燃える 蒼き友情
脚本:佐藤寿昭 絵コンテ:鈴木正男 演出:ひろしまひでき
作画監督:直井正博 総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
呪いの儀式によって無辜のデジモンたちを生贄に捧げてエネルギーを吸い尽くし、
ミレニアモンのカケラに与えている悪魔・メフィスモン。
見かねたガブモンの強い意向もあり、この状況に介入したヤマト組でしたが
生贄たちの大半を逃がしたものの、ガブモンは新たな生贄として捕まってしまいます。
途方に暮れるヤマトの前に、ようやく温泉から抜け出してきた丈とゴマモンが合流。
彼らの助けを借り、ヤマトはガブモンがいる儀式の岩山への登攀を試みます。
その脳裏に閃くのは、パートナーとの出会いの記憶。
ガブモンは今やヤマトにとって、かけがえのない友と呼べる存在なのです。
丈の本人も驚く意外な援護もあり、なんとか頂上にたどり着いたヤマト。
窮地に陥るヤマトを体を張って救出し、進化を成し遂げます。
抵抗を試みるメフィスモンでしたが、勢いに乗る2人を止めることはできませんでした。
戦い終わって、ヤマトの前にはペガスモンで迎えに現れたタケルの姿が。
ここに、選ばれし子供達8人が終結したのです。
★全体印象
38話です。
光子郎、ミミときたら次は丈……ではなく、ヤマト回です。
いやまあ、ヤマトも28話からこっちずっと走ってるだけで今回へのフリすら無かったけど。
今回はヤマトとガブモンの出会いが回想として描かれ、二人の間柄の強化が描かれました。
また、ヤマトとタケルの両親が無印同様離婚していることも初めて明言されています。
もちろん状況などからほぼ予想はできていたことですが、予想外だったことがあるとすれば
言及がこの時期、4クール目直前になってからようやくというこの現実でしょうか。
これはやはり、本作と無印の似て非なる方針の違いから来るものかもしれません。
本作では設定こそ大筋変えないものの、そこから導かれる叙情は重視せずに
あくまでデジモンたちのパートナーとしてバトル重視に攻める気みたいですし。
確かに無印、および02ではデジモンよりも選ばれし子供たちが前に出過ぎてた感は否めず、
テイマーズはそこを問題視してデジモンの怪物感を引き戻そうとした形跡があります。
が、無印とは別の意味で色々とやりすぎた面はありました。
本作はもろもろを踏まえ、デジモンたちのバトル自体を推そうとしてるように見えます。
こうした建前を抜きにすれば、他にもうちょっとやりようがあんだろって話になるんですが。
なんせ無印では3話で開示された、わざわざ引っ張るもんでもない設定です。
ここまで引っ張った挙句に説明だけでノルマ気味に流すなら、なぜ引っ張ったのでしょう。
これはつまり、深掘りする気はないってことなんじゃないかとようやく思えてきました。
思えてきたというだけで、だからそれがどうしたって言われたらおしまいですけど。
丈先輩のアレに至っては意味不明だし。オマージュにしてもなぜ今入れた。
脚本は佐藤寿昭さん。
絵コンテの鈴木正男さんは新顔ですが、この一本以外の仕事は調べた限り不明です。
まだ新人なのでしょうか? それとも絵コンテ初挑戦の別畑とか?
