不屈の蒼き機翼

脚本:古怒田健志 絵コンテ:なかの★陽 

演出:ひろしまひでき 作画監督:北野幸広 総作画監督:浅沼昭弘

★あらすじ

聖なるデジモンのデジタマを奪還すべく、エルドラディモンの中に進んでゆく太一たちとタケル。
タケルは語ります。現実世界でヤマトたちの戦う姿を目撃していたことを。
兄たちが頑張っているのを見て、自分も共にありたいと思うようになったことを。

しかし、パートナーたる聖なるデジモンの卵は闇の瘴気の井戸に浸されようとしていました。
阻止しようとするタケルの前に、スカルナイトモンが立ちはだかります。
すぐさまグレイモンとガルルモンが迎え撃つも、敵は二体を一度に相手取れる強さ。
さらにデビモンの手で超進化を遂げ、ダークナイトモンとなります。

戦いの中、なんとかデジタマを確保しようとするタケル、そしてヤマト。
強大なダークナイトモンを相手に、そんな二人を守ろうと必死に力を振り絞るワーガルルモン。
その背中に突如メカニカルな翼が現れ、彼に飛行能力を与えました。ふたたびの奇跡です。
機翼による機動力が間一髪ヤマトとタケルを救い、その武器がダークナイトモンを押し返します。

ついにタケルの手に渡ったデジタマ。輝きが溢れ、塔が分解されてゆきます。
そして彼の目の前には、卵から孵ったポヨモンの姿が。ついに二人は巡り会ったのです。
が、今度はデビモンが自らその姿を現し、執拗にその魔手を伸ばしてきました。

その頃、激化する一方なネットワーク空間の戦い。
丈とミミも合流したものの、事態は未だ好転せずで……
 
 
 
★全体印象
 
22話です。「機翼」は「サジタリウス」と読みます。
少し落ち着いたところで、タケルがそれなりに喋り出してくれました。
よく思い返してみると相当フワッとしたことしか言ってませんけど、多少はマシです。
来た時点でとっ捕まってたってことなんでしょうか。警戒されすぎですね。

流れとしてはスカルナイトモン、そしてダークナイトモンとの戦いがメイン。
戦闘描写そのものは見応えがあったと思います。
ワーガルルモンに明らかに違和感のある形質が現れるというのも、考えようによっては
この無茶苦茶なところこそデジモンの醍醐味。前回より面白味が高いと感じました。

しかしアイズモンを斃したと思ったらオロチモンが現れ、これをやっつけたと思ったら
ニーズヘッグモンが現れ、勝ったと思ったら離散させられ、タケルを救出したと思ったら
ベルグモンが現れ、聖なるデジモンのおかげで勝利したと思ったらスカルナイトモンに
デジタマを拐われ、スプラッシュモンに襲われ、これを倒してダークナイトモンを退け──
たと思ったらデビモンが現れと、本当に区切りがありません。

このせいで新加入キャラであるタケルを描写する尺がないまま流れが作られてってしまい、
彼が旧作どころじゃないとんでもない電波体質になってしまってるままなのです。
戦えばいいってもんじゃないでしょうに……
主に戦ってるのが太ヤマ組で、他は事実上サブに回ってるというのもバランスが悪いし。
このままだと、あのメンバーだけで黒幕と一戦交えることになっちゃうんですけど大丈夫かなぁ。

脚本はアイズモン回以来となる古怒田さん。なかの☆陽さんの参画は14話以来ですね。
作画とか動きは良いのよね…… 敵味方で会話しないことが多いのがもったいないぐらいには。
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太ヤマ組

 引き続き居残り組。
 今回は特にガブモンが張り切っており、タケルに触発されたかのように新たな力を開花させました。
 背中へ機械の翼が唐突に生えたアンバランスな姿は、ある意味とてもデジモンらしいものです。

 この翼はワーガルルモンに飛行能力だけでなく、空中での圧倒的機動力も与えてくれます。
 行く手を阻もうとしたダークナイトモンの一撃を軽々と躱し、そのままヤマタケの救助へ向かうほど。
 敵はこの動きにほとんど反応できませんでした。スピードではメンバー中トップでしょう。
 成熟期に比べスピードを重視した姿ではないはずでしたけど、この翼で十二分以上に補えてそうです。
 この翼を扱うためなのでしょうか、発動中は体躯が1.5倍ぐらいになるのもポイント。

 しかもこの翼は武器にもなり、また組み替えも可能っぽいです。
 ダークナイトモンとの鍔迫り合い中に一対を合体させてブーメラン状とし押し返していました。
 武器を使うワーガルルモンというのはかなり新鮮ですね。

 射撃能力を強めたメタルグレイモンといい、これは究極体の姿が違うものになるという布石でしょうか?
 すでに推測が飛び交ってるように、ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンに満を待して
 お鉢が回ってきたりするんでしょうかと、ちょっと期待が高まってきます。
 当然、そうなれば後半の目玉のひとつはオメガモンAlter-Sってことになるわけだし。

 でもOPに出てる影はウォーグレイモンのものなんですよね……
 どっかの時点でしれっとブリッツに入れ替わってる可能性もあるにはあるんですけど。
 番組は全く違いますが、ブウが気づいたらフリーザに差し変わってた(つまりフェイク)という例もあるし。
 
 
 
・空組・光子郎組・ミミ組・丈組

 激化するネットワーク空間侵略の前に後手へ回ってましたが、後半でやっと丈とミミが合流。
 一斉攻撃でカルマーラモンを攻撃するも、事態は好転しないままです。
 むしろこちらでの事態がDW側に連動しているとわかったぶん、危険度が増したとさえ言える。
 逆に言えば、彼らの頑張り次第では太一たちが有利になるかもしれませんね。

 なかなか合流できないミミと丈の描写はこれも「ぼくらのウォーゲーム!」のオマージュでしょうか。
 その中でミミが車移動中の脇道に詳しいというお嬢様らしい(?)スキルを披露していますが、
 ここから祖父もまた幼い頃は自由奔放な性格だったことが示唆されています。
 
 
 
・タケル
 
 兄たちの奮闘を見て「自分も何かしたい」と強く願っていたことを語りました。
 ただ、ヤマトとの関係性やそもそも彼自身のことがまともに描写されないまんまな上に
 本人が葛藤らしい葛藤をおくびにも出さないもんだから、驚くほど感情移入できません。
 むしろなんで君そんな無茶できるのと、恐ろしくさえなってきます。
 描写がいきなり無印52話レベルなんですけど?

 こんだけ引っ張った割に「だから引っ張る必要があったのか!」という納得が全然得られないのも痛い。
 というかなんで引っ張ろうと思ったの?

 潘めぐみさんの演技はタケルポイントが高いだけに、これはキツいなぁ……
 
 
 
・スカルナイトモン→ダークナイトモン

 今回のメインエネミー。スカルナイトモンは成熟期、ダークナイトモンは完全体にあたるそうです。
 その実力は高く、スカルナイトモンの時点でもグレイモンとガルルモンを両方相手にできるほど。
 進化するとさらに強さが増し、アップデートなしには渡り合えません。

 戦闘スタイルはスカルナイトモンが機動性重視、ダークナイトモンが攻撃力重視という感じ。
 後者はクロスウォーズ版以上に多彩な飛び道具を持っており、生半可な射撃は通じません。
 個人的に一番驚いたのは襟元から暗黒弾を出したこと。そこ発射口だったの!?
 ジガストームを相殺したブレストファイヤーもなにげに新技なんですが、違和感はないですね。

 ただ完全体時は機動性が落ちるのか、機翼を得たワーガルルモンの疾さに対応しきれていません。
 それでも完全には押し切られなかったあたり、往年のレギュラー悪役として意地を見せてます。
 デジタマが孵った後の行方は不明。まさかあれで死んだとも思えませんが。

 セリフは一応ありましたが、大したことは喋ってない上に専属声優さんもいません。
 どのみち声にエフェクトがかかりまくりだったんで、判別は難しいんですが。
 
 
 
・エルドラディモン

 特に感情らしいものを見せないまま、いつのまにかいなくなってました。
 塔が消滅する描写があったんで、一緒に消えちゃったんじゃないかと心配する声も見かけています。
 というかこいつ敵だったのかそうじゃないのか、どうしてあんな状態になっていたのかとか
 何もわからないままなんですよね。もはや出す必要あったのかレベル。
 
 
 
・チクリモン

 エルドラディモン内で最初に太一たちを襲ったデジモン。
 機雷型で自分からは攻撃しないタイプという設定ですが、めちゃめちゃ襲ってきます。
 これも黒い瘴気のせい…?(責任転嫁)
 
 
 
・カルマーラモン

 なんか一斉攻撃であっさり落ちたように見えたんですが、次回にも出るようです。
 相変わらずセリフはありません。
 
 
 
・デビモン

 聖なるデジモンのデジタマを闇の瘴気の井戸に浸そうとしていました。
 これによって、聖なるデジモンを闇のデジモンに変えようというわけです。煮物かな?
 本人的にはこれは「救済」らしいんですけど。なんか変な要素入れてきたぞ?

 しかもこの「聖なるデジモン」とは友だったことを匂わせています。
 ウルトラマントレギアかお前は……?

 さらに驚くべきことに、スカルナイトモンをダークナイトモンに超進化させる力まで見せました。
 この力こそ、彼が闇の勢力の今のところの首魁として君臨できている理由なのでしょうか。
 または、その時に出てきた水晶のようなものに秘密が…?
 
 
 
★名(迷)セリフ

「停電よりちょっと前に、東京で事件があったでしょ?
 電車が止まらなくなったり… あの時からずっと、誰かの呼ぶ声が聞こえるんだ」(タケル)


 あの時からずっと。冷静に考えれば考えるほど恐ろしくなる発言です。
 君、そんな声をずーっと聞いてたの?? それなのに表面上はそんなに普通にしてたの?
 いや別に嫌な感じはしなかったでしょうけど??
 
 
「ヤマトがずっと会いたがっていたタケルに会えて、オレも嬉しいんだ!
 もう一度タケルが聖なるデジモンに会えるまで、オレが守る!」(ガブモン)


 パートナー不在のタケルをチクリモンから守って。ガブモンが燃えています。
 このセリフは完全体時にも繰り返され、いわゆるサジタリウスモードへの布石にもなってゆきます。
 ヤマトの願いへ寄り添う姿勢だけではなく、どうやらタケルにも触発されてのことですね。
 そのタケルが空恐ろしい行動ばかり取るんで、どうにも行き場のない気持ちになるのですけど。
 
 
「デビモンよ…」(スカルナイトモン)
「よかろう」(デビモン)


 ダークナイトモンに超進化する直前のやり取り。
 ここからデビモンとスカルナイトモンの間に特段の上下関係はなく、同盟関係であることが
 なんとなく見て取れるのですが、どういった経緯でそうなったのかは不明です。
 今後も明かされることはない気がしますね……

 いずれにせよ、仲間にしたデジモンを進化させられるのだとしたらこれは実に厄介です。
 デビモン自身にもやっぱりまだ上があるみたいだし。
 
 
「そんなのダメだ…! ボクは… あきらめない!」(タケル)

 聖なるデジモンの卵に手を伸ばしながら。
 なんか既にホーリーエンジェモンが出てきそうなほどのアレです。
 さすがにそうすぐには無理でしたけど、その代わりワーガルルモンにイベントが起こりました。
 
 
「よく頑張ったな、タケル…!」(ヤマト)

 デジタマを引っ張り上げようとするタケルに手を貸して。
 君が弟にベタ甘なのは知ってますし、褒めるのもいっこうに構わないんですけど、ええっと、
 それよりも前にもうちょいこう言うことがあるのでは? と思わないでもありません。
 というか全体的にヤマトの影が薄い回です。
 
 
「お兄ちゃんたちが… デジモンたちが、たくさんの人たちを助けようと、
 いっしょうけんめい頑張ってくれているのがわかった…
 ボク、思ったんだ。ボクも、お兄ちゃんと一緒に頑張りたいって。ボクも、デジモンと一緒に…
 お兄ちゃんと、ワーガルルモンみたいに…!」(タケル)


 できることならお前を巻き込みたくなかった、とヤマトに言われて。
 そう決意するのは大変結構なことなんですが、そこに至るまでがすっ飛ばされすぎていて
 キャンバスのないコンクリートデスマッチを見ているような気分です。脳天直撃セガサターン。
 
 
「聖なるデジモン… 我が、旧き友……
 これは、私がお前に与える救済… 闇に墜ちよ!」(デビモン)


 うわぁ、なんかスゲーめんどくさいこと言いはじめたぞ……
 
 
 
★次回予告

 ネオデビモンが映像デビューのようです。
 この完全体については初登場がただの守衛だし、人造デジモンという設定なんで
 そんなに強いイメージはないのですが、この先入観を払拭できるでしょうか。

 これまでの経緯からすると、なんかまだもう一段階ありそうな気がしますけどね……
 それが新形態だとして「デーモンでいいのでは?」にならないことを祈るしかありません。
 とはいえ、光子郎たちにやっと見せ場が来そうなのはありがたいですね。