ちとあって感情表現も相変わらず豊かで、見ててちょっと癒しになります。
他メンバーとの繋がりは例に漏れず薄いんですが、本人のアクの強さである程度補ってた印象。
我が道を行くタイプとあって、正直彼女についてはそこまで言い募る気にはならなかったかな、と。
進化エピソードは全部「なんか本気出したらできた」でしたし、ワガママさが影をひそめ
代わりに胆力が前に立っていった無印のような成長劇もないんですが、これに関しても
ギリギリ突っ切ってみせていた印象。
49話におけるコサージュ絡みについてはさすがに「何言ってんだこの子……」ってなりましたが。
3クール目ではヒカリのことを聞いていながら何も行動せず無駄に心象を悪くした時期もあったし、
どうもヒカリとは相性が悪い気がしますね。
あと友人や家族と見做した相手を番号で呼ぶのはだいぶどうかと思います。
思い悩む局面が全部取っ払われたのもまあ、本作じゃこうなのかなって多少は思えたし。
パルモンに関しての印象もまあ似たような感じですね。
高野麻里佳さんの演技には、初登場時点ですでに結構な好印象を抱いていました。
本作の新キャストではトップクラスにハマってるかもしれません。
彼女たちへの心象が比較的に良いのも、高野さんの好演によるところが大きいと思います。
・丈組
本作ではなぜか太一にさえ「先輩」と呼び続けられてた丈。なんか変な距離感があります。
無印との一番の違いは、明確なメイン回が複数存在することですね。
7話を皮切りに15話のズドモン初進化、39話のジャガモン回、53話と60話の温泉回と
ハッキリしたメイン回が7話しかない無印(36話は完全体進化しますがメインとまでは言えない)
に比べれば、一見すれば優遇されているように感じられます。
しかしながら15話と39話の間は2クール近くと明らかに離れすぎており、その間は
全然出てこなかったり出ても光子郎の横で何かコメントを言ってるばかりだったり、かと思えば
なぜかずっと温泉に入っていたり(しかもその状況から抜け出した経緯が38話の口頭説明で終了)、
メイン回はなくても出ずっぱりで他メンバーと関わっていた無印に水をあけられてしまってます。
温泉絡みの期間はヒカリが拉致られてた時期と被るので、ミミ同様ムダに心象が悪化したりも。
4クール目はというと、47話で悪党一派に捕まって狼狽えてた以外はまともな出番がなく
5クール目でやっとメイン回を二度もらいましたが、ろくに経緯がわからなかった
温泉絡みの要素を急に持ち出して「あれは布石でした」みたいなことをしはじめたりと唐突感満載。
60話ではなんかえらい持ち上げられてましたけど、どこかズレたものを感じずにはいられません。
丈という男は実のところ、個人で目立つよりも他に関わってってナンボな人物だったと思うのです。
無印ではリーダーたろうと気を張りすぎて空回りする序盤に始まり、そこから徐々に脱却して
仲間のためにできることを懸命にこなし、彼らにしかできないやり方でヤマト組と友情を結び、
太一へ正式にリーダーを譲り、タケルを守って完全体進化を導き出し、ミミとの同行を申し出たりと
常に誰かのために動き、己の決断は愚直なまでに誠実に守っていました。
別に本作の丈が誰かのために動いてなかったとは言わないし、そういった回もあるにはあるんですが
困ったことに大抵がゲスト絡みで、仲間のために動いてる感が薄かったと思います。
持ち味がそこにないのに彼らたちだけにスポットを当てまくり、仲間たちとの長期的描写を軽視した結果
「丈先輩ってこうだっけ?」という違和感に繋がったのではないでしょうか……
リーダーネタをいつまでも擦り続けたのも、立て方としては相当ズレてるんじゃないかと。
本作の丈組はこうなんです、って言われればそうかもしれないんですけども、原典がある以上
違和感が出るような仕上がりにするのはやっぱりおかしいんじゃないか、と思うのです。
ミミが比較的マシに見えるのは、突っ切り方が彼女たちのキャラにまずまず合ってたからでしょうし。
違和感といえばゴマモンにもあって、ナマイキ成分がほとんど抜けちゃってるんですね。
丈にハッパをかけるヤンチャっ子のようでいて実は周りをすごく見ているという、本当は相方そっくりな
その二面性が魅力だったんですが、本作ではそこが削れた分だいぶ印象が薄くなってました。
ある意味丈以上に違和感が出ちゃってたかも。
草尾毅さんの芸歴と功績は言うまでもないし、本作でもしっかりこなしておられます。
出番の割にまあまあ馴染んだ気がするのはさすがというべきでしょうか。
・タケル組
歩く舞台装置、の印象が最後まで抜けなかった方々。
そもそも、タケルの本格登場が19話ラストと異常に遅いです。
まあパタモン(というかエンジェモン)が「聖なるデジモン」としてやたらキー扱いされてたんで
より強調するために合流自体を遅らせたのかもしれませんが、それでお出しされたのが
20話で起きた上記のアレというのはちと理解が追いつかないです。順序がデタラメだぞ。
それでもタケルが戸惑いながら「どうしてこうまでして守ってくれたんだろう」と
少しずつ触れ合ってパタモンと仲良くなってゆく過程を入れてれば納得できたかもしれません。
最初にああいうことをした以上、後のフォローは必須みたいなものです。
ところがタケルは特にリアクションらしいリアクションをせず目の前の現実を受け入れ、
ダークナイトモンに持ち去られたエンジェモンのデジタマを取り戻そうとします。
その間、彼が何を考えているのかはほとんど描写されません。
なのに体を張ってデジタマを確保しようとする姿には、健気さとかどうとか以前に
得体の知れない薄ら寒さをおぼえたものでした。なんでそうなるの???
以後も特にパートナー同士のやり取りがないまま期間だけが過ぎ、やっと多少話したのは
なんと32話になってからでした。1クールも何してたの???
それもこれも、デビモン絡みの冗長なバトルに尺を取られたせいではあるんですが。
バトルだけしてりゃいいってわけじゃないんですよ??
本作が人物描写を軽視しているのは間違いないところなのですけど、
タケルは特にその影響を受けてしまった一人です。
どんな子なのか全然描かれないまま、流れだけどんどん進行していくんですもの。
無印のタケルは両親の喧嘩を目の前で見ていた節があり、争い自体を忌避してました。
それが進化を妨げていたのですが、パタモンが絶対の危機を前にして
たとえ一緒にいられなくなってもパートナーを守ろうとエンジェモンへ覚醒、
デジタマへ戻ってしまうも再会の希望は残る、という経緯がありました。
それまでの間にタケルとパタモンのやり取りを大小さまざまに積み重ね、
12話で単独スポットを当てて暖めを行い、13話で上記の流れへ持っていったわけです。
結果、タケルとエンジェモンの一時の別れは特に名シーンとして語り草になりました。
それをいきなりドンとぶっ込んだあげくタケルの人となりも描かない、フォローも無しで
どうやって気持ちを乗せればいいというのですか。乗せられるわけがない。
こうしてもはや彼らが何を言おうと、私の心には大して響かなくなってしまいました。
こんないい加減があるものかよ……
潘めぐみさんはPSPのゲームでもタケルをアテていたので、その意味では安心でした。
悲しいかな、声以外はタケルらしさが何も残ってなかったんですが……
・ヒカリ組
無印と違い、ヒカリもシリーズ序盤から登場はしていました。
2クール目から徐々に露出が増えてゆき、26話ラストで本格合流を果たします。
と思ったら28話でいきなりダークナイトモンに拉致られてしまい、33話までは
その救出がメインミッションになるという災難に見舞われました。
この結果、ウォーグレイモンの登場がエンジェウーモンより前になっています。
その後すぐダークナイトモンの中にいたテイルモンとの顔合わせが行われ、
マリンデビモンとの戦いでエンジェウーモンの登場イベントが組まれたので
タケル組に比べスムーズに一連の段取りを踏んでいます。
ヒカリは無印の頃から内面より、持って生まれたその感性が主体のキャラ付けですが
本作ではいささか狂気レベルに達しており、初対面のダークナイトモンを恐れないどころか
その中にテイルモンを見出してコンタクトを取り、パートナーに迎え入れてます。
拡大解釈が過ぎるところはあったかもしれません。
ですがむしろその後の58話で、テイルモンと共にピョンピョン走り回りながら
囮を買って出る展開になったことの方に違和感を受けていたりします。
とうてい単独で動くタイプじゃないし、そうなるだけの経緯も全く描かれてませんから。
44話と58話のテーマがラストに直結してくることはなんとなく察しがつくんで、
その観点で見ればまだやりたいことはわかるんですけど……
テイルモンは無印や02以上によく喋るようになっており、デジモンにも詳しいことから
最後の加入ながら印象は稼いでいた方です。全体によりマジメな性格になってましたが
改変としてはまあアリな方でした。
全体的に見てそこまで良くはないですが、他にヒドいのが多いのもあってか
比較的マトモな印象を与えてくるという、自分の感覚を疑いたくなる二人になっています。
光の紋章の概念が元からフワッとしてるんで、多少は大目に見てるところもありますが。
和多田美咲さんに関しては、ヒカリの新キャストとして申し分なかったと思います。
声質だけならM・A・Oさんよりも荒木香衣さんに近かったと思うし。
同じことはテイルモンの園崎未恵さんにも言えますね。二人とも良い仕事をしてます。
本作のデキが良いとお世辞にも言ってあげられないのは、それだけに残念。
・セミレギュラーの皆さん
4話の段階で登場し、9話で退場したオーガモンは序盤の中ボスとして知られますが、
強さはともかく扱いとしては、レギュラーですらないメタルティラノモンに粛清される形で
あんまり良いものではありません。後に再登場が期待されましたものの、
リベリモンの存在で匂わす程度に終わってます。まあ、あまり大々的に扱うものでもないけど。
19話からは、1クール目から名前だけは出てたレオモンが登場。
スパーダモン、ファルコモンらとペックモンを駆り、しばらく太一たちを支援していました。
27話でエルドラディモンに残ってほぼ2クール音信不通となるも、50話で健在が確認され
その後61話からちょくちょく登場するなど代表的な支援者のひとりになっています。
キャラ的には無印と大差なく、印象も悪くはないですね。
個人的には、無理矢理退場させられなくてホッとしましたよ。
29話から登場したロップモン。
突如ペラペラ喋り出したのはびっくりしましたが、情報提供役としては一番仕事してましたね。
あと個人的には西村さんの落ち着いた喋りが好みでした。
31話から登場したコモンドモンは、50話あたりまで実質的レギュラーでした。
37話の居眠り以外は大きな落ち度もないし、新キャラとしては好感度が高めだと思います。
65話での出番はかなり無理矢理でしたが、功績を考えればまあいいかな、と。
中の人の人選については意味がわかりませんでしたが、キャラ自体には関係ないので置きます。
42話から登場したガーベモンはその意外な配役や相方の思いがけぬ進化、
光子郎との研究仲間のようなポジションに収まる高待遇などで脇を固めるキャラとしては
いいポテンシャルを持ってたと思います。
ワイズモンも悪くないけど、ちとシナリオの都合で喋らせすぎな気はしましたね。
全体として、メインより彼ら脇デジモンの方が好感度は高いです。
人間じゃないからやりやすいのか、キャラ付けもよっぽどハッキリしてるし。
・ゲストの皆さん
シリーズ前半はまともに喋るデジモン自体があまり登場せず、そのためか
現れる敵をひたすらぶっ倒す流れが続いていたように思います。
流れが変わってきたのは37話あたりからで、1話完結色が強くなった頃と一致します。
特に45話のマッハモン、54話のリベリモンとキュートモンは良い味を出していました。
珍しく味方側についたゴーレモンやエテモン、ペタルドラモン、
やっと本来のキャラで出た感のあるボルケーモン、いぶし銀のノヘモン、
ある意味クロウォ版以上に根はいいヤツとして描かれたオレーグモンあたりも推したいです。
性格は全然違うけど、グラビモンも結構アリなキャラ付けだったと思います。
やはり脇役・端役の方が見方も甘めにしたくなりますね。
メインに比べれば割と自由にやってた感じだし、それがよかったのかな。
・敵陣営の皆さん
前半は本当にしゃべらない敵が多く、主張もなしにただただ暴れるヤツが大半だったので
メインキャラの描写にノれないのもあって徐々に確実にキツくなってくる状況でした。
無印でも別にしゃべらない敵はいましたけど、ドラマでカバーしてましたからね。
その点でいくと、一番キツかったのは偽東京編からダンデビ戦あたりぐらいでしょうか。
あのあたり、たとえ喋っても一方的にブツブツ言ってる連中ばかりだったので
とにかく不気味で、何もしゃべらない方がマシってぐらいでしたもの。
タケル登場からしばらくの時期はバトル自体も間延びしててキツかった憶えがあります。
あとマメモンとビッグマメモン。なんだあれ。
3クール目からは徐々に改善…されるようであまりされておらず、ゲストは喋るものの
敵役は相変わらずしゃべらないヤツが多く、食い足りなさは相変わらずでした。
せめてよく喋るタイプのレギュラー敵がいれば、全然違ってきたんでしょうけど。
なんせミレニアモンもネガーモン系も全然意志を表明してくれないからなぁ……
アルゴモンもやっとしゃべったと思ったらあんなんだし……
ああ、オポッサモンの憎たらしさは良かったですね。すぐ死んだけど…
(と見せかけて最終話でどうやら生きてたっぽいことが判明しましたが)
全体を通し、何度となく立ちはだかってくるレギュラー敵がいないことは
本作の大きな欠点と捉えております。デビモンはその役割をあまり果たしてくれなかったし、
彼に続く存在がなかったのは子供たち側を立てる上でも悪手だった気がしてなりません。
この手の作品はだいたいにおいて悪役にも魅力がないといけないのに、
魅力不足どころかシリーズ通しての仇敵がいないんですもの。そりゃ盛り上がりませんよ。
次の「ゴーストゲーム」では、ちゃんとレギュラーの敵役を用意して欲しいです。
この際デジモンでなくても構わないので……倉田みたいなのはノーサンキューですが。
★総括まとめ
最終話がわりかし無難にまとめてられたんで、胸を撫で下ろしてるところです。
終わりよければすべて良しとは言いませんが、少しは緩和してくれますね。
各メインキャラのドラマと繋がりの耐え難い薄さ、執拗なまでの太一組偏重、
ペース配分がメチャクチャな進化回、敵レギュラーの絶望的不足などなど、
ドラマ面では名作として知られる無印のリブートとして到底評価はできない作品です。
その一方で作画・バトル面では光るところがあり、当たり外れは激しいものの
アクションを魅せようという努力は肌で感じました。
デジモンの良さを、シンプルなアクションを通じて伝えようという方針だったのかも。
だったら「なぜ無印を題材に選んだ」ってなるのですけれど。
より正確には「なぜドラマ面の抜き方があんなに雑だったのか」と言いたい。
明らかにアクション主体であっても、うまく要点を抑えたドラマを作ってる作品なんて
例に挙げるまでもなくたくさんあるというのに……
すでに言われてることですが、デジモンを再度広い層へアピールするにあたって
いきなり完全新作では厳しいので助走期間として、基本がすでにあり知名度も高い
無印のリブートが採択されたのではないか、と今なら思えます。
これでゴーストゲームが無かったら「何だったの…」ってなるところですけど。
でも、それならもうちょっとでも何とかならなかったんでしょうか。
無印の魅力がどこにあったかを思えば、好きだった人ほど離れかねません。
それに代わるものがアクションだけというのは、片手落ちにも程があるというもの。
チャーシューメン注文したら頼みもしないのにチャーシューを抜いて出してきたようなもんです。
しかも代わりにメンマ山盛りにしてくれたわけでもない。どうしてこうなった。
とはいえ──これでやっと言えるんですが──
それでもなお、あの最終話のおかげでtriよりはよかった、という結論へ達せました。
本作はどこまでいってもリブート作なんで「別物」とある程度割り切れるのが強いし、
欠点だらけではあるけど雑にセミレギュラーを退場させるようなことだけはしなかったし、
ドラマは薄かったけど全体のトーンは後半になるにつれ明るめになっていきましたから。
triはあの体たらくで、時系列的には02の続きというのがホント無理でした。
おまけに妙に暗いわ皆して健忘症だわ救いがないわ悪役はただただ不快だわで
今思い出すだけで怒りが倍増してきます。
悪名は無名に勝るというし、転じれば印象の悪さは印象の無さに勝るってことですけど
あんなものを記憶に残すぐらいなら無い方がマシだと改めて思い至りました。
てなわけで改めて:には「お勧めはしないけど、triよりはよかったんじゃない?」
という言葉を贈りたいと思います。甚だ不名誉な評価になりましたが、これが私の本音。
問題は、:が本来のターゲットにどう映ったかです。
ゴーストゲームへの評価で、それが明らかになるでしょう。ここからが正念場です。
本作をキッカケにデジモンの展開が質・量ともに向上してくれるというのなら、
役割は充分に果たせたと言えるのですが……果たしてどうなりますやら。
せめて本作が後年への礎となってくれることを祈り、レビューを締めにしたいと思います。
お付き合いくださり、ありがとうございました。