★キャラなど個別印象
・太一/空/光子郎/ミミ/タケル/ヒカリ
パートナー共々、ヤマ丈組との合流過程がちょっと描かれただけの方々。
高石田兄弟の背景はタケルが教えてくれます。君から聞けるとは思わんかった。
まあヤマトも丈もしばらくロクな出番がなかったし、仕方ありません。
デジヴァイスでは位置情報がわからないらしいけど、合流できたのはやっぱり
儀式の岩山というランドマークのおかげでしょうかね。
それにしても、29話からずーっと出てたのに影が薄い空は問題ですね……
目立ってる回はあるし敵を斃す場面も多いけど、:の空といえばコレ、
という推しポイントが無いのはだいぶキツいです。
・ヤマト
3クール目はずーっと走ってた印象がある人。
28話から37話まで本当にただずーっと走ってたわけですけど。
上述の通り、回想という形でガブモンとの出会いが描かれています。
最低でも8話ぐらいにはやることだったんじゃないかと思われてならんのですけど、
ドラマ重視じゃないのならこうもなるのかな、という諦観が率直な見解。
タケルが言ってた両親云々については、彼の方からは触れられもしません。
体の張りっぷりは過去最大で、垂直に近い岩壁をガブモンの儀式が終わる前に
駆けつけられる程度のペースで登るわ、イッカクモンが作った階段をマリオみたいに
ぴょんぴょん駆け上がるわ、魔法陣の影響に堪えてガブモンを救助してのけるわ
星宮いちごもびっくりのアイカツぶりを発揮しています(違う)。
ここまで来ると「……人間か?」ってなっちゃうわけですが、
もはや大して何も感じない自分が一番やばいと思いました。慣れって怖い……
あと、ガブモンに手を伸ばすときにしれっと大変寂しいことを言っていました。
彼みたいなタイプは周りがほっとかない気がするんですが、自分から距離を取ってたのかな。
なんで距離を取ってたのかさっぱりわかりませんが。
・ガブモン
「ほっとけない!」と赤いジェネラルみたいなことを言い出したあげく、どういうわけか
ワーガルルモンにもならないうちにとっ捕まったお方。
一応「分断された」ってことにはなってるようですが。パートナーがいないと進化は無理だし。
ヤマトとの回想では、なんだかゴマモンみたいなことを言っています。
というか、あの物言いはどっちかというとゴマモンの領分じゃないかと思うんですが
本作のゴマモンはそういうキャラってわけじゃないからな……
そこんとこをガブモンが受け持ってるのかもしれません。受け持つなよ。
後半では、白目をむいた主役周りが普通やらんような顔をキメていましたが無事?復帰。
直前まで白目むいてたとは思えない闘いぶりで、メフィスモンを葬り去りました。
が、ハッキリわかる形では究極進化(兆)を見せていません。まだ要素が足りないのでしょうか。
……ねえ、ところで究極進化(兆)って言い方やめません? 言ってんの私だけだけど。
・丈
パートナー共々10話近くずーっと温泉に浸かってた人。なんなんだ今回の取り合わせは。
抜け出した経緯がセリフと身ぶりだけで済まされてるあたり、本当にどうでもいい扱いです。
なんなの? ホントなんなの?
ミミもそうですが、ヒカリの件を聞いてたはずなのにロクな動きを見せなかったことは
結局うやむやになりそうですね。蒸し返して欲しいわけじゃないけど、本当に無駄な悪印象。
ヤマトの頼みを快諾するあたりは好印象だっただけに、悲しいものがあります。
後半では突如としてイノセントウェーブを放ち、魔のオーラを消し去ってのけます。
これによって再生が不可能になった敵艦隊は、グレートマイトガインが放った
パーフェクトキャノンによって跡形もなく消滅しました途中から別の作品になっとる。
……アレ、たぶんバケモン回のオマージュだと思うんです。
だとしても、それをここで出すのは違う、そうじゃないと言わざるを得ません。
やるなとは言わないけどなんで今ここでやったんだ。別のネタはなかったんか。
本作のゴマモンは影が薄いっすね……知っての通り、彼だけの問題じゃないですが。
バトル中、メフィスモンの毒電波で一瞬目がイッちゃってたのは怖かったですが。
・トループモン
今回のザコ担当。
大量に現れ、生贄の儀式のために大勢のデジモンたちを攫っていました。
クラウド大陸に多数現れた個体たちとの関連は不明です。
それを言ったらメフィスモンとも関連が薄い雰囲気なんですが、どうやら操られてた様子。
丈先輩の謎演出で正気に戻った(逆に操られた?)のか、それ以上は何もしませんでしたが。
ついでに言えば、メフィスモンが退場した後どうなったのかも不明です。
なにせ、バトルが終わった後すぐにEDへ引いちゃいましたからね。
そーいえば、なぜか担当声優さんが四人もいました。
ロクなセリフもないというのに……青二プロもいろいろあるんでしょうけどね。
・サラマンダモン
今回の強ザコ担当です。
アニメ初登場かと思われましたが、どうやら「クロスウォーズ」にモブ出演してた模様。
両生類らしく儀式の岩山を自在に這い回って根城としており、ヤマトを執拗に妨害してきました。
しかし動きがもうひとつ鈍いのか、ほぼ一足先に逃げられてしまっています。
最後はなんだかわからないうちに岩山から転落。その後の消息は不明です。
普通なら墜落死コース一直線ですが、デジモンだし生きてても不思議ではないかも。
・メフィスモン
今回のメインエネミー。
儀式の岩山の上で磔にしたデジモンたちを生贄に捧げ、頂上にあるミレニアモンの欠片へ注ぎ
エネルギーを与えていました。そうすることで、自身も恩恵を受けようというのでしょう。
当然ながら、生贄のことはその目的のための素材としてしか見ていないはずです。
まあ、ミレニアモンの力になれるのだから名誉に思うべきだ、ぐらいは思ってるかもですが
なんせブツブツ呪文めいたことを呟いてるだけで何を考えてるのか不明なんで断言はできません。
まあ初出である「冒険者たちの戦い」では喋りすぎで格を下げていたタイプでしたが。
儀式によってガブモンを消滅寸前まで追い込むのですが、ギリギリでヤマトが到着。
ワーガルルモン・サジタリウスモードの猛反撃を受け、カイザーネイルとカウスラッガーの
同時攻撃であえなく葬り去られました。
この際、攻撃が通過した箇所が氷結していたのは究極体への兆候、かもしれません。
中の人は岩田光央さん。
「魔進戦隊キラメイジャー」の魔進ショベローや「ダイの大冒険」のザボエラなど
近年ますます芸風の枠を広げにかかっているベテラン声優さんです。
主役をつとめた「AKIRA」では丈先輩の草尾さんと不良仲間としてつるんでましたっけ。
……って、岩田光央さんだったの!?
まさか「おうっ!」と合いの手ぐらいしか言わないサゴモンの千葉繁さんより
無駄遣いなキャスティングが出てくるとは思いませんでしたぞ。グ、グムー……
・モブデジモンたち
儀式の犠牲になる気の毒なデジモンとして、エレキモン(紫)が選ばれています。
力を吸い尽くされて消滅するさまは、なかなかにエグい絵面。
ガブモンはこれを見てしまい、あまりの非道に見て見ぬ振りができなくなったのでしょう。
危うくこのデジモンと同じ目に遭うところでしたが……
生贄候補としては彼らエレキモンのほか、チビックモンやレアピックモンの姿も見て取れます。
なぜこの選出なのかは不明ですが、数が多すぎてヤマト組だけでは逃すだけでも
手一杯だったようですね。その隙を衝かれた形ではあるのでしょう。
★名(迷)セリフ
「丈、ゴマモン。
オレ一人では、あの頂上に行けない…だから、力を貸してくれ!
……頼む」(ヤマト)
丈組に事情を話した上での改まった依頼。言われてる通り、確かに本作の彼にしては珍しいです。
相棒であるガブモンのためならば、ということなのでしょう。
とはいえ実に堅い態度なんですが、二つ返事でした。丈に至っては謎の感動を示しています。
とうてい38話のやり取りじゃない気がしてならないけど。
「ボクとお兄ちゃん、ずっと離れ離れで暮らしてて……
パパとママが喧嘩しちゃったんだ。二人ともお仕事が忙しくて、あまりお家にいられなくて、それで……
ボクはママ、お兄ちゃんはパパと……
でも、お兄ちゃんはいつも連絡くれたり、いつも会いに来てくれた」(タケル)
その話、詳しく聞かせてもらおうか! もうすぐ4クール目だけどな!
「オレは勝手にヤマトを守る! それならいいよね?」(ツノモン)
「…オレも、勝手に守っただけだ」(ヤマト)
回想シーンにて。
悪くはないやり取りですが、忘れた頃にお出しされて戸惑いはあります。
「ガブモン! お前は…!
お前はオレの、初めての… 友だちなんだぁっ!」(ヤマト)
突然のカミングアウト。
ガブモンと出会う前は、本当の友達がいなかったというのです。
無印の彼は不器用なところこそあったけど、そんな感じじゃなかったのに……
そりゃ交友関係を明確に広げたのは02以降でしたけど。
タケルのこともあって、11の身空で色々思うところがあったんでしょうか。
本人が思い込んでるだけで、本当は周りに慕われてたってオチかもしれませんが
そーゆーのが描かれる気がしないんですわ本作の場合。
「オレ一人の力じゃない。丈とゴマモン…それに、お前のおかげだ」(ヤマト)
戦い終わって。
ガブモンは怪訝そうな顔をしていましたが、まあそういうことなんでしょう。
傷つきやすく繊細ではあっても、友のためならば恐れずに立ち向かってゆける。
少なくとも、無印の頃の石田ヤマトはそういう男だったはずです。
★次回予告
今度はフロンティアを思わせるお話ですが、なんでよりによって19話モチーフ……
チグハグな見せ場しかもらえなかった丈先輩ですが、次回こそはメインを取る模様。
この予告を見た限りではすっごい不安なんですけど、大丈夫かな……??