リリモン開花
脚本:山口宏 絵コンテ:佐々木憲世 演出:宍戸望
作画監督:直井正博 総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
遺跡の地下深くに落ちたミミとパルモンは、太古の兵器工場らしき場所に迷い込みます。
そこで操られたアンドロモンに襲われるのですが、残骸と思われたガードロモンが
突如動き出して二人を守り、その場を切り抜けることができました。
そのままエレベーターで脱出を試みるミミ達ですが、アンドロモンが追いすがってきます。
ガードロモンはミミを庇って倒れ、駆けつけた太一たちも奮闘するのですが
アンドロモンは天井を壊して一同の態勢を崩し、その間にミミを始末しようとします。
そのとき、最後の力を振り絞ったガードロモンが攻撃を阻止しました。
これを容赦なく機能停止に追い込んだアンドロモンに、ミミの怒りが爆発。
彼女の感情を受け、トゲモンが完全体リリモンへと進化を遂げました。
眩惑的な動きと花びらでアンドロモンを翻弄し、必殺のフラウカノンが炸裂。
全身を植物に覆われたアンドロモンは、そのまま機能停止へ陥るのでした。
同じく植物で覆われたガードロモンの残骸に、花を供えて旅立つミミ。
自分を守ってくれた優しいロボットの死を受け、その表情は決意を新たにしていました。
★全体印象
12話です。
完全体進化三番手はまさかのミミでした。てっきり光子郎か空だとばかり。
これも含めて「旧作とは違うことをする」ってやつでしょうか。
その上で「地下に落ちたヒロイン」「操られたアンドロモン」「ミミの激怒からの進化」と、
旧作を意識したかのようなシチュエーションが多数見受けられます。
ガードロモンが味方サイドに来るのはむしろ「テイマーズ」ですが……
(もっとも、あのガードロモンはもともとアンドロモンだった経緯があるのですけど)
ただ個別でも語りますが、ガードロモンはおろかアンドロモンも正気に戻ったような描写が
あるにもかかわらずそのまま退場してしまうので、後味はかなりビターです。
ミミに「死」を突きつける展開は旧作でも主に終盤近くからやっていたことですけど、
今回はこれを早い段階からよりわかりやすく経験させる狙いがあったのかもしれません。
脚本は6話と同じく山口宏さん。このままミミ担当になるのでしょうか。
特に新顔のスタッフはいませんが、直井さんの作画パートはわかりやすいですね。
★キャラなど個別印象
・太一組
ミミが落ちた穴を自力で降りてゆくという、かなり危ないことをしていた太一。
光子郎組が飛んで降りてるんで、余計に彼の危険さが際立ってました。
バトルでは二度目の完全体進化を出しましたが、アンドロモンの頭脳プレイで動きを封じられてます。
ジガストームを当てるところまではよかったんですが、これは相手が強かったと言うべきでしょうか。
お話の都合という説は置いといて。
そう言えば完全体バンクで一瞬ムゲンドラモンが映ってましたけど、これ前からでしたっけ?
・光子郎組
遺跡のデジ文字を解読し、もとは兵器工場のような場所だと突き止めていました。
しかしバトルではアンドロモンにパワーで圧倒され、ガトリングミサイルでダウンしてしまい
見せ場らしい見せ場には恵まれていません。
・ミミ
何気なく寄せた心が朽ち果てるだけだったガードロモンに目的を与え、これを全うさせました。
メンバーの中では旧作同様、ヒカリとはまた全く違う意味でデジモンに好かれやすいようですね。
なぜか汚物系と縁が深いという側面は今のところオミットされてますが。
ガードロモンが破壊されたのを見て感じたものは、いわゆる義憤だったのでしょうけど
それは彼女にとって生まれて初めてなぐらい強いそれだったに違いありません。
その感情の爆発がトゲモンを開花させ、リリモンの進化へと繋げていく結果になったのは
ヴァンデモン軍の暴挙を見て感情を爆発させた旧作に近いといえば近いかもしれませんね。
今回の経験が漠然とした意識で動いていたミミに「こんなことは終わらせなければならない」
と強く意識させることになったのは間違いないところなのでしょうが、
戦い自体に疑義を持って自分なりに模索するようになるかどうかはまだ何ともいえませんね。
単にメンタルがド太くなるだけだったらどうしよう……
・パルモン→トゲモン→リリモン
ポイズンアイビーでも届かないぐらい高くから落ちたことが示されています。
そんなところから落ちて、よくまあ「イタタタ…」程度で済んだものですね。
まあ彼女がミミのクッションになったおかげなのでしょうけど、それにしても。
前半で一度アンドロモンと戦ってますが、旧作のアンドロモン戦はまだ進化前なので
カードとしては初顔合わせと言えます。
ただしこの時点ではまったく歯が立たず、パルモンに戻ってしまいました。
後半でも果敢に進化して挑むものの、崩れてきた天井を支える破目へ陥り、その間に
ミミが狙われるという大ピンチへ至りましたが、ガードロモンの懸命の行動とこれを受けての
ミミの激情に呼応し、完全体進化を遂げています。
その後はアンドロモン相手に終始優勢のまま勝利しており、どうやら相性が良かった様子。
散布された花びらが撹乱の役割を果たし、狙いをつけさせなかったのも大きそうです。
必殺のフラウカノンは、なぜか当たったところから植物が生える特殊属性技に変化。
これをもってアンドロモンの体を緑で覆い尽くし、機能停止へ追い込んでいます。
ウソップの緑星か何か?
・ヤマト組/宙組/丈組
再度バードラモンで空中移動してました。
ピヨモンの負担がしばらく前から半端ないんですが、過労でぶっ倒れたりしないのかな。
・タケル/ヒカリ
今回も出番なし。
ヒカリはともかく、タケルの本格登場がこんなに遅れるとは思いませんでしたぞ。
・ガードロモン2078号
遺跡地下でスクラップに紛れていましたが、ミミが襲われたのを受けてこれを庇いました。
どうやら機能停止していたというより、休眠していたという表現が正しそうです。
あまりに長いこと休眠していたので、躯体に埃が積もっていたようですが。
光子郎曰く、アンドロモンとはもともと仲間だった模様。
前半の段階で正面衝突を避けたのは、アンドロモンの力をよく知っていたからでしょう。
機転を利かせて切り抜けるあたりは、無印5話を思い出します。これもオマージュでしょうか。
その後ミミと傷ついたパルモンを連れ、地上へと逃がそうとしてくれます。
道中でミミに花をプレゼントするなど、なかなか洒落っ気のあるところも見せましたが
追いついてきたアンドロモンからミミを庇うようにしてスパイラルソードの直撃を受け、
一度は機能停止へ追い込まれるほどのダメージを受けてしまいます。
それでも再起動してアンドロモンの足を捕まえ、ミミへのダイレクトアタックを防ぐのですが
頭部を潰されて今度こそ機能を停止しています。それはミミにとり「死」そのものでした。
しかし、この行動と最期がミミの激情を誘発して完全体進化へ導いたことを思うと
結果的には彼女を守り抜くためのトリガー役になったとも言えそうですね。
言葉を発することはなく、主観画面に映るデジ文字についての意味も解説されていませんが
何を書いてあるかはなんとなくわかるあたりがちょっと面白いですね。
また本作独自の演出として顔の手前から蒸気を吹き、それを意思表示の代わりにしていました。
・アンドロモン
ガードロモンと同じく休眠していたようですが、サウンドバードモンに操られて刺客となります。
選ばれし子供を倒すことしか頭にないので、9割がた「排除スル」としか喋りません。
ガードロモンについては見ただけでそのナンバーを把握していたので、数多くいるガードロモンの
いわばコマンダー的な役割を果たしていたのかもしれません。
まあ、単に近くにいる五体満足な個体が2078号しかいないと知ってたのかもしれないけど。
バトルでは完全体らしく圧倒的な強さを発揮しており、トゲモンは拳をぶつけあっただけでKO。
直前にチクチクバンバンを食らっていますが、まったくダメージを受けていません。
後半でも体格で優るカブテリモンをパワーで捩じ伏せ、ガトリングミサイルで進化解除へ追い込んだり
メタルグレイモンのジガストームにも耐えるなど、その高い能力を遺憾なく見せつけました。
が、ミミの怒りと悲しみを受けて現れたリリモンには終始翻弄され、フラウカノンを受けます。
すると全身から一斉に植物が生え、ガードロモン共々緑のオブジェと化してしまいました。
その際に正気に戻ったような描写があったんですが、仲間になってはくれてません。理由は不明。
旧作ではたった一人でムゲンドラモンと戦い続け、その後ピエモン戦でも足止めを買って出るなど
サブキャラとしては最もタフで頼れるデジモンだったのですが……
中の人はボルケーノ太田さん。声優業を本格開始したのは四、五年前ですが、デジモンファンの間では
旧作シリーズの頃から有名な方です。当時も自身がモデルのボルケーモン役で出演していました。
一方、旧作でアンドロモン担当だった梁田清之さんは「クロスウォーズ」において
ボルケーモンの進化系であるエンシェントボルケーモン役で出演しており、奇妙な縁を感じます。
・ハグルモン
サウンドバードモンに操られる形で次々と再起動し、太一たちの前に現れます。
戦闘力はまったく大したことがないので、単に足止めのために駆り出されたのでしょう。
あるいはアンドロモンも無理やり動かされていただけで、本当はもう動けなかったのでしょうか。
・サウンドバードモン
太一たちとはぐれたミミに目をつけ、アンドロモンを操って襲わせていました。
完全体をも操るとは、イービルスパイラル並の能力です。それとも、アンドロモンはやはりもう……
いずれにしても、直接戦わないぶんだけ実に厄介な敵に仕上がっていますね。
★名(迷)セリフ
「今はオレたちがやるべきことを急ごう」(ガブモン)
「それがあいつらにとっての平和につながる… そう信じて進むしかない」(ヤマト)
ネーモンたちのことをまだ心配している空に。
前回もですが、空は愛情というより博愛というか「『ほっとけない』の人」という印象も受けます。
そういえば中の人はその「ほっとけない人」の女房役でしたね。
「許せない…! あんただけは…
あんただけは絶対に許さない! 許さないっ!」(ミミ)
自分を守って最後まで戦ったガードロモン2078号の機能停止を見て、アンドロモンに。
もしかしたら義憤はおろか、彼女が本気で怒ったのはこれが最初なのかもしれません。
その感情の発露に導かれるように、パートナーの可能性が開花してゆきます。
「ミミの想い、受け取りなさい! フラウカノン!」(リリモン)
ミミの怒りと悲しみを背負い、華麗なる進化を遂げたリリモン。
パワー型のトゲモンとは一味もふた味も違う戦いぶりです。
アンドロモンも花びらのジャミング的なアレでミサイルが当たらないのならばと、固定状態からの
ガトリング速射で弾幕を張ろうとするなど対抗を試みているのですが、まったくの無駄でした。
「ア、アア… 私ハ… ワ、タ、シハ……」(アンドロモン)
フラウカノンを受け、そこから種が芽吹くように緑に覆われながら。
直前で目が青くなるなど明らかに正気に戻ってる描写があるのですが、時すでに遅しでした。
彼もまたサウンドバードモンに操られているだけだったと思うと、なんともモヤモヤします。
「一刻も早く悪いやつらをやっつけなくちゃ。…行きましょ!」(ミミ)
緑に覆われたガードロモンの残骸に花を供え、手を合わせてから。
ガードロモンは本来、何かを護るために作られたとされるマシーン型デジモンです。
けれど、彼がミミを守ったのは彼自身の意思であったようにも見えました。
いずれにせよ勇敢に戦ったこのガードロボットの「死」は、ミミの心に確かに何かを残したようです。
★次回予告
続いてはガルダモン登場のようです。
ネーモンたちと関わったことが何かのキッカケになったのか、空は自分たちの目的だけでなく
助けられるものはできる限り助けたいという姿勢を強く出すようになってきてる感じですね。
愛を振りまきすぎて無茶をしないといいんですけど。
ところでファンビーモンって進化するとワスプモンとかになるんじゃなかったですっけ?
それとも本作の設定では、とっ捕まって改造された姿がワスプモンだったりするのかな。