新大陸へ
脚本:冨岡淳広 絵コンテ:- 演出:セトウケンジ
作画監督:井口忠一/原憲一 総作画監督:仲條久美
★あらすじ
デジタルワールドに空たちを瞬時にして連れてきたのは、太一の妹ヒカリでした。
デジモンを全く恐れないヒカリに、太一は不思議なものを感じ取ります。
やがて一行がたどり着いたのは、黒い稲妻がひらめく謎の大陸。
太一たちは傷癒えぬエルドラディモンをレオモンたちに託し、この新たな地へ上陸を試みます。
現実世界の異変を利用する者が他にもいるとわかった以上、前進以外の選択肢はありません。
そんな彼らを、トータモンの大群が手荒く歓迎してきます。捕食しようというのです。
連携を強めた太一たちは、これを捌きながら上陸に成功。
しかし、今度はトータモンたちをもたやすく食らうグラウンドラモンが現れました。
信じがたい巨体と、外側からの攻撃は受け付けない防御力を誇る恐るべき強敵です。
苦労してこれを斃した太一たちですが、新大陸の過酷さに慄然とさせられました。
休む間もなく、今度はダークナイトモンが現れます。
迫る闇の騎士を前に、タケルはデジヴァイスを翳し……
★全体印象
27話です。3クール目最初のエピソード。
あわせてEDも「Mind game」に変わりました。
新大陸上陸編、とでも呼ぶべきお話です。
レオモンたちとは別れるも、久々に6組揃ってのバトルを拝むことができます。
これまでも大概でしたが、ここへ来て一同の姿勢に迷いがより少なくなってきてますね。
ヒカリに戦いぶりを見せる、という意味合いもあるのでしょう。
メインエネミーとして現れるグラウンドラモンの威圧感もなかなかのもので、
こんなのが今後ワラワラ出てきたらどうすればいいんだろう、ということで
一定の緊張感を作ることには成功しているかもしれません。
次回から(またまた)離散するらしいので、太一とヤマトを引き離せばより良いでしょうね。
ただ現実世界では相変わらずズルモンが活動を繰り返しており、
それによって大変な被害が出ているなどしていて微妙な気持ちになります。
前回まで頑張ってこーゆー事態を食い止め続けていたというのに……
大本をどうにかしなきゃダメだというのはわかるんですけども。
ラストではいよいよというかあっさりというか、エンジェモンが登場。
これでダークナイトモンがあっさりやられたらどうしましょう。たぶん無いけど。
★キャラなど個別印象
・太一組
太一にとってヒカリの登場は完全な予想外だったと思うんですが、
大きく動揺するでも疑問を重ねるでもなく、不思議がったぐらいであっさり受け入れてます。
少なくともそう見える。こういうところが本当に薄くてコメントに困るんですわ。
バトルでは先陣を切って戦い、アルタラウスをグラウンドラモンの顎に突っ込んで開かせ、
そこに一斉攻撃を誘導するという危険な役を駆って出ていました。
なぜか背後からの攻撃が一切彼らに当たってなかったのには笑っちゃいましたけど。
てっきり直前に避けるものとばかり。
・ヤマト組
今回のヤマトはそんなに目立ってませんね。
空とタケルの件で答え合わせみたいな会話はしてたけど、元からあんまり喋んない男だし。
これでもここ数話では喋ってる方なんですけどね。
戦闘ではサジタリウスモードも披露しており、ハンマーブーメランの軌跡を変えて
これをグラウンドラモンの頭にぶち当てるという貢献をしています。
しかしアルタラウスもそうですが、この新たな力を見ても空や光子郎たちがノーリアクションですね。
光子郎あたりは「メ、メタルグレイモンの右手が!?」って食いつきそうなものなんですが。
・空組
スチャッと着地しての「援護ありがとう!」が今回の空のハイライト。
やっぱり「太一らツートップと肩を並べて戦うつよつよ女子」を目指してるんでしょうか……
戦闘ではとにかくこれでもかとばかりにシャドーウィングが乱発されています。
その割に最後以外はあんまし効果が上がってなくて、少し悲しくなって来ますが。
敵の世代が底上げされたぶん、完全体でもキツくなってきてるってことなんでしょうけど。
技名は叫んだり叫ばなかったりで全く安定しませんが、光子郎組も似たようなことになってます。
・光子郎組
デジヴァイスに出会ったデジモンの能力を計れる機能を付与したり、現実世界の状況と照らし合わせ
事態を整理したりと、さっそく頭脳担当として働きはじめています。
戦闘となると太一に譲る傾向は、今回において特に顕著だった気がしますね。
ホーンバスターに関しては、射撃型と収束射撃型の二種を確認しています。
射撃型は出てた気がするけど、収束射撃型ははじめて見たかも。
エネルギーを角に溜めたまんま体当たりするのが初期のバージョンであるとするなら、
こちら二種はエネルギーを前方に放出して攻撃するバージョンなのでしょうね。
・ミミ組
安定のリアクション担当その1。
一方でバードラモンに捕まっての上陸過程を楽しむなど、ミミに心の余裕が生まれはじめてます。
どこらへんにそうなるだけの蓄積があったのかはだいぶ謎ですけど。
戦闘ではリリモンになってからが本番。
他もそうですけど、フラウカノンって溜め撃ちができるんですね。
・丈組
無印では28話で、最年長としての立場から太一をリーダーに推薦していた彼。
今回はいまだにリーダーアピールが激しいようです。ひょっとして最後までこうなのか?
イッカクモンは本来後方支援が得意なんですが、いきなりグラウンドラモンに捕まる危機に陥ってます。
進化すると戦闘スタイルが特に極端に変わるんで、間合いの取り方が難しそう。
ちなみにハンマーブーメランは本作初披露です。
・タケル組
ラストで成熟期の進化。形態変化直前にはパタモンに天使の羽が見えます。
とうとう互いに特にパートナーらしいことをしないまま、聖なるデジモンとそのパートナーという
ただそれだけでここまで来ちまいました。他のメンバーも積み重ねなしで成熟期にはなってますが、
彼らの場合はそれなりの期間があったのに特に何もないというのがずば抜けているところです。
うーん、ホーリーエンジェモンからが本番って考えとくべきかなぁ。
この調子だとホリエンの登場も遠くはなさそうだけど。
・ヒカリ
なんかやっぱりちょっとボーッとしてる印象を受けます。
和多田さんが意識してのことか、ゆったりと喋ってる影響もあるのでしょうけど。
デジモンを全く恐れず、妙に肝の据わったところがあるのは旧作からそうですけど、
困ったことに本作では他のメンバーもそんなにデジモンにビビったりしないのと
一番驚きそうな方々の出会いが簡素になってるんで、あんまり特異性は感じなかったりします。
これは根深い問題ですよ……
今はまだデジヴァイスも持ってなきゃパートナーもいないので、ひたすら庇護対象です。
でもようやくそれなりに長いセリフを喋ってくれ、やっぱり相当荒木さんに寄せてると感じました。
和多田さんの声質の段階から割と寄せてるんですよね。
・レオモン/スパーダモン/ファルコモン
ほぼ光子郎たちと入れ替わりに別行動となりました。
エルドラディモンの身を案じ、太一たちを先にゆかせたのです。
その際に行方不明になりましたが、さすがにこれで退場というわけではありますまい。
エルドラディモンはなんらかの方法で、新大陸からの異様な波動を感じ取ったのでしょう。
選ばれし子供と聖なるデジモンがいるなら、彼らをそこへ連れてゆく必要があることも。
全くセリフがなかったので、結局何を考えてるのかわかりませんでしたが。
・トータモン
新大陸沿岸で太一たちを待ち構えていた成熟期デジモン。
相当数が岩に擬態するような恰好で待ちの姿勢を取っており、獲物が近づいたところで
シェルファランクスを撃ち込むというのが基本戦法です。二足歩行するとは驚きですね。
とはいえ成熟期は成熟期なんで、太一たちにとってはさほどの脅威ではないです。
問題は後から出てくるグラウンドラモンの方なんで、前座みたいなものでしょう。
・グラウンドラモン
トータモンたちとの戦いのさなか、突如として現れた地龍型完全体。
いち早く気配に気づいたトータモンたちが我先に逃げ出しているところをみても、
共生関係にないのは無論として周辺においては非常に恐れられている存在であることがわかります。
たぶん沿岸部を含めた一帯の主みたいな存在なんでしょう。
いわゆる野良ボスと言っていい存在なんですが、その戦闘力は凄まじいものがあります。
長年トータモンを食らってきたおかげか、その外皮はとてつもない強度に達しており
同じ完全体であるメタルグレイモンたちの攻撃でも外部からではほとんど痛手を与えられません。
ただでさえ、設定レベルから図抜けた防御力を誇るデジモンなのです。
攻撃力も極めて高く、背中の輝きが頂点に達したときに口から放たれる闇色のビームは
一度凌ぎ切れれば僥倖というほどの威力。これは名前のない技ですが、演出的には
最もインパクトがありました。少なくともわかりやすさはあります。
しかしさすがに体内は無防備で、口にアルタラウスを突っ込まれて強引に開かれ
ポジトロンブラスターと他五体の全力攻撃を叩き込まれたあげく、
ダメ押しのギガデストロイヤーでその君臨に終止符を打たれることとなりました。
ですがその強さは、新大陸という新たなフィールドの脅威をまざまざと見せつけています。
光子郎の予想では、このレベルの敵が新大陸にはゴロゴロしているというのです。
・ズルモン
実は別にいなくなってなかったようです。
今も現実世界中のあちこちに現れ、ネットワークを荒らしまわりまくっているのだとか。
ある意味では、DWのどのデジモンよりも対処しづらい厄介な連中かもしれません。
NASAでの爆発事故は、なんというか徒労感がありますね。
避難はしてたんでしょうか。ぼかしてますけど、絶対に人的被害が出てますよね……
・ダークナイトモン
ラスト手前で突如として登場。
太一たちの上陸を予想していたのでしょう、疲弊したところを待って仕掛けたように見えます。
当然、グラウンドラモンのことも把握していたんでしょうね。
姿を現さなかったのは、グラウンドラモンの標的になるのを避けるためでしょう。
悪辣と言えるやり口ですが、やっぱり全然喋らないので何を考えてるのかわかりません。
執拗にタケルとパタモンを狙ってることだけは確実みたいですけど、その事実は
彼らに反撃の炎を点火させるだけだったようです。
・ED
今回からMaica_nさんによる「Mind game」にバトンタッチ。
現実世界での太一たちとアグモンたちの楽しいひとときを描いています。
最大の見どころは、二度にわたって披露されるミミとパルモンのショートダンス。
絵的にはどれも素敵で、文句のつけようは特にないです。
本編ではあり得ない光景ばかりですけど、考えてみれば無印もそれは同じですし。
とにかくバトル推しな本作ですが、デジアドって本来こういう柔らかさがある作風なんですよね。
★名(迷)セリフ
「………」(タケル)
何かを感じたように、ヒカリを見つめるタケル。
少し後には、ヒカリの方からパタモンとタケルを見つめるカットがあります。
今後のことを思えば、これは布石ってやつでしょうな。
「はじめまして! ぼくは城戸丈。君たちのリーダーだ!
何かあったら、いちばん年長のぼくを頼ってくれたまえ!」(丈)
ヒカリに自己紹介。言い終わらないうちにゴマモンに引っ張られてゆきます。
ピヨモンの目が真一文字になっていたのもポイントでしょう。
丈リーダーの明日はどっちだ。
「この黒い稲妻の激しさ…
まるで、私たちの世界のトラブルと、連動しているみたい…!」(空)
激しさを増す黒い稲妻を見て。
悪い意味で説明的なセリフで、逆に印象に残りました。
なんか言い回しが固いですし。車田漫画ならありだけど。
「まずこの状況をなんとかしてー!」(ミミ)
ごもっともです。
「また会おう! 子供たちよ! 世界を、頼んだぞ!」(レオモン)
別れ際のセリフ。
この直後、黒い稲妻が集中してエルドラディモン共々、彼らは行方不明になります。
しかしこの前向きな別れ方そのものが、ここで退場ではないことを示していました。
「ヒカリは光子郎といてくれ!」(太一)
トータモンの手荒な歓迎を受けて。
この際、すぐに返事をしたのが光子郎というのがポイントです。
本当なら「光子郎、ヒカリを頼む!」って言いたかったのかもしれません。
こう見えて太一もちょっと動揺してるってことなのかな? 無理もないですが。
「あー、おもしろかった」(ミミ)
「楽しかったね、ミミ!」(パルモン)
上陸直後。これには空も苦笑いです。
最初は泣いてましたが、だんだん面白くなってきたようですね。
脳汁がドバドバ出てハイになったんでしょうか。
「こいつを斃さなきゃ、前には進めないな…」(ガルルモン)
「ああ。喰われるなよ?」(グレイモン)
「フッ… そっちこそ」(ガルルモン)
出ました、なんか昔馴染みみたいなやり取り。
このへんって深堀りされることあるのかなあ。ない気がする。
「心配ない… 俺たちは、大丈夫だ…!」(ヤマト)
グラウンドラモンの攻撃を受けたのを見て駆け寄ってくるタケルを制して。
この後「これぐらいのピンチは… 乗り越えてきた!」的なセリフに続くかと思いましたが
それは私の勝手な想像にすぎなかったようです。
★次回予告
今度は個人単位にまで離散させられちゃうんでしょうか?
ヴォルクドラモンはなにかと大物扱いされますが、今回はどんな感じなんでしょうね。
デッカードラモンがどんな役回りになるのかも気になります。
クロスウォーズでの面影がちょっとでもあったら驚くかもしれません。