東京消滅カウントダウン
脚本:冨岡淳広 演出:貝澤幸男
作画監督:八島善孝 総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
突如始まった謎のカウントダウン。
しかも斃されたと思われたオロチモンが、現実世界から膨大なエネルギーを引き込み
完全体を超えた存在・究極体ニーズヘッグモンに進化してしまいました。
ニーズヘッグモンはカウントダウン終了と同時に、溜め込んだエネルギーを開放するつもりです。
そうなれば、この存在を通じてデジタルワールドとリンクしている現実世界の方も
壊滅的な被害を受けることになってしまうのです。
なんとしても阻止すべく、太一とヤマトはパートナーとともに力を振り絞って立ち向かいます。
しかし、究極体に到達した敵のパワーはやはり強大無比でした。
絶体絶命の中、東京のタケルとヒカリのもとに再び現れる白き羽が奇跡の再来をもたらします。
勇気と友情の聖騎士、オメガモンがふたたびその姿を現したのです。
敵もパワーを高めて頑強に抵抗するのですが、ついに必殺のグレイソードが炸裂。
ニーズヘッグモンを縦一文字に切り裂き、その巨体を消滅せしめます。
同時に東京へも電力が戻り、危機は回避されたと思われました。
ところが、なんと止まったはずのカウントダウンが動き出したのです。
ゼロを迎えるとともに空へ穴が開き、空・光子郎・ミミ、丈たちが吸い込まれました。
直後に現れたデビモンの幻影が言うには、デジタルワールドと現実世界との繋がりは
ニーズヘッグモンを斃したところで消えはしないとのこと。
このままでは、またいつ東京に危機がやってくるかわかりません。
太一とヤマトはひとまず空たちと合流するため、行動を開始するのでした。
★全体印象
18話です。
あらすじの通り、アイズモンに続く新デジモン・ニーズヘッグモンが登場。
この厄介な敵を斃すために、オメガモンが再登場するという内容でした。
これで二度目の登場になります。
しかしその過程はいかにも食い足りないもので、太ヤマ組以外がへたばってて見せ場がなく
そのままタケヒカの羽パワーで気づいたら進化できるようになってた感じでした。
せめて完全体総攻撃でも突破口が見出せず、もっと追い詰められた状態からであるなら
まだ納得はいくのですけど、盛り上げが足りないと言わざるをえません。
敵が強いのはいいんですが、強すぎるとお話の幅も狭くなってしまうんですよね。
今回の場合はしかも「今持ってるカードではどうしようもなく、もうこれしかない」
という切り札を切る根拠すら示してないため、それ以前の問題だったりします。
「もうこれしかない」「でもどうしたらこの切り札を切れる?」という葛藤もなし。
それと16話からこっち、繰り返し度がだいぶキツいです。
アイズモン撃破→オロチモン撃破→ニーズヘッグモン撃破→と思ったらまた離散展開
と、いささか辟易させられました。いくらなんでもしつこすぎます。
勝利条件を満たすたびにゴールポストを動かされてやり直しになる感覚ですよ。
結果的に東京の危機は回避されたんで、徒労感ばかりではないのですけど。
脚本は11話以来となる富岡さん。シリーズ構成なのにいまひとつ盛り上がりません。
作画や演出もこれという注目点がなく、全体的には低調なエピソードです。
★キャラなど個別印象
・太ヤマ組
思えば前回からずっとコンビで行動してたんで、こうなるような予感はあったかもしれません。
「今のオレたちなら、奇跡に頼らなくてもなんとかする方法があるはずだ」
と気を吐くわけでもなく、かといって「またあの騎士を呼べれば…」との苦悩もなし。
二人して決意表明を口にはしていても、それだけでは足りないという印象です。
・オメガモン
二度目の登場。正直、出るなら2クール目ラストぐらいかと思ってました。
でも上記のような経緯で登場いているため、切り札再来! というカタルシスは少ないです。
まだ二回めなのにもかかわらず、安売り感が出てしまってるんですね。
「出ちゃうのかな… 出ちゃうのかな… ああ、やっぱり出ちゃった」が正直な感想。
判断を保留していましたが、2話でこの存在を出してしまったのは完全な悪手に見えてきましたね。
滅多に出せないか、次に出せるまでの充電期間があるのか、そういった事情は何も示されず
出そうと思えば出せてしまうという例ができてしまった以上、今回のニーズヘッグモンのように
やばい敵が出てきても太ヤマが揃ってれば「まあ、いざとなったらオメガモンいるしな……」
となってしまって緊張感に繋がりません。その傾向は今回をもってますます強まったと思います。
せめてウォーグレイモンとメタルガルルモンが出るまで待てなかったんでしょうか……
なんかこのぶんだと遅くとも3クール目早々には出てくる気がするし、その上でなら
まだ少しは納得感が保てたのですけど。
おまけにニーズヘッグモンが半端に対抗したもんだから、圧倒感までもが薄れてしまってます。
これなら光子郎なりに弱点を見つけてもらって、そこを今度は6体総攻撃でなんとか撃破するとか
そっちの方が随分マシに見れたんじゃないかと思ってしまいますよ。
こんな調子で以後どうしてゆく気なんでしょうね。
今度は8体全員合体だ! などと隠し球を用意しているならあるいは、ですけど。
いや冗談抜きで残りメンバーも合体できる、とかぐらいやらないと厳しくなってきた気がしますぞ。
・空組・光子郎組・ミミ組・丈組
オロチモン戦で疲弊したんで、解説役の光子郎以外はほとんど見せ場がなくコメント係に徹してます。
でも一番消耗の激しそうな太ヤマ組が戦えてるんで、どうも説得力がありません。
最終的には空中の穴に抵抗できないまま吸い込まれ、再度の離散展開となってます。
離散展開好きすぎでは…?
・タケル
2話同様、天から落ちてきた羽に手を伸ばしたらなんか奇跡が起きました。
そろそろこの謎現象の所以を教えてほしいんですけど…?
そういえばヒカリと違い、体がデジタル化したような描写が一瞬挟まれています。
もしこの絵面から想像できる通りのことが起こっているのだとしたら、彼はこの瞬間
デジタルワールドに飛ばされた可能性がありますね。理由は不明ですが。
となると、仲間を探している最中の太ヤマ組と遭遇する流れでしょうか。
それとも空たちの方が出会うとか…?
・ヒカリ
タケルよりはセリフが多いですが、基本的には見てるだけの場面が多いです。
またタケルと違いデジタル化の描写がなく、現実世界にまだいることもハッキリしてます。
タケルは確か上の描写以後は出てなかったはず……
・裕子ママ
ヒカリのことを必死で探しており、事態が収束してヒカリも見つかった時には
愛娘を抱きしめて安堵の声を上げていました。別にこれは何もおかしくありません。
でもこの描写のせいで、太一に書き置き以外のリアクションがない理由が
ますますアヤフヤになってしまった気がします。
太一と連絡がつかないことは結局、彼女の中でどういう扱いになってるんでしょう?
・ニーズヘッグモン
オロチモンが現実世界からエネルギーを取り込み、進化を遂げた究極体。
名の由来は北欧神話に登場する世界樹を蝕む大蛇、ニーズヘッグ。
あたり一帯を取り囲むほどの巨体を誇り、生半可な攻撃は一切受け付けません。
顔面に連なる無数の目からはレーザーのような赤い怪光を放ち、対象を焼き払ってしまいます。
また舌先からは極太のレーザーを放つため、無防備で近寄るのは非常に危険です。
成熟期のままでは、グレイモンもガルルモンも全く手が出ませんでした。
極太の方を食らってなぜか太一とヤマトが無事だった理由は、演出から類推するしかないですが。
そのパワーはオメガモンをもってしても即時に圧倒はできず、ガルルキャノンによる凍結も
パワーを上げて打破、最大出力のレーザーで押し切ろうとします。
しかし底力を発揮したオメガモンと太一&ヤマトにはかなわず、真っ二つにされました。
この際、周辺を包囲していた長い体も残らず消え失せています。
大きすぎるせいか動きは鈍く、備え持つ巨大な爪は使わずに遠距離攻撃に徹しています。
でもこのために攻撃動作が一辺倒となり、オメガモンとのやり取りは単調気味でした。
アルゴモン究極体は自身もアクロバティックに動き回ってたんですが……
アイズモンの頃から溜め込んでいたデータによる偽の東京は、グレイソードで消し去られました。
異変はその直後に起きたのですが、まさかそれ自体が別のトリガーだったんでしょうか?
それにあの瞳は…デスモン?
・デビモン
幻影ながらようやく太一とヤマトの前に姿を現し、捨て台詞を残して消えました。
一連の裏で糸を引いていたのは確かですが、成熟期とあっては今更感が拭えません。
やっぱり正体はデーモンだった、ぐらいやらないとテコ入れにならなそう。
★名(迷)セリフ
「我、ニーズヘッグモン… 完全を超えし、究極体…!」(ニーズヘッグモン)
珍しくしゃべりました。中の人はもはやお馴染みな感があるボルケーノ太田さんです。
光子郎はこの概念を聞いて絶句しましたが、アルゴモンからの連想は特になかったりします。
あの二度目の復活が究極体だったのかも、などの類推もなしです。
本作って結構「言うべきことは言わず、言わないでいいことばかり言ってる」ケースが多いかも。
「お母さん… お兄ちゃんは大丈夫。わたしにはわかるんだ。ふふっ」(ヒカリ)
東京に電気が戻った直後、天から落ちてきた羽を手にして。
まあ彼女なら何かを感じてておかしくないし、タケル同様に兄の戦う姿を見てますからね。
ただ前後の描写とこのセリフのために、裕子ママが太一の連絡途絶にどういう立ち位置でいたのか
ますますよくわからなくなった気がするんですね。
字面だけ見れば「別に心配してなかったわけじゃないんだよ」ってことにはなりますけど。
それはそれとして、笑ったときの表情はなかなか良かったですぞ。
★次回予告
忘れた頃にやってくる男、レオモン。
しかもファルコモンやスパーダモンも登場という、なかなかの豪華メンバーです。
トループモンも出てくるんでクロスウォーズ感が強めな絵面になりそうですね